Omnisphere2レビュー 最高級のサウンド!多機能なシンセサイザー
- ちょっと重いが、最高級のサウンド!
- 多機能かつ高機能!
- 様々なジャンルを網羅!
さすが、定価6万円台のシンセサイザー!ありとあらゆるサウンドが収録されています。
本ページでは、サウンドを交えて、特徴に迫っていきます。
>Spectrasonics Omnisphere2の金額を確認する
Omnisphere2のサウンドを聞こう!
説得力のあるサウンド
下記は、4トラック全てがOmnisphere2の音源を使ったものです。
一つ一つのプリセットが、とにかく緻密かつ重量感を感じるサウンドだと思いませんか?
メインとなっているシーケンスは、同社のTrilianを持っていると使えるTrilian Creativeというカテゴリから、選択したものです。
同社のKeyscapeを持っていると使えるKeyScape Creativeも同様に、説得力のあるサウンドが多いです。
元々入っている14,000を超えるプリセットのサウンドも、傾向は同じ。決して手を抜かないプリセットの数々に、感動すら覚えるはずです。
コーラスやカリンバ、ギター。EDM向けも。
カリンバは、謎にたくさん収録されています。とても高音質。
他、Human Voicesというコーラスのカテゴリや、ギターなど、専用音源に比べるといまいちではありますが、持っていない人にとっては「いいじゃん!」というレベルのプリセットも多数入っています。
Spotlight – EDMというカテゴリでは、EDM向けのプリセットが収録されています。
またハードウェアからサンプリングした音を使ったカテゴリHardware Library、レトロゲームっぽいサウンドのカテゴリRetro Landもあります。
巷で「Omnisphere2はEDMに向いている」という声が聞こえるのは、こうしたカテゴリに含まれるサウンドのクオリティが高く、使いやすいからだと思います。
劇伴に向くサウンド多数
舞台や映像の後ろに流れる音楽に向くカテゴリが存在します。
- Hits and Bits:SE系のサウンド。(ドーン!やらピコピコピコ……)
- Noisescapes:環境音・長めのSE系サウンド
- Textures Playable:音程感があり、演奏可能。感情を表現する際に最適なサウンド。
- Textures Soundscape:音程感が少ない。シーンの後ろに流れていそうなサウンド
- Transition Effects:場面の切り替わりに流れそうなサウンド
プリセットを幾つかご紹介。
日本代理店であるMedia Integration様への寄稿記事内で、本項目をもっと詳しく書きました。ご参考にどうぞ。
Omnisphere2の多機能性
Omnisphere2は、語り尽くせないほど多機能なシンセサイザーです。
本ページでは下記の内容について、解説していきます。
- プリセット
- オシレーターセクション
- フィルター・エンベロープ
- モジュレーション
- ORB
- アルペジエーター・FX(エフェクト)
①プリセット
大量のプリセットの中から、望むサウンドを探す方法が色々あります。
まず、左上にあるDIRECTORYという部分から、ライブラリーを選択できます。
また、「ちょっと似てるんだけど、違う音色が良いんだよなぁ。」という場面で使えるSound Matchも親切です。
「物凄く似てるわけでもないけど、何となく雰囲気が似てる」プリセットが出てくるので面白いです。
②オシレーター
オシレーターは、音を出す大本の部分で、Omnisphere2では、オーディオ素材であるサンプルと、波形から音を作り出すシンセから選ぶことができます。
画面上ではとてもシンプルに見えますが、このセクションだけでも、かなり複雑なことができます。
例えば、シンセはウェーブテーブル式なので、SHAPEのフェーダーを動かすと波形が変化し、音色もどんどん変わります。
画面真ん中、FM・RM・WS・UNI・HRM・GRNという灰色の文字の下も、ボタンとなっており、押すことで音が変化させられます。
- FM:FM変調。元の波形に違う波形をぶつけて音を変えるイメージ。
- RM:リングモジュレーター。金属的な音に。
- WS:ウェーブシェイパー。音を歪ませる。
- UNI:ユニゾン。音を重ねる。ピッチをずらして重ねたりもできる。
- HRM:ハーモナイザー。違う度数の音を重ねられる。
- GRN:グラニュラー。サンプルを分割して、クロスフェードさせながら、ランダムに鳴らす。
他の挙動については、Omnisphere2のマニュアルを日本語化して読むと分かりやすいです。
