その1.コードってなに?

chord-a-melody

第1章からは、【横の視点】コード進行の流れを学んでいきます。

その1の本記事では、コードとは何かを学びます。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

そして、コード記号から構成音を導き出し、DAWに打ち込めるようになるのが目標です!

コード&コード進行とは?

コードとは?

コード(和音)は、3音以上の違う高さの音の重なりのことで、ローマ字と数字で示されます。例えば、下の図のコードC(シー)は、C・E・G(ドミソ)が同時に鳴ることを表します。

ピアノとアコギ、それぞれのC

この時、コードCを作っているC・E・G(ド・ミ・ソ)を、コードCの構成音と言います。

コードは構成音だけを示し、音の重ね方は自由です。上の図のように「ドミソ」でもいいし、順番を変えて「ソドミ」でも、「ミソドミソ」と同じ音を複数重ねても、全部コードCと表現します。

例外的に、パワーコードと言って、2音だけでコードとみなす場合もあります。例えば、C5(シーファイブ)なら、「ドソ」だけの2音のコードを表します。

しかし通常は、3音以上の違う高さの音の重なりのことを、コードと言います。

コード進行とは?

コードの繋がりを、コード進行と言います。

コードで演奏する場合、コードの構成音さえ合っていたら、表現したい内容に合わせて、どのように演奏しても大丈夫です。(↑のように、ジャンジャンと一気に弾いても、一音ずつポロロロンと分けて弾いてもOK。)

ちなみに、DTM(パソコンによる打ち込み)では、次のようにデータを作っています。

メジャーコード

それでは、コードの基本であるメジャーコードを説明していきます。

メジャーコードの読み方

まずは、読み方から行きましょう。

  • C:シー or シーメジャー

Cのように、ローマ字だけのコードをメジャーコードと言います。単純にローマ字だけを読んで「シー」と呼べばOK。人によっては「シーメジャー」と読む方もいます。

メジャーコードの構成音

メジャーコードの構成音は、次のように導き出します。

コードCの場合は、基準の音をC(ド)として、構成音を探します。

コードCの場合のC(ド)のような基準の音のことを、音楽用語で根音(こんおん)と呼びます。本サイトでは、英語の呼び名であるルートと呼び、Rと略します。

  1. R(ルート):基準の音
  2. ルートから、半音4つ分上の音
  3. ②から、さらに半音3つ分上の音

この3音が使われていれば、メジャーコードです。
メジャーコードは、明るい元気な印象を与えるサウンドが特徴です。

ちなみに、これがコードEになった場合は、どうなるでしょうか?

ルート・半音4つ分上・そのまた半音3つ分上の構成音を探せばいいので、E・G#・B(ミ・ソ・シ)の3音が、コードEの構成音となります。

ルートがどの音になっても、構成音の探し方は同じです。

【例題1】メジャーコードをDAWに打ち込んでみよう!

それでは、メジャーコードを、いくつかDAWに打ち込んでみましょう。

まずは、ピアノのトラックを用意してイベントを作り、ピアノロールを開きます。(操作方法が分からない場合は、この記事をご参考下さい。)

まずは、コードCです。

できましたか?
コードCの構成音は、C・E・G(ド・ミ・ソ)でした。
再生すると、明るいサウンドのコードCが聞こえたはずです。

それでは、追加の問題です。
コードA・コードFも、打ち込んでみましょう。

Q
コードA・コードFを打ち込むと?

マイナーコード

マイナーコードの読み方

m記号が付いているものは、マイナーコードです。

  • Cm:シーマイナー

と、読みます。

マイナーコードの構成音

マイナーコードの構成音の導き方は、次の通り。

コードCm
  1. R(ルート)
  2. ルートから、半音3つ分上の音
  3. ②から、さらに半音4つ分上の音

マイナーコードは、暗く悲しい印象のあるコードですね。

【例題2】マイナーコードをDAWに打ち込んでみよう!

それでは、マイナーコードを、DAWに打ち込んでみましょう。

まずは、コードCmです。

できましたか?
コードCmの構成音は、C・E・G(ド・ミ・ソ)でした。
暗く悲しいサウンドが聞こえたはずです。

それでは、追加の問題です。
コードAm・コードF#mも、打ち込んでみましょう。

Q
コードAm・コードF#mを打ち込むと?

