【無料】第0章 前置き

【DTM初心者向け3】作ったメロディーの打ち込み

chord-a-melody

本記事では、作ったメロディーを録音し・DAWに打ち込みます。

↓こんな感じで、歌(楽器)を録音し、その通りに打ち込むのが目標です。

↑のように、歌をMIDI化できる方は、本記事を飛ばして次の記事「コードってなに?」に進んでOKです。

逆に、初めて挑戦する方。
歌をMIDI化するのは、最初はとても時間がかかることです。

  • 操作が思うように行かない。
  • 音程の聞き取りに時間がかかる。
  • 譜割りがすぐに思い浮かばない。
作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

大変な部分は、慣れが解決してくれる部分が多いです。

しかし、本記事でお伝えするコツを使うことで、多少は早く作業できるようになるはず!

Studio Oneで解説していきますが、他のDAWでも参考になると思いますよ!

腰を据えて付いてきて下さい!

メロディーを記録する前に

メロディー記録の順番

本記事で紹介する、メロディー打ち込みの流れです。

  1. 口・楽器でメロディーを作る。
  2. 歌・演奏して、録音する。
  3. 録音データを元にメロディーを打ち込む。

いきなりピアノロールでメロディーを作る人もいると思いますが、①口で歌ってメロディーを作るのがおすすめです。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

口で歌って作る方が、口ずさみやすく、親しみのわくメロディーになることが多いですしね。

歌モノ楽曲を作りたい方は、特に意識してみましょう!

また、作った②メロディーの録音は、面倒くさがらずにやりましょう!

特に最初のうちは、DAWの操作に慣れずに、打ち込んでいる内にメロディーを忘れてしまう場合が多々あります。

実録:メロディーの記録

適当に歌って作ったメロディーを、実際に打ち込むとどうなるかを見ていきます。

①口でメロディーを歌って作ってみる

今回は、「子どもが喜びそうな跳ねて明るい感じのメロディー」を作ってみます。

このように、先に曲のテーマを決めてからメロディーを作りましょう。

なんでも良いからメロディーを作るよりも、テーマがある方がメロディーを作りやすいですし、一本筋の通った曲が生まれるはずです。

②メロディーを録音する

それでは、DAWに直接メロディーを録音してみます。

録音すると、次の画像のように波形データが出てきます。

この例では「♪デーレデーレ」と歌っていますが、きちんとした歌詞や「ラララ」で歌ってもOKです。

この歌を元に、メロディーを打ち込んでいきます。

③録音したメロディーを元にメロディーを打ち込む

歌を聴きながら、同じように打ち込んでいきます。

最終的に打ち込んだのがこちら。

歌とメロディーが一緒に流れているのが分かりますね。

本記事では、ここまでできるようになるのが目標です。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

せっかく今後コードを学んでも、そもそもメロディーを打ち込めないと、メロディーにコードを付けられませんからね!

メロディーを録音する方法

音声を記録する2つの方法

音声を記録するのは、DAWかそれ以外かの2種類に分けられます。

  1. DAWに直接録音:オーディオインターフェースからPCに。
  2. DAW以外に録音:スマホ・タブレット・ICレコーダーなど

基本的には、①DAWへの直接録音がおすすめです。録音後に即作業できるためです。ただし、オーディオインターフェースやマイクなどの、外部装置が別途必要になり、資金面でのネックがあります。

②スマホ・タブレット・ICレコーダーなどは、持っていればすぐにできます。導入が楽な分、録音後にパソコンに取り込む作業が別途必要になります。

資金との兼ね合いを見ながら、どちらにするか決めましょう。

以下、録音媒体を選んで先に進んで下さい。

【おすすめ】DAW(パソコン)に直接録音する方法

準備が必要なもの

録音のために、パソコン・DAWの他に必要なものは、次のとおりです。

  • オーディオインターフェース:音をキレイに入出力するための機材
  • ヘッドホン:音漏れが少ない密閉型ヘッドホン
  • マイク:コンデンサーマイク・ダイナミックマイクがあります。自宅で録音する人は、一定方向の音を収録するダイナミックマイクの方が便利です。
  • マイクケーブル:最初の内は、繋げるならなんでもOK。
  • マイクスタンド:マイクの位置を変えずに録音するためのもの。
  • ポップガード:息をガードするためにマイクスタンドに付けるもの。

意外と忘れられがちなのが、マイクスタンド・ポップガードです。

マイクスタンドは、声の距離感を一定にしたり、ハンドノイズ(マイクを持つことで出る雑音)を防止できます。ポップガードは、息が吹きかかった「ボフッ」という雑音を防げます。

