Arturia Acid Vレビュー 使い勝手の良いTB-303クローン
Arturia Acid Vは、Roland TB-303をエミュレーションしたベースシンセサイザーです。
ミョンミョンとした音が特徴のアシッドテクノで良く使われたTB-303なので、Acid Vもそんなテクノにぴったりな音源です。
- ミョンミョンとしたベースサウンドが簡単に作れる。
- 充実したモジュレーションは、簡単操作で色んなことが!
- シーケンサーが使いやすい。
サウンド付きで、Acid Vに迫っていきましょう。
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サウンドを聞いてみよう。
サンプル曲1
こちらはアシッドテクノっぽい、ミョンミョンした音を出したもの。
ランダムでフレーズを生み出す機能を使いました。
モジュレーションの仕方も簡単で、水色の十字の矢印を、変化させたいノブにドラッグすればOKです。
モジュレーションしている対象も一覧で出てくるので、視認性もバッチリですね。
サンプル曲2
New Presetで、0からやってみました。
こだわりとしては、小節が進むごとに、左右にハードパンされていく所です。(ヘッドホンの方が分かりやすいですね。)
「音が真ん中だけでつまらないな……。少し広がりを出したい……。」と思った時に、EFFECTSの中に、Stereo Panというエフェクトを見つけまして。
Stereo Panは、Rateの時間に則って、パンを左右に振るエフェクトです。MONO BASSボタンをオンにすると、指定帯域以下はモノラルになるという便利使用。
面白いのが、エフェクトのノブにまで、モジュレーションをかけられる所ですね。
↑の画像では、Stereo PanのAMOUNTの下に紫色の円グラフのようなものが付いています。これは、MODULATION2で、徐々にAMOUNTが増えるような設定にしているのです。
簡単操作で、思い通りです。
Acid Vの便利な部分を紹介
シーケンサーが使いやすい!
音名表示で分かりやすい。
シーケンサーは色んな表示がありますよね。
例えば、数字で+7:完全5度などと入力するアルペジエイターは一般的ですね。
ただ、数値入力は、正直あまり使いやすいとは思わないんですよね。
TB-303クローンの競合製品としては、D16 PHOSCYON2がありますが、あちらは鍵盤表示です。それはそれで見やすいとは思いますが、Acid Vは音名表示となっています。
Cが基準なので、D#ならm3(短三度)ですし、GならP5(完全5度)というのが、私は染み付いており、非常に使いやすいと感じました。
また、オクターブの指定や、スライド・アクセント・ビブラートも、簡単に当てられます。素敵。
ランダム化の方法が色々ある。
まず、各レーンごとのランダム化です。
マウスで左端に触れると、サイコロボタンが現れます。
オクターブ・音名・スライド・アクセント・ビブラート全て、レーンごとにランダム化可能です。
また、全部一括でのランダム化もできます。左下のビーカーをドラッグすればOK。
スケールをカスタムできる。
ランダム化と合わせて活用したいのがスケールの指定です。
自分で謎スケールを打ち込んで、ランダム化できるのです。
自分の発想の外側のフレーズが出てくるので、とても楽しいです。
エフェクトが多彩
ディストーションは、画面中央からも、エフェクトタブからも選べます。
他のエフェクトも多彩です。
これらのエフェクトノブに、モジュレーションをかけられるのも良いです!
Acid Vの少し分かりにくい所
初めてTB-303を触った方には、「ん?」と思いそうな所を解説しておきます。
ENV MOD・DECAY
画面上部にあるつまみです。
ENV MODが、フィルターのCUTOFFの値から、どれくらい値を増やすかです。
DECAYは、ENV MODで増やした値が、どれくらいの早さでノブの位置まで戻るかを規定します。
DECAYを短くすると、頭だけ高域が強調されるような、キビキビとしたサウンドになります。
上部パネル
ロゴの上のボタンを押すと、上のパネルが開きます。
- BASS BOOST:低域を増すEQ的なノブ
- PW:WAVEFORMがスクエア波の時の信号を調整する。
- ACCENT ATTACK:シーケンサーのアクセントしたノートのフィルターエンベロープのアタックタイムを変えられる。
- CUTOFF RANGE:CUTOFFつまみの範囲を変える。
- PITCH TRACKING:ピッチが微妙に変化するアナログ的な作用の強弱。
- NOISE GAIN:ノイズの強弱。強くしても、物凄く大きくなるわけではない。
- CLIPPER:クリッパーの効きの調整
特に、BASS BOOSTや、CUTOFF RANGEの値の調整で、かなり音が変化するので覚えておくと良いです。
②の音源は、フィルターの動きが少し眠たい感じがしますよね。
CPU負荷
待機状態で2%ほど。エフェクトによっても違いますが、私が見た限りは8~11%ほどでした。「シンセとしては、こんなものかな。」レベルの負荷です。
ただ、Ver.1.0.0.3840においては、ノブの周りの緑色の動きが、少しカクついて見えるのが気になる所。(*音自体はスムーズ。)今後のアプデに期待します。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
TB-303クローンと言えば、D16 PHOSCYON2もあります。(残念ながら、私はデモ期間が過ぎてしまって、比較ができないのですが……。)ずっと購入するか迷っていたタイミングで発売されたArturia Acid Vに、飛びついてしまいました。
結果としては大満足で、今後テクノを作る機会が来るのが楽しみでなりません!
特有のミョンミョン加減と、複数あるディストーションでザリザリとしたサウンドが楽しめます。私は大好きな製品になりました。
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