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アコギのストロークの打ち込み方:丁寧解説!

アコギのストロークの打ち込み方:ちょっとしたコツで全く別物になるよ!

本記事では、アコースティックギターのストロークを、DTMで再現する場合のコツを解説します。

まずは最終的にこうなるよ。という例がこちら。

アコギ打ち込み例

Studio Oneに入っている付属のアコギ音源ですが、そこそこ説得力のある打ち込みができていますね。

本記事では、アコギの打ち込み方を段階的にお届けしていきます!

1小節目を仕上げる。

今回は、C→Am→F→Gという、コテコテの普通のコード進行が題材。

1小節目をコピーしてループした方が効率が良いので、1小節目を先に仕上げていきます。

ギターのボイシングについて

アコギは特にローコード(ヘッド側で押さえるコード)で押さえることが多いです。

ギターを弾かない人は、コードのルートの音の位置を下記のように覚えておきましょう。

ルートの位置音名DTM上の表記最大音数
4弦ルートD・E♭D2・E♭24つ
5弦ルートA~C#A1~C#25つ
6弦ルートE~G#E1~G#16つ

6弦ルートのコードは、最大音数が6つになります。

逆にコードDのような4弦ルートのコードは、最大音数が4つです。(これはあくまで、ローコードフォームの場合ですが、アコギをシミュレートするなら意識すると良いですね。)

コードCを打ってみる。

まずは、全音符でコードCを打ちます。

Cは5弦ルートになので、5音です。

アコギのローコードC

そして、分割ツールを選択して、分割していきます。

分割する。

5つのノートを全て選択した状態で、ストロークのリズムで分割します。

今回は16ビートで演奏するパターンを作ってみます。

ノートの分割

その後、全てのノートを選択して、少しノートの長さを短くします。

ノートの長さを短くする

この後ストロークをシミュレートする際に、ノートをずらすからです。

ずらした時にノートが重なると、音源によっては音が出なくなるなどの悪影響があります。

ストロークを再現する。

ピックのストロークには、アップとダウンがあります。

  • ダウンストローク:6弦(太い弦)から、1弦(細い弦)側に、下に振り下ろす。
  • アップストローク:1弦から6弦方向に、振り上げる。

8ビートの場合は、拍頭がダウン、拍裏がアップとなります。

16ビートの場合は、16部裏がアップで、他は全部ダウンとなります。

というわけで、まずはダウンストロークのノートだけを全て選択します。

ノートの選択

以下はStudio One上での操作になりますが、一番高いノートE3をドラッグします。

ドラッグしてから、Ctrl+Altを押すと、階段状にノートがずれる!