この2つがなくても録音はできるのですが、ゆくゆくは用意するのが良いでしょう。

オーディオインターフェースのインストールとDAWの設定

オーディオインターフェースを買ったら、パソコンにドライバをインストールします。説明書・マニュアルPDFを見ながら、作業しましょう。

インストール後、DAW側でも設定が必要です。
Studio Oneの場合は、キーボードショットカット「Ctrl+,」でオプションを開きます。

「オーディオ設定→オーディオデバイス」から、インストールしたオーディオインターフェースを選択します。

その後、画面下部の「ソング設定→オーディオI/O設定」から、オーディオインターフェースの入力の設定をします。

↑ここは購入したオーディオインターフェースによって、設定が変わります。

オーディオトラックの立ち上げ

オーディオインターフェースの設定が終わったら、録音準備に入ります。

オーディオトラックを立ち上げてみましょう。

これで、オーディオトラックが立ち上がります。

Q
Q.ステレオとモノどちらを選べば良い?

トラック追加時のフォーマットは、モノ・ステレオどちらを選んでも構いません。

大事なのは、入力チャンネルが合っているかどうかです。

先々の話となりますが、オーディオデータにリバーブ(カラオケで言う所のエコー)などのステレオ仕様を想定されているエフェクトをインサートして使う際、モノラルトラックでは想定された音が出ません。

ただ、モノラルとステレオは、ボタンひとつで切り替えられますので、今はまだ深く考えなくてもOKです。

オーディオトラックが立ち上がったら、録音待機ボタンを押しましょう。

テンポの設定

メロディーを打ち込むためには、テンポに合わせて録音する必要があります。

そのため、録音する前に曲のテンポを決めます。

Studio Oneの場合は、タップテンポ機能があります。
下の画像の部分を何度かマウスでポチポチすることで、テンポを自動入力できます。

実際に録音するメロディーを口ずさみながらタップすると、正確なテンポがとりやすいです。

また、「テンポと書いている上にある数字をクリックして直接打ち込む。」「数字をマウスホイールで微調整する」などでも調整可能です。

メトロノームの鳴らし方

録音中にテンポを確認するために、メトロノームを鳴らす設定にしましょう。

画面下部にある、メトロノームボタンをオンにし、横にあるスパナマークで設定します。

メトロームの音は何種類かあるので、再生ボタンを押して、聴きながらお好みのものを選びましょう。

いざ録音!

それでは、録音します。

画面下部の赤い●ボタンか、キーボード「*」を押すと、録音開始です。

メトロノームのテンポを聞いて、自分の体に馴染ませてから、メロディーを口ずさみましょう。

録音が終わったら、ショートカット「スペースキー」を押すか、画面下部の■停止ボタンを押して、録音を終えます。

オーディオデータの編集

メロディーを打ち込む前に、オーディオデータを編集しておきましょう。

  1. 長さの調整
  2. 適切な位置へ移動
  3. フェードイン・フェードアウトをかける。

①長さの調整は、オーディオイベントのはじっこをドラッグして行います。スナップボタン「N」をオンにした状態で、長さを調整するのをおすすめします。

②適切な位置へ移動は、どこでも良いのですが、取り急ぎ2小節目から歌が始まるように移動してみましょう。Studio Oneのスマート矢印ツールは、オーディオイベントの上半分がオーディオの範囲選択下半分が移動となっているので、動作を確認すると良いですね。

移動の際も、スナップボタン「N」を活用すると、小節が変わっても音がずれないようにできます。

③フェードイン・フェードアウトは、オーディオの音量をふわっと大きくしたり、小さくしたりするためのものです。今後、ノイズ対策のために、オーディオ素材には必ず行うようにしましょう。

これで、メロディーが録音でき、打ち込むための準備が出来ました!!

それでは「録音データを元にメロディーを打ち込む方法」に進みます。

DAW外に録音:スマホ・タブレット・ICレコーダー

メトロノームを用意する

DAW外に録音する場合は、メトロノームを別に用意しましょう。テンポが一定でないと、DAWにオーディオファイルを取り込んだ際に、非常に面倒になります。

スマホのメトロノームアプリでもOKですが、スマホ自体に録音する場合は、同時に使用できないと思いますので、別途メトロノームを用意するのをおすすめします。

タップテンポに対応しているアプリ・メトロノームがあれば、楽できます。指でボタンを押した時間の長さから、テンポを自動的に設定できる機能です。

私が愛用しているKORG KDM-3

いざ録音!