③フィルター・エンベロープ
フィルターとエンベロープは、メイン画面の右にあります。
フィルターは、EQで音を形作るようなイメージです。
またフィルターの右端にあるENVというつまみで、フィルターの周波数を時間で動かすことができるようになります。
ADSRというのは、アタック・ディケイ・サスティン・リリースの略で、シンセの基本となる概念です。
ここでは詳細を説明しませんが、AMPタブで、シンセの音量を変化できます。
MODSタブは、モジュレーションを使う際に使用します。
④モジュレーション
モジュレーション(変調)とは、何らかのトリガーをきっかけにして、シンセのパラメーターを変化させる際に使います。
例えば、周期的にパンを変化させたいなんて時に、簡単にできます。
LFOは、周期的に変化させる時の定番のモジュレーションですね。
全くのシンセ初心者だと、中々とっつきにくい部分かもしれませんね。
Media Integration様への寄稿記事内では、もう少し詳しく説明しているので、ご参考下さい。
⑤ORB
ORBセクションでは、◎をドラッグすることで、音を物凄い勢いで変化させられます。
iPadと連携させられたりもできます。
初期状態からORBをONにすると、自動的にFXにエフェクトが立ち上がるのが確認でき、◎の位置によって、エフェクトの値が変化することで音も変わることが分かります。
ちなみにORBを、モジュレーションソースとして使うことも可能です。
⑥アルペジエーター&FXセクション
アルペジエーターは、アルペジオを打ち込むための機能。FXは、エフェクトです。
これら2つの機能については、日本代理店であるMedia Integration様への寄稿記事内で、詳しく触れています。
ちなみに記事内で、アルペジエーター・FXを駆使して作ったサウンドが、次のものです。
最初からアルペジエーターを機能を組み込んだプリセットも多いですが、自分なりにアレンジすることで、より好みに変化させることができるでしょう。
Omnisphere2の徹底分析
どんな音楽制作に向くのか?
Omnisphere2は、Spotlight – EDMやHardware Library、Retro Landといったカテゴリがあるため、EDM系に強いシンセサイザーと言われます。
特にRetro Landでは、古き良きピコピコ音が多く収録され、チップチューンやKawaii系サウンドにも向いています。
また、ARP+BPM・Texture系の音は、楽曲に華を出すのに手っ取り早いので、特に電子音楽的なポップスをやりたい方は、ガンガン使えます。
逆に、生楽器主体の楽曲に対しては、使える音は限定的です。
あくまで、シンセサイザーですからね。
Omnisphere2の恩恵を一番感じるのは、劇伴や映像向けの音楽を作る職業作曲家でしょう。(また、それらを目指そうと志す人たち。)
Texture系、Transition(切り替わりの音)、Noizescapesなどのカテゴリは、他のシンセサイザーではあまり見かけないカテゴリーですし、代替を求めると複数の音源やサンプル素材が必要になると思います。
目当ての音より、新しいサウンドを。
14,000個以上のプリセットのため、目当てのサウンドを探すのは、苦労する場合も私自身は多いです。(プリセットの項目で説明したSound Matchの機能を使ったとしてもです。)
それでも、替えが利かない音源であることは間違いありません。
特に優れているのは、今まで聞いたことのないサウンドを探して、そこから創作意欲を高めたり、曲制作のとっかかりとすることです。
創造的なサウンドが多いことは、特にOmnisphere2が他のシンセサイザーを凌駕する部分であると感じています。
CPU負荷
CPU使用率は、物凄く高いというわけではありません。
しかし、プリセットの切り替えに多少時間がかかります。
SSDにインストールしても、それほどロードが早くなるわけではありませんので、覚悟しましょう。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One5.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:512samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Spectrasonics Omnisphere2のレビューです。
多機能・高機能、少し重いけど、サウンドは一流。
さすが、Spectrasonicsです!
>Spectrasonics Omnisphere2の金額を確認する