Fabfilter Pro-DSレビュー 歯擦音自動判断のお手軽ディエッサー
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Fabfilter Pro-DSレビュー 歯擦音自動判断のお手軽ディエッサー

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Fabfilter Pro-DSレビュー 歯擦音自動判断のお手軽ディエッサー:画像サムネイル
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Fabfilter Pro-DSは、歯擦音を自動判断して軽減してくれるお手軽なディエッサーです。

また、ドラムや2MIXの高音域の耳に痛い部分を和らげることも可能です。

本記事では、実際の音を確認しながら、他のディエッサーと比較してみます。

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Pro-DSのサウンドを確認してみよう。

歌に対して

今回は歯擦音軽減を検証するため、サ行・タ行をふんだんに入れ込んだ歌詞にメロディーを付けて歌ってみました。

ディエッサーに捧ぐ歌

酢飯好きな彼女 寿司素敵さ
〆たサバとカ麦をすすって

ヘッドホンを使ったほうが、変化が分かりやすいと思います。

①bypass
②Pro-DS使用

①では、特に「寿」「た」のし」が耳に刺さり痛いですね。

②では、その部分が軽減されているのが分かります。

Fabfilter Pro-DSのボーカル処理画像
リダクションが最大で5dB程度になるようにした。

Pro-DSが特に優れているのは、歯擦音を自動判断し、それ以外の場所では反応しないことです。上記画像で言えば、緑色の部分が歯擦音となります。

他のディエッサーによっては、オートメーションで補助する必要があるのですが、Pro-DSはその作業がいらないか、あっても少しで済みます。

●Pro-DSボーカルおすすめ設定(マニュアルより)

  • SINGLE VOCALモード:検出はHP&LP範囲内+歯擦音自動判断
  • WIDE BANDモード:すべての帯域のゲインを下げる

歯擦音を自動的に判断し、全帯域のゲイン自体を下げて対応します。

2MIXに対して

マスタリングの際、高域の痛さを軽減するのにも、Pro-DSは使えます。

特にマニュアルには、高域のトランジェントをPro-DSで軽減した後に、EQでハイを持ち上げると、高域が美しくなるにも関わらず耳が痛くない状態を作れるとしています。

音源で検証してみます。今回は歌でなく、曲の高域に耳を傾けて聴いてみましょう。

③マスター段でのPro-DSバイパス
④マスター段でPro-DSを使用。
⑤Pro-DS後にEQで高域を1dB程度ブースト。

④では、若干高域が褪せて聞こえるように思います。

Fabfilter Pro-DSのマスター段処理画像
最大3dBのリダクション

⑤では、高域がクリアに聞こえるにも関わらず、耳が痛くない状態になっていますね。

参考

●Pro-DSマスタリングおすすめ設定(マニュアルより)

  • ALLROUNDモード:検出はHP&LPの範囲内
  • SPLIT BANDモード:HPの帯域に作用するモード

ALLROUNDモードは、従来のディエッサーと同様に、検出範囲内の音量とスレッショルドの関係からリダクションします。

SPLIT BANDモードは、下記の帯域に作用します。

SPLIT BANDでは、LPの帯域は関係なく、HPの帯域をリダクションする。

他のプラグインとの比較

ボーカル比較

Waves Renaissance DeEsser & IK Muitimedia TR5 DE-ESSER

定番のディエッサープラグインとサウンド&使用感を比較してみます。

⑥Pro-DS使用
⑦Waves Renaissance DeEsser
⑧IK Muitimedia TR5 DE-ESSER

まずサウンドですが、適切な値に設定すれば、そこまでサウンドの優劣はないように思います。

ただし、⑦Wavesのディエッサーは、その設定が物凄くシビアなのです。

Waves Renaissance DeEsser

反応があまりないからと強めにかけると、一気にリダクションがかかるなど、設定が難しいのです。そのため、スレッショルドに対してオートメーションを書くなどの細かい補助も必要です。

IKのディエッサーに関しては、Wavesほどシビアではありません。

IK Muitimedia TR5 DE-ESSER

しかし、周波数帯域に対してスレッショルドで反応するシンプルなディエッサーのため、この音源に関しては歌詞の「した さば」の”め”に反応していたりと、意図しない部分でサウンドに影響しており、こちらもオートメーションが必要な場合があります。

一方Pro-DSは、歯擦音に対してダイレクトに作用し非常に扱いやすいディエッサーと言えます。

Oeksound Soothe2

Oeksound Soothe2
⑨Pro-DS使用
⑩Oeksound Soothe2使用

Soothe2も素晴らしいプラグインですね。かなりクリアに軽減できています。

正確には、レゾナンスサプレッサーという種類のプラグインとされています。

Soothe2は、帯域全体に作用するのではなく、耳に痛い成分のみ狙い撃ちしてリダクションできるプラグインです。ディエッサー以外の使い方も可能で、また別記事で解説予定です。

2MIX – SplitEQとの比較

⑪マスター段では何もせず
⑫マスター段で、Pro-DS後でリダクション後、EQで高域を1dB程度ブースト。
⑬SplitEQで、高域のトランジェント-1dB・トーナル+1dB
Eventide SplitEQ

SplitEQも素晴らしいプラグイン!

トランジェントを下げて耳には柔らかく、反対にトーナルはブーストして全体的にクリアな印象になっています。SplitEQはレビュー済みのため、ぜひ記事もご覧ください。

あわせて読みたい
Eventide SplitEQレビュー 思い通りに音を操れる新感覚EQ
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同じことをするにも色々なパターンがあり、やはり正解はありません。その時々で、色々な方法を試してみましょう。

ディエッサー使用のTips

ボーカルにディエッサーを挿す順序

通常ディエッサーは、コンプやEQを挿す前に使うのが定番です。

しかし、例えば「ディエッサー→(コンプ→EQ→)エキサイター」という順番で、エキサイターで高域をブーストすると、歯擦音が再度目立ってしまい、ディエッサーの効果が感じられない場合もあります。

その場合は、「(コンプ→EQ→)エキサイター→ディエッサー」などの順番でも問題ないように思います。マスタリングと同様に、ディエッサー使用後にEQでハイをブーストなどもあり得るでしょう。

正解がないので、音源ごとにルーティングを変えて試してみましょう。

リダクション量の基準はない! 耳で判断せよ!

歯擦音は素材・録音時の状況によって音量感がまるで違いますので、リダクション量の目安はありません。

「耳に刺さりすぎていないか? リダクションしすぎてはいないか?」は、耳で聴いて判断しましょう。

CPU負荷

オーバーサンプリング4倍でもCPU使用率は1%です。

Fabfilter Pro-DS CPU負荷画像

レイテンシーは、設定により追加されていきます。

  • Lookahead:15ms追加
  • オーバーサンプリング4倍使用:0.8ms追加
  • Split Band使用:10.7ms追加

●PCスペック

  • OS:Windows10 64bit
  • CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core] 
  • メモリ:64GB
  • DAW:Studio One5.5
  • サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
  • バッファーサイズ:512samples
  • オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4

まとめ

以上、Fabfilter Pro-DSのレビューでした。いかがでしたか?

歯擦音を自動判断してくれるため、余計なオートメーションの必要がないお手軽感は大変魅力的です。

現在使っているディエッサーの処理にお悩みの方に、おすすめできるプラグインです。

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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早15年。東北秋田で田舎生活をしながら、音楽にいそしむ。メイン楽器はアコギ。歌も歌うDTMer。

・音楽制作依頼(舞台音楽・CM楽曲等)
・ブログ運営(音楽理論&プラグイン解説)
・教材販売
・ファミリー向けの作品づくり
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