メジャーコードとマイナーコードの違い

構成音の違い

メジャーコード・マイナーコードの構成音の違いは、なんでしょうか?

  • メジャーコードルートから半音4つ分上の音を重ねる。
  • マイナーコードルートから半音3つ分上の音を重ねる。

そう!
たった一音の違いで、明るく感じたり、暗く感じたりするのです。

コードCと、コードCmの違いを、改めて聞いて確かめてみます。

コードC → コードCm

Cは明るく楽しげに、Cmは暗く悲しげに聞こえますよね。

違いはCmにある♭がついた一音だけなのに、音の響きは随分と違うものです。

音程から違いを見てみる

音楽基礎1「音の名前・高さ」の中で説明した、音程について覚えていますか?

音程は、2つの音の高さの距離のことでした。

それでは!
ここで改めて、コードCとコードCmの構成音だけ抜き取って考えてみます。

すると、メジャーコードの場合はM3(長三度)を使い、マイナーコードの場合はm3(短三度)を使うことが分かります。

これが、メジャーコード・マイナーコードの大きな違いなのです。

M3(長三度)なのか、m3(短三度)なのか。

三度の音が、
コードの明暗を左右するのです!

これがとっても大事です!

“m”の記号の意味は?

さぁ!
それでは今まで説明してきたことを、少し言い方を変えて説明します。

コードの記号は、メジャーコードの構成音を基本に考えます。

メジャーコードの構成音は、

  • R(ルート):基準の音
  • M3(長三度):Rから半音4つ分上の音
  • P5(完全五度):Rから半音7つ分上の音

でしたね。

そして、

コード記号に“m”があったら、
M3(長三度)を半音下げ、
m3(短三度)に変えます。

このように、コードの記号には、一つ一つ意味があります。

コード記号の読み解き方さえ覚えたら、
構成音は簡単に導き出せるのです。

コード記号の読み解き方さえ覚えたら、構成音は簡単に導き出せるのです。

【練習問題】M ↔ m:構成音はどう変わる?

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

ちょっとしたクイズに挑戦しましょう!

Q
コードDの構成音は、R:D(レ) M3:F#(ファ# P5:A(ラ)です。

コードDmなら、構成音はどう変化しますか?

M3:F#(ファ#)の音が半音下がるので、m3:F(ファ)になります。

Q
コードGmの構成音は、R:G(ソ) m3:B(シ P5:D(レ)です。

コードGなら、構成音はどう変化するでしょうか?

m3:B(シ)の音が半音上がるので、M3:B(シ)になります。

コード記号

さまざまなコード記号

コード記号は、さまざまな種類があります。

CM7・C7・Cm7・Cm7(♭5)・Cadd9・Cdim7……などなど。

また、違う記号でも、同じコードを指す場合も多いです。例えば、CM7・Cmaj7・C△7は、すべてシーメジャーセブンスというコードです。統一されていないので厄介ですが、出てきた都度、調べればOKです。

この記事では、基本の4種類の読み解き方をお届けします。

  1. M7:メジャーセブンス
  2. :セブンス
  3. m7:マイナーセブンス
  4. ♭5:フラットファイブ

まずは「こんなものか。」と、本記事をどんどん読んでいきましょう!

M7:メジャーセブンス

“M7”が付いていたら、M7(長七度)の音を加えます。

もっと分かりやすく考えましょう。

M7の記号は、
ルートのオクターブ上から半音下の音
を加えれば良い

のです。

M7の記号は、ルートのオクターブ上から半音下の音を加えれば良いのです。

鍵盤で考えると、次のようになります。

ピアノロールで考えると、次のようになります。

サウンドは、おしゃれで都会的に感じるはずです。

M7:メジャーセブンス

  • 意味:M7(長七度)の音を加える。
  • 作業オクターブ上のRから、半音下の音を加える。
  • イメージ:おしゃれ・都会的
  • 記号:M7・maj7・△7

