LANDR Mastering Plugin Pro レビュー 自