Heavier7Stringsレビュー ヘビーなサウンドならおまかせ!
Three-Body Technology Heavier7Stringsは、ヘビーなギターサウンドを得意とするエレキ音源です。
- 分厚く自然なダブリングが可能!
- 多機能で細かく演奏をコントロールできる。
- お手本の打ち込みデータが見られるパターン機能搭載
サウンド付きで、奏法&打ち込みの解説までお届けします!
Heavier7Stringsのサウンドを聞いてみよう。
8小節のサンプル曲を作りました。
Heavier7Stringsは、リードギター・バッキングの2トラックです。
分厚いバッキングと、ビブラート表現などもされたリードギター。
かなり「らしい」演奏になっていると思います。
バッキングはLRから聞こえてくるダブリング機能を使っています。これがとてもリアル。
Heavier7Stringsのダブリングは他社製品とは一味違う仕組みになっています。
ピッチやリズムのわずかなズレや、異なったサンプルの利用によって、左のチャンネルは右のチャンネルの音と違ったそれぞれの音が演奏されます。
他のエレキ音源やよく行う手法では、LRをただ時間でずらすことによってステレオ感を演出します。しかし、Heavier7Stringsの場合は、実際にエレキギターを録音した時に起こるような音の変化をシミュレートしてダブリング音を作っています。
そのため、よりリアルな音に聞こえるわけですね。
Heavier7Stringsの打ち込み方
Heavier7Stringsは機能が非常に多いです。
逆に言うと、打ち込み中迷子になりかねません。
一度マニュアルを読むことをおすすめしますが、ここでは備忘録として、私がよく使う奏法をまとめておきます。
バッキング・リードギターともに使う要素
まず、参考の打ち込みと音源です。
ベロシティー操作
重要な要素が詰まっています。
- 127:ピッキングハーモニクス
- 98-126:強く弾く
- 29-97:ソフトに弾く
- 1-28:ハンマリング・プルオフ
ピッキングハーモニクス
- 127:ピッキングハーモニクス
ピッキングハーモニクスは、弦を弾いてから、右手の親指の外側で弦に触れることで倍音を鳴らす手法です。ロック・メタルでは特によく使われます。
普通のピッキング
- 98-126:強く弾く
- 29-97:ソフトに弾く
ギタリストでない方々にとっては想像しにくいかもしれませんが、エレキギターは、早く弾く時ほど力を抜いて演奏します。そうでないと、素早いピッキングができないからです。
ですから速弾きは、ソフトに弾く(29-97)の範囲のベロシティーを使うことが多いでしょう。
ハンマリング・プルオフ
- 1-28:ハンマリング・プルオフ
レガート(ノートが重なった状態)で、ベロシティーを1-28の間で打ち込むと、ハンマリング・プリングを打ち込むことが出来ます。
ハンマリング・プリングは右手で弦を弾かないで、左手で弦を押さえたり離したりすることで、音を鳴らす奏法です。隣接した音などを素早く演奏する際に使います。
音を切る・スライドアウト
G#0を押すと、音を切ることが出来ます。
- 右手ミュート:ベロシティー弱め
- 左手ミュート:ベロシティー普通
- スライドアウト:ベロシティー強く
ギターでは、長く伸ばしている音を切る方法は様々あります。
右手ミュートでは、右手の手刀で弦を触るため、ピタッと音を止めることが出来ます。
左手ミュートでは、弦を押さえている左手を少し浮かすことで音を切ります。が、少し音の余韻が残ります。
スライドアウトは、弦を押さえている左手をネックの方にスライドさせることで、ノートの切れ間のピッチが少し下がったような余韻が残ります。
リードギターでよく使うテクニック
レガートモード(CC27)をONにした状態でよく使う奏法をご紹介します。
スライドイン
目的の音より低い音から、スライドして音を鳴らす方法です。
Heavier7Stringsでは、半音違いのノートを同時押しすることで、スライドインできます。
スライド
半音以上のスライドをする場合、CC5:portament timeを使います。
- 0-21:スライドしない。
- 22-127:スライドする。
