作曲依頼の前に知っておくべき著作権のこと。フローチャートで簡単!
TV CM、商品や企業のテーマソングなど、せっかく制作費をかけて作る楽曲。著作権のことを曖昧にして、後々トラブルにならないようにしたいですよね。
この記事では、
- 企業担当者向け
- 広告代理店担当者向け
に、著作権のことを分かりやすくご紹介します。 後半には簡単なフローチャートもご用意致しましたので、ぜひご活用下さい!
作編曲家の渡部絢也です。これまで企業のテーマソングやTVCMなどを手掛けてきた経験から、この記事を書きました。(CLIENT WORKS参照)
著作権についての誤解
依頼する側が制作費を出しても、契約書を交わさない限り、出来上がった楽曲の著作権は作曲家が持つことになります。
この例のようになると大変ですね。 著作権の取り扱いを事前に決めた上で、制作依頼しましょう。
企業側の選択肢は?
では、企業側にはどのような選択肢があるのでしょうか。
選択肢 | 特徴 |
著作権買取する (著作権譲渡) | ・ 楽曲を何度でも自由に使える。 ・ 頒布&販売なども可能。 ・ 一点もののため、制作料が高くなる。 ・ 著作者人格権の取り扱いに注意が必要(*次項説明) |
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著作権買取なし | ・ 期間や使用回数が決まることがある。 ・ 再使用する場合に、使用料がかかる場合がある。 ・ 制作料が低くなる。 ・ 作曲家がその楽曲を公開、利用権を販売することがある。 |
ロイヤリティ方式 | ・ 作った楽曲を販売する場合に、販売金額の○%を配分する。 |
著作権買取時の注意点
そもそも著作権買取とは
「著作権買取」とは「著作権譲渡契約を結び、譲渡料を払い、著作権を作曲家から制作依頼した側へと譲渡させる」ことを言います。
作曲料に譲渡料を含む作編曲家もいますが、著作権譲渡契約は別途結びましょう。
著作者人格権は譲渡できない。
契約内容によっては、「著作権を完全に譲渡した」とは言い切れない場合が出てきます。
著作物を作ると、著作権の他に、著作者人格権という権利が自動的に発生します。著作者人格権は譲渡することができません。(著作権法第59条)
著作者人格権とは?(一部を紹介)
- 公表権 (無断で著作物そのものを公表されない権利)
- 氏名表示権 (著作物を公表する際に著作者名の表記を決定する権利。実名以外に無名または変名使用も含む。)
- 同一性保持権 (無断で著作物を改変されて誤解を受けない権利)
例えば、作曲家が「名前を表示してほしい!」と求めた場合は、氏名を表示する必要があります。
別アレンジバージョンを作りたい!と考えても、同一性保持権により、作曲家に許可を求める必要があります。
著作者人格権を行使させない条項を組み込む
もし今後、作曲家に著作者人格権を行使されると困ると考えるのであれば、契約書の中に「著作者人格権を行使しない」という条項を追加する必要があります。
ただ、著作者人格権は著作者にとって、とても大切な権利です。この条項を追加するしないは、譲渡料の増減にも影響します。
「著作権買取なし」にできない場合も
- 1クールしか使わない!
- 楽曲制作料をとにかく安くしたい!
という場合に、「著作権買取なし」を選択したい企業もあるでしょう。しかし、それができない場合もあります。
それは制作する楽曲に汎用性がない場合です。例えば、歌詞に企業の名前が入っている楽曲を、他の企業さんが使うことはできませんよね。
今は、楽曲の利用権を販売するAudioStockなどのサービスもあります。作曲家は作った楽曲で最大限の利益を生みたいと考えます。汎用性のない楽曲を制作依頼する場合は、「著作権買取」で制作料が高くなるのは仕方のないことだと考えて下さい。
簡単!著作権フローチャート
以上のことを踏まえて、企業担当者様が簡単に判断できるフローチャートを作成しました。
著作権譲渡料の相場
相場はありません。企業側と作曲家側、双方の納得する金額が、著作権譲渡料となります。
が、方法の一つとして、制作料を基準に考える方法があります。
手間がかかる楽曲ほど、著作権の価値が高いと考えれば、制作料を基準に考えるのは妥当ではないでしょうか。
まとめ
著作権の取り扱いを曖昧なままにしておくと、後々のトラブルに繋がりかねません。ぜひこの記事を参考に著作権の取り扱いを決めてみてください。
著作権の取り扱いに迷っている場合でも、制作依頼のご相談に乗らせて頂きます! お気軽にご依頼・ご相談下さいね。