メトロノームでテンポを決めたら、録音しましょう。

後々テンポ合わせをするので、メトロノームの音が歌と一緒に収録された方が良いです。

録音したメロディーは、ただのスケッチなので、音質が良い必要はありません。mp3やAACで保存して大丈夫です。

参考

iOSの場合は、SHURE MOTIVというアプリが便利です。

録音フォーマットを選べるだけではなく、送信方法も様々搭載されているためです。

DAWに音声ファイルをインポートする方法

スマホのデータを、パソコンに取り込む方法は色々あります。

  • 自分にメール添付で転送する。ギガファイル便を使う。
  • Cloudソフト(Dropboxなど)を使う。
  • パソコンと直接つなげる。
  • SDカードなどの外部メモリを使う。

おすすめは、Cloudソフトを使う方法です。私が使っているのは、Dropboxです。

スマホ上でDropboxに保存すると、パソコンでも勝手に同期され、自動的にダウンロードしてくれます。

どんな方法でも構いませんが、パソコンに音声ファイルを入れましょう。

DAW上のテンポを揃えておく。

収録した時のメトロノームのテンポを、DAW上でも設定します。

それではインポートします。

DAWに音声ファイルをインポートする(取り込む)方法

取り込みたい音声ファイルを、パソコンのフォルダに表示します。

そして、DAWにドラッグ&ドロップすると、音声ファイルをインポートすることができます。

表示されたら、インポート完了です!

トラックのカラー・名前・位置を変更

後々の作業がしやすいように、丁寧にいきましょう。

オーディオデータの編集

今度は、メロディーを打ち込みやすいよう、オーディオファイルを次の順番で編集します。

  1. 長さの調整
  2. 適切な位置へ移動
  3. フェードイン・フェードアウトをかける。

①オーディオイベントの長さの調整は、オーディオイベントの端をドラッグ&ドロップする方法が楽です。今回は、もう一つの方法、オーディオの分割をご紹介します。

まず、分割ツール:キーボードショットカット「3」を選択します。

①適切な位置へ移動は、どこでも良いのですが、今回は2小節目から歌が始まるように移動してみましょう。Studio Oneのスマート矢印ツールは、オーディオイベントの上半分が選択・下半分が移動となっているので、動作を確認すると良いです。

そして、拡大「E」を押して、波形を拡大して表示し、波形とメトロノームの音を合わせます。

これで、歌の始まりが2小節目になったはずです。

③フェードイン・フェードアウトは、オーディオの音量をふわっと大きくしたり、小さくしたりするためのものです。今後、ノイズ対策のために、オーディオ素材に必ず行うようにしましょう。

これで、メロディーが録音でき、打ち込むための準備が出来ました!!

それでは先に進みます。

録音データを元にメロディーを打ち込む方法

メロディーを打ち込む3つの方法

録音したメロディーを打ち込む方法は、大まかに3種類あります。

  1. 耳で確かめながら打ち込む方法
  2. 目で見て打ち込む方法
  3. ソフトウェアに自動的にしてもらう方法

おすすめは、①耳で確かめながら打ち込む方法

録音データから、歌の音高を聞き取り、ピアノロールに打ち込みます。

最初はとても大変だと思いますが、DAWで伴奏を打ち込んでいく時にも行うことなので、絶対に慣れた方が良いです。

どうしても楽したいという場合は、お金で解決できる②③の方法もあります。

②③有料だけど少し楽になる方法

Studio Oneには、Melodyneというソフトが付いてきます。

Melodyneを使うと、音声ファイルのメロディーを見ることができます。(Audioを選択した状態で、「Shift+M」を押せばOK。)

これを元に、見て打ち込むのが、②目で見て打ち込む方法です。

それ以前に、Melodyneを使うとドラッグ&ドロップでメロディーを自動的にMIDIデータ(打ち込みしたデータ)に変えられます。……ですが、歌が下手だったり、しゃくったりしていると、正しい打ち込みにはなりません。

最後の方で、音がズレています。

音程が違うのもそうですが、音の長さも結構違いますよね。これをたたき台にして、整理していくのも一つの手です。

また、Dubler2というソフトウェアは、歌ったらすぐにMIDI化することができますが、こちらも同じように正しい打ち込みにするには、コツが必要です。(あと、少しお高いです。)