また、スライドの速さは、後のノートのベロシティーが高いほど早くなり、低いほど遅くなります。
ビブラート
ビブラートは、アフタータッチでコントロールします。
- アフタータッチON:ビブラートON
- アフタータッチOFF:ビブラートOFF
アフタータッチを搭載しているMIDIコントローラーであれば、鍵盤を押した後に、さらに押し込むことでアフタータッチを入力できます。搭載していないとしても、DAWで打ち込めばOKです。
ビブラートの深さや速さも、MIDI CCで入力することが出来ます。
バッキングでよく使う奏法
レガートモード(CC:27)をOFFにした状態でよく使う奏法です。
ブリッジミュート(パームミュート)
モジュレーション(CC1)を使うことで、ブリッジミュートができます。
バッキングでは必須ですね。
プレイオクターブ・ワンキーフィフス
プレイオクターブ・ワンキーフィフスを使うと、パワーコードを一つのノートで演奏できます。
パワーコードは、構成音がR(ルート)・P5(完全五度)・オクターブ上のRで演奏されるコードです。
サンプル曲では前半単音で、後半にパワーコードを使っています。聴き比べてみましょう。
微妙な差ではありますが、後半、音が厚くなっていますね。
1つのノートでパワーコードを演奏できるのは、相当楽ですね。
サスティンペダル
サスティンペダルで、音を伸ばすことができます。
クリーントーンのギターを打ち込む時に使うと便利です。
ちなみに、Heavier7Stringsの中に、クリーントーンのプリセットも入っていますが、私的にはあまり好みではありません。
Heavier7Stringsは、ドライ音(エフェクトがかかっていない音)を吐き出すことができるので、今回は外部のアンプシミュレーター:Amplitube5を使いました。
Heavier7Stringsのその他の機能
エフェクト機能
Heavier7Stringsで使われるサンプルはドライ音(ケーブルで繋いで演奏した音)で、それにプラグイン内のエフェクトをかけることで音作りをします。
画面左側が単独のエフェクトで、右側がエフェクトチェーンです。
エフェクトチェーンは、複数のエフェクトを組み合わせて、使える音が即座に呼び出されるものです。
エフェクトチェーンのパッチは8種類で分類されており、その中でまた複数のプリセットが保存されています。
Heavier7Strings内のエフェクトが気に食わない場合は、エフェクトをバイパスしてドライ音を吐き出すことで、外部のアンプシミュレーターが使えます。
パターン機能
実際にどのように打ち込めばいいか見本となるフレーズが、Heavier7Stringsには収録されています。
ドラッグ&ドロップで、DAWに貼り付けが可能です。
ダブリングをL・R分けて出力
ダブリングする場合、L・Rに別々のエフェクトをかけたいという場合があります。
Heavier7Stringsでは、L・Rに分けて出力できるので、問題なく行うことができます。
CPU負荷
CPU負荷は10%ほど。
音源としては割と珍しいと思いますが、Latencyが41.5msかかります。
これはダブリング機能などで、ピッチやタイミングをずらしたり、違うサンプルを読み込むための時間が必要なのかもしれませんね。
ちなみに、Heavier7Stringsを最初立ち上げると、ロードにそこそこ時間がかかります。
しかし、DAW上で複数立ち上げる場合は、既にロードしているサンプル素材を使うため、非常に早く立ち上がります。複数のトラックで使うほど、そういった細かな配慮に助けられるでしょう。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Heavier7Stringsのレビューです。
歪ませた音は使い勝手が良いサウンドで、即座に使える音です。
また、ワンキーフィフス・プレイオクターブがあるため、慣れるとバッキングは非常に早く打ち込むことが出来ます。
一方、チャカチャカ言うようなカッティングは不得意ですし、クリーントーンの演奏については、ピッキングのニュアンスが少し強く出過ぎる場合があります。
万能とは言えませんが、メタル・ロックのジャンルでは、非常に使い勝手が良く頼りになる音源で、おすすめできます。