7:セブンス

“7”が付いていたら、m7(短七度)の音を加えます。

言い換えると、

7の記号は、
ルートのオクターブ上から全音下の音
を加えれば良い

のです。

7の記号は、ルートのオクターブ上から全音下の音を加えれば良いのです。

鍵盤で考えると、次のようになります。

ピアノロールで考えると、次のようになります。

サウンドは、土くさく不安定な印象を感じるはずです。

7:セブンス

  • 意味:m7(短七度)の音を加える。
  • 作業オクターブ上のRから、全音(半音2つ分)下の音を加える。
  • イメージ:土くささ・不安定
  • 記号:7

m7:マイナーセブンス

m7の場合は、記号が2つ付いていることに着目します。

  1. m:M3(長三度)を半音下げて、m3(短三度)にする。
  2. 7:オクターブ上のRから、全音(半音2つ分)下の音を加える。

やってみましょう!

順番に考えれば簡単ですね。

ピアノロールで考えると、次のようになります。

コードCm7

ただのマイナーコードに比べると、悲しさが少しやわらいだ音に聞こえるはずです。

聴き比べてみましょう。

コードCm→Cm7

m7:マイナーセブンス

  • 意味:”m|7″と2つに分けて考えます。「m」はM3(長三度)を半音下げ、m3(短三度)にします。「7」は、m7(短七度)を加えます。
  • イメージ:やわらいだ悲しさ

♭5:フラットファイブ

♭5は、主にマイナーコードと組み合わせて使われます。

今回は、Cm(♭5)の構成音を導き出してみましょう。

Cm(♭5)は、記号が2つ付いていることに着目します。

  1. m:M3(長三度)を半音下げて、m3(短三度)にする。
  2. ♭5:P5(完全五度)の音を半音下げる。

やってみましょう!

順番に考えれば簡単ですね。

ピアノロールで考えると、次のようになります。

不穏な雰囲気を感じる音ですよね。

♭5:フラットファイブ

  • 意味:P5(完全五度)の音を、♭5(減五度)に置き換える。
  • 作業P5(完全五度)の音を半音下げる。
       あるいは、オクターブ上のRから、半音6つ分上の音を加える。
  • イメージ:不穏
  • 記号:Cm(♭5)=Cm(-5)=Cdim=C◯ など、様々な書き方があります。
  • 読み方補足:フラットフィフスと呼ぶ人も。

【おまけ】m7(♭5):マイナーセブンスフラットファイブ

最後におまけです。

今までの記号の組み合わせで、Cm7(♭5)の構成音を導き出してみます。

m7(♭5)の場合は、3つの記号から成り立っています。

  1. m:M3(長三度)を半音下げて、m3(短三度)にする。
  2. 7:オクターブ上のRから、全音(半音2つ分)下の音を加える。
  3. ♭5:P5(完全五度)の音を半音下げる。

鍵盤で考えると、次のようになります。

ピアノロールで考えると、次のようになります。

出てきたコードの構成音まとめ

まとめ

本記事のまとめです。

コード(和音)は、3音以上の違う高さの音の重なりのことを言います。

コードのすべての基本はメジャーコードで、構成音は以下の3つでした。

  • R(ルート):基準の音
  • M3(長三度):Rから半音4つ分上の音
  • P5(完全五度):Rから半音7つ分上の音

コード記号によって、音を変化させたり加えたりすることで、色々なコードを作ることが出来ます。

他にもさまざまなコード記号がありますが、本サイトでは新しいコード記号が出たら、その都度説明します。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

次の記事では、本記事で覚えたコードを使って、コード進行をDAWに打ち込んでいきますよ!

次の記事はこちら
その2.コード進行の打ち込み:ボイシング
その2.コード進行の打ち込み:ボイシング
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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早15年。東北秋田で田舎生活しながら、音楽にいそしむ。ミュージカル等の舞台音楽、CM音楽・ファミリー向け楽曲を手掛ける。

歌詞が伝わる歌を作るのが得意。

・音楽制作依頼(舞台音楽・CM楽曲等)
・ブログ運営(音楽理論&プラグイン解説)
・教材販売
・ファミリー向けの作品づくり
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