ソフトの力で少しは楽になりますが、こうしたメロディーの修正には、どちらにせよ耳で聞き取って修正する力が必要になるのです。

実際にメロディーを打ち込んでみる。

例として、先ほどのメロディーを打ち込んでみます。

最初の音を読み取る。

最初の音が何かを、ピアノロールの横にある鍵盤をクリックして確かめます。

同じ音を見つけたら、打ち込んでいきます。

鉛筆ツール:キーボードショートカット「3」にして、打ち込みます。

ノートの長さを変更する。

ノートの長さを調整する時は、ノートの端をドラッグ&ドロップで調節します。

音価(音の長さ)は、Audioファイルを見ながら判断してもOK

耳で判断しても良いのですが、目で判断する方法をお知らせします。

上記の画像のようにすると、オーディオとピアノロールを一度に見られ、カーソル位置が一致します。そのため、音価(音の長さ)を目で確認しながら打ち込めます。

その分、ピアノロールの上下の表示が狭くなるので、適宜切り替えながら打ち込みましょう。

リズムがストレートか跳ねているかを確認する。

どうにもメロディーと、Studio One上のグリッドが合わない時があるかもしれません。

そんな時は、リズムが跳ねているのです。

今回の場合は、クオンタイズ「1/8T」か「1/8 100% sw」を選ぶと、歌の跳ね具合とグリッド(縦の線)が合いました。

  • 1/8T:Tは、triplet。つまり、三連符です。
  • 1/8 100% sw:swは、スイングです。
中途半端な跳ね方の場合は

Qボタンから、微妙な跳ね具合を自分で設定することで、微妙に跳ねたリズムで打ち込めるようになります。

その後も打ち込む。

その後も、耳で聞き取りながら打ち込み、最終的には以下のようになりました。

あると便利なMIDIキーボード

マウスでポチポチ打ち込んでいると、どうしてもイライラしてしまう。という方もいると思います。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

そんな方には、MIDIキーボードがおすすめです!

MIDIキーボードをパソコンにつなぐと、鍵盤を押すことで、すぐに音を確認できます。

左手で音を確かめながら、右手ですぐマウスで打ち込む。と言った具合に、打ち込みが早くなるわけです。

ピアノが弾けない方でも、かなり重宝しますので、導入をぜひ検討してみて下さい。

【問題集1】音声ファイルを打ち込んでみよう。

せっかくなので、音声ファイルを打ち込んでみましょう!

ご自身で作ったメロディーでも構いませんが、簡単な練習素材を用意したので、試してみて下さい。白鍵のみを使い、黒鍵は使わない問題なので、楽だと思いますよ。

↓からダウンロードして、DAWに貼り付けてみましょう。

Q
▶DAWにAudioデータを貼り付ける方法
  1. ダウンロードする。
  2. zipファイルを展開する。
  3. DAWにドラッグする。

①ダウンロードする。

デスクトップにダウンロードするのが、一番分かりやすいと思います。

②zipファイルを展開する。

ファイルを右クリックして、「すべて展開……」を選択します。

③DAWにドラッグする。

DAWの空いているスペースにドラッグ&ドロップすればOKです!

問題1:四分音符主体のメロディー

BPM80に合わせてから、貼り付けて下さい。

Q1:BPM80

クオンタイズは、1/4を選びましょう!

Q
問題1の答え 
A1

問題2:八分音符主体のメロディー

BPM140です。

Q2:BPM140

クオンタイズは、1/8を選びましょう!

同じファイル内でテンポを変える方法

テンポレーンを使うと、曲中にテンポが変えられます。

これで、同じファイル上で問題集を解くことができます。

Q
問題2の答え
A2

問題3:十六分三連符主体のメロディー

BPM86です。

Q3:BPM86

クオンタイズは、1/16Tを選びましょう!

Q
問題3の答え
A3

まとめ

以上が、作ったメロディーをDAWに打ち込む方法です。
私の問題集のほか、ご自身で作ったメロディーもぜひ打ち込んでみて下さい。

問題集では、Key=Cの白鍵「ドレミファソラシド」しか用いないメロディーで練習して頂きましたが、実際には#・♭を含むメロディーに出会うことも多々あるでしょう。

そういった場合には、後の記事で学ぶキーの概念を持っていると、格段に作業スピードが早くなります。

今の時点で、かなり時間がかかってしまうとしても、諦めずに作業を楽しんで頂ければと思います。

作曲家<br>わたなべ
作曲家
わたなべ

いよいよ、第1章に進みます!
本格的にメロディーにコードを付ける世界へ踏み込みますよ!

次の記事はこちら
その1.コードってなに?
その1.コードってなに?
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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早15年。東北秋田で田舎生活しながら、音楽にいそしむ。ミュージカル等の舞台音楽、CM音楽・ファミリー向け楽曲を手掛ける。

歌詞が伝わる歌を作るのが得意。

・音楽制作依頼(舞台音楽・CM楽曲等)
・ブログ運営(音楽理論&プラグイン解説)
・教材販売
・ファミリー向けの作品づくり
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