正しいピッチ(音程)で歌うための、2つの力!? 必要な練習法!
この記事は、
- いくら練習しても、正しいピッチ(音程)で歌えない!
- もっと安定したピッチで歌いたい!
という、ボーカリストに向けた記事です。
私自身も、音楽を始めた当初はピッチが安定しませんでした。音楽活動を続けている内に、今ではピッチが良いと言われるようになりました。ピッチの良さは一朝一夕で身につくものではありませんが、確実に鍛えられる方法をご紹介します。
正しいピッチで歌えるようになるためには、2つの力が必要です。その前に、まずはピッチと音程の違いを説明します。
ピッチと音程の違い
ピッチと音程は、似ているようで少し違います。
音程がずれている | 例)ラで歌うべきところを、ソで歌ってしまう。 |
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ピッチがずれている | 例)440Hzのラを歌うべきところを、438Hzで歌っている。 |
音程がずれている方が大きなズレ幅ですね。
音程がずれる場合
音程がずれる原因としては、
- 音の高さの概念がよく分からない。
(例えば、ミとファのどちらが高いのか分からないという状態) - 楽曲をきちんと聴き込んでおらず、音程が分からない。
などが、挙げられます。
音の高さの概念が分からない方は、楽曲で練習するよりも、先に音程感を鍛えましょう。
キーボードや鍵盤アプリを使って、ドレ、ドミ、ドファ、のように正しい音を聴きながら、真似する練習から始めます。iPhoneであれば、GarageBandで大丈夫です。
ピッチがずれる場合
音程はとれるけど、微妙に低くなってしまったり、高くなったりして、楽曲にフィットしない。というのは、ピッチがずれている場合です。
実際のところは……
とは言え、厳密に分けて考える必要はないと思います。ズレ幅の問題で、「半音以上ずれていれば、音程がずれている」と言われ、「半音以下ずれている場合は、ピッチがずれている」と言われるだけの話。
結局の所、音の高さが合っていないということです。
なので、これから先は、正しい音の高さで歌うことを正しいピッチで歌うと表現します。
正しいピッチで歌うための2つの要素
正しいピッチで歌うためには、二つの力を高める必要があります。
- 正しいピッチを判断する力
- 正しいピッチを再現する力
自分が歌っている歌のピッチが正しいのかどうか分からなければ、正しいピッチで歌うことはできません。
また、正しいピッチを判断できても、それを再現できなければ、結果としてピッチのずれた歌になってしまいます。
ですから、正しいピッチを判断する力と再現する力、二つの力を鍛えていきましょう。
正しいピッチを「判断する力」を高める方法
判断する力を高める2つの方法を紹介します。簡単にできる方法と、相応の準備が必要な方法があります。
簡単な方法:自分の歌を録音して、能動的に聴く。
自分の歌を客観的に聴いたことはありますか? スマホの録音アプリを使用すると、簡単に自分の歌を録音することができます。
ピッチが合っておらず、聴き直すのが辛いという方もいるかもしれません。ですが、これが一番判断する力を高めます。
ポイントは、聞き直す時に能動的に聴くこと。具体的には、A4用紙に歌詞を印刷して、ピッチのズレを筆記用具で記録するのがおすすめです。
ピッチのズレは三種類に分けられます。
- ピッチが高い。
- ピッチが低い。
- ピッチが安定せずフラフラする。
A4用紙にピッチのズレを記載することで、自分の歌の傾向も見えて来るはずです。このピッチのズレを念頭に入れた上で、次項で紹介する再現する力を高める練習を行います。
準備が必要:音程矯正ソフトを使い、視覚的に確認する。
判断する力を高める二つ目の方法は、音程矯正ソフトを使う方法です。
音程矯正ソフト(例えばMerodyne)を使うと、自分の歌の音程を視覚的に確認することができます。歌い始めにしゃくる癖、必ずピッチが下がってしまう箇所など、多くの情報をすぐに読み解くことができるでしょう。
自分の歌声を客観的に読み解くことができる音程矯正ソフトは、ボーカリストにとっては、喉から手がでるほど欲しい多くの情報が詰まっています。(例えば、ビブラートの揺れ幅が大きすぎる場合、ピッチが甘く聞こえる場合があります。全音単位で大きく揺れてしまう癖があったとしても、視覚的にすぐ判断できるでしょう。)
ただし、導入までいくつかハードルがあります。
- パソコンを手に入れる。 録音環境を作る。
- (DAW・オーディオインターフェース・マイク) Melodyneを導入する。 オケを用意する。
- (例えば、カラオケ屋で録音したり、自分で作る。) 歌を録音し、解析する。
パソコン以外の購入物だけでも5~10万円するので、金銭的に余裕のない方は、知人のDTMerにお願いするのもありかと思います。
ハードルが高い分、音程矯正ソフトで自分の歌を確認・矯正すると、判断する力を大きく育てられます。また、自分の音源を作成できる環境を構築することにもなるため、本格的に音楽をやろうと志す方にはオススメです。
自分の歌を矯正するのは、想像を絶する苦痛……っ!!😨
視覚に頼りすぎると、かえって音程が合わない場合もあります。絶対的な音程が正解ではなく、オケに馴染む音程こそ正解だからです。
そのため、私は最終的には耳で判断して矯正します。
DAW(PC上で音を編集するソフト)は、Studio Oneをおすすめします。 Studio One Professionalは、実売価格4万円以上しますが、 Melodyne Essentialが付属しています。
11月のブラックフライデーセール近辺では、大きく値下がりすることもあります。
正しいピッチを再現する力を高める方法
正しいピッチを再現する力を高める方法。それは、自分の歌をモニターしながら練習する方法です。マイクを使い、ヘッドホンやスピーカーで自分の歌を確認しながら練習するということです。
モニター練習で意識すること
モニター練習をする時は、最初から正しいピッチで歌うことに意識を集中するより、歌っている自分の歌のピッチが合っているかどうかを確認する方に意識を割きます。意識の割合としては、3:7くらいの感覚です。
「今、ピッチが低かったな。今は高すぎた。お、今は、安定して歌えた。」
というように、歌いながら自分の歌をモニタリングします。リアルタイムでずれを知覚できるようになれば、自然と再現する力が増していきます。
判断する力の練習で使った、ピッチのずれを書き込んだ歌詞カードも活用し、ピッチがズレがちな箇所を意識することで、より精度も高くなっていくはずです。
モニター練習は、本番を想定した練習
ステージに立った時を想定すると、オペラ歌手以外は大抵マイクを使います。ステージ上では、自分の声をスピーカーやイヤホンで確認しながら歌うということ。モニター練習は、本番を想定した練習とも言えるでしょう。
スピーカー練習とヘッドホン練習について
モニター練習は、スピーカー練習とヘッドホン練習の2種類があります。
スピーカー練習は、主にライブを想定した練習です。ヘッドホン練習は、主にレコーディングを想定した練習と言えます。ピッチをより精密に判断・再現できるのは、ヘッドホン練習に分が上がります。
が、ライブ直前までヘッドホンで練習していて、本番でいきなりスピーカーで歌うと感覚が大きく異なり、戸惑うかもしれません。人前で歌う前には、スピーカー練習の割合を高めるなど、併用することをおすすめします。
スピーカー練習はカラオケ屋で行っても構いませんが、エコーを最小限にして、自分の声に集中できる環境を構築しましょう。 (気持ちよさは二の次です!)
自宅でのモニター練習の環境構築について
自宅でモニター練習をしたい方は、下記を参考にして下さい。
- マイク・マイクケーブル
- オケを出すもの(楽器やスマホ、PCなど)とケーブル
- 音を混ぜる機械(ミキサー or オーディオインターフェース)
- 音を出力するもの(ヘッドホン・スピーカー・イヤホンなど)
私自身は、ミキサーとオーディオインターフェース、どちらも持っていますが、モニター練習の時はミキサーを使うことが多いです。(オケはiPad、出力はヘッドホン。)
オーディオインターフェースは、PCを立ち上げて使うため、練習までに時間を使ったり、気が散ることも。
ピッチの安定には呼吸も大事!
ピッチの安定には呼吸法も大切な要素です。下記の記事も参考にして下さい。
まとめ
正しいピッチで歌うためには、自分の歌をきちんと聴きましょう。ということに尽きます。録音した歌を聞いて判断する力を、リアルタイムで歌う歌を聴きながら再現する力を高めます。
自分の歌を客観的に聞いて、音程・ピッチが合っているか。変な癖はないか。自分の表現したい歌に近づいているか、突き詰めていきましょう。
あなたの歌がより輝いて聞こえる日を楽しみにしています。