他のDAWでは操作が違うと思いますが、ストラム機能という名前で搭載されているDAWもあると思います。

そして今度はアップストロークも再現します。

アップストロークも再現する

ずらす量は、曲のBPMにもよるので、耳で聴きながら合わせるのがよいでしょう。

とはいえ、今のままだと実は聞けたものじゃないのです。

これは、Sustain(サスティン)の設定をしていないからですね。

Sustainとは、音を伸ばす設定で、ギターやピアノを打ち込む時の大事なパラメーターとなります。



サスティン:CC64を設定する。

Studio Oneであれば下記のようにパラメーターを追加します。

下にあるレーンで右クリックして「加算…」を押し、CC64や音源によってはSustainと表示されているところをクリックして、「<<追加」を選択します。

Sustainの追加

追加したら、Sustainの設定をします。

Sustainの設定

Sustainは、0~63でオフ、64~127でオンになるのが一般的です。

拍頭からではなく、ちょっと過ぎたくらいでSustainをオンにすることで音の切れ間が不自然ではなくなるので、覚えておきましょう。

サスティンを設定すると、大分ギターらしくなってきます。

でも、まだ不自然ですね。

ベロシティを設定する。

ベロシティ(発音する時の力の量)を設定して行きます。

基本的にはポップスで使うアコギストロークでは、

2・4拍頭>1・3拍頭>8分裏>16部裏

といった感じのイメージでベロシティを設定します。

ベロシティの設定

思ったより弱めのベロシティ設定をしていると思われるかもしれません。私自身アコギがメイン楽器なので、少しこだわりがあります。

基本的にギター演奏では不自然に強くピッキングするよりも、重力に委ねるような自然な力で弱めにピッキングする方が美しい音が鳴ります。

音源によっても適切なベロシティ設定は違いますので、音を聞きながら設定しましょう。




コード進行の続きを作る。

1小節目をコピーする。

コピーする際に、Studio Oneの場合は楽できるポイントがあります。

ピアノロール上部にある「パートオートメーションをノートと選択」にチェックを入れておくと、サスティンの設定も一緒にコピーができます。

選択した状態で、キーボードのDを押すと、コピーできる。

また、キーボードのDで、コピーが出来るので、ポチポチポチと3回押すだけで、上記画像のようになりました。

それではここから、コード進行にそって、ボイシングを変えていきます。

今回は、ペダルポイントを使って、構成音を維持するテクニックを使います。

構成音の維持をすることで、緩やかな印象変化とオシャレさを加える。

いい感じですね。
結果として、コードがAm→Am7に。F→FM7になりました。

さて、ここでボイシングについて補足です。コードF・Gについては、ルートが6弦になるので、最大6音まで音を使うことが出来ます。

しかし、その分音が厚くなり、濁った響きにも聞こえるように感じるため、私は実際にアコギを弾くときにも5弦をミュートして演奏することが多いです。

またコードGについては、1弦がずいぶん跳躍しています。これは弦の音域によるものです。

0~4フレットの音域
1弦E3~G#3
2弦B2~D#3
3弦G2~B2
4弦D2~F#2
5弦A1~C#2
6弦E1~G#1

コードGは、構成音がG・B・D(ソ・シ・レ)ですが、トップノートをD(レ)にする場合は、1弦をミュートする必要が出てくるわけですね。

そうやって演奏する場合もありますが、今回は上記画像のボイシングが良いように感じました。

ちなみに、2弦は、B(シ)でもD(レ)でも、どちらでも鳴らすことが可能です。

コードGの2弦をD(レ)にした場合
コードGの2弦をD(レ)にした場合

この場合は、構成音に三度:B(シ)の音が入らなくなるので、コードGの時、少し硬いまっすぐな印象のサウンドになります。

以上が、アコギのコードストロークの基本の打ち込み方です。




コードストローク上級編

全弦ストロークしないことの方が多い。

ここからはコードストロークの上級編です。

実はギタリストは、いつも全ての弦をストロークしているわけではありません。

むしろ上級者になるほど、弦を弾き分けて演奏している場合がほとんどだと思います。

ダウンストロークだけでも、こんな感じの弾き分けをしています。

ギターの弦の弾き分け

実際には、もっと多くの弾き分けがありますが、まずはイメージを掴みましょう。

ノートを間引く。

まず、この状態まで戻ります。

コードCの全弦ストローク

そして、音を抜いていく作業をします。この時に意識するのは2つ。

  • ベロシティが高い時は、音数も多い。
  • アップストロークの時は、残すノートが高い音域になる。

すると、次のようになります。

ノートの間引き

あくまでも例の一つに過ぎませんが、いい感じですよね。

もう少し改善してみましょう!

ギタリストをより再現する。

もう少し丁寧に打ち込んでみます。

①ベロシティを低く②ノートの追加③ストラム速度を早く、少し前のめりに。

①ベロシティを低く

1拍目は、ダウンストロークで弾いたら、2弦も少し鳴ってしまった。という感じを演出。

アップストロークの1弦のベロシティに関しても同じです。

アップストロークの弾き分けとしては、

  1. 全弦アップストローク:1~6弦
  2. 1弦のみアップストローク
  3. 1~2弦アップストローク
  4. 2~4弦あたりアップストーク

のように様々あるわけですが、今回は、④特に、2・3弦を弾いたら、1弦にも当たって音が鳴った。という感じを演出したいと思いました。

主に2・4拍のアクセントとして1弦を使いたいと思ったからです。

②ノートの追加

本来、ピックを空振りさせる位置に、6弦のノートを追加しました。

ベロシティを小さく入れるのがコツです。

これは、「空振りの際に、軽く6弦に当てる(当たる)」というような、楽譜に書くまではないけど、演奏上ノリを出すためのノートです。

③2・4拍の調整

2・4拍は、特にベロシティが高く、音数も多い部分です。

ギターで音を大きくする場合、自然とストローク自体が早くなることを再現するために、ノートのずらしを小さくしました。

また、少し前のめりに演奏するイメージで、5つのノート全てを少し前にずらしました。




他の小節にコピーして調整する。

他の小節にコピーしたら次のようになりました。

アコギ打ち込み完成形

Studio One付属のギター音源でも、ここまで鳴らすことができましたね。

ベロシティのヒューマナイズ(ランダマイズ)を軽く適用するのも良いかもしれませんね。

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まとめ

以上が、アコギのストロークの打ち込み方解説です。

実際にはボイシングもかなり重要なので、すぐに再現するのは難しい所もあるかもしれません。

ただ、ストロークはいつでも全弦ストロークするわけではないということが分かれば、打ち込むものは変わると思います。

どうぞお役立て下さいね。

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この記事を書いたのは

渡部絢也

作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早十数年。
東北秋田県で田舎生活をしながら、音楽にいそしむ。
メイン楽器はアコギ。歌も歌うDTMer。

・音楽制作依頼(舞台ミュージカル音楽・CMソング&BGM等)
・ブログ運営(音楽理論解説&VSTプラグイン解説)
・教材販売(使えるギターコード進行集など)
ユニット「ウタトエスタジオ」では、ファミリー向けの作品作りも。

丁寧解説がモットー。 twitterでも、ぜひお気軽に絡んで下さい。

音楽監督作品「ミュージカル青春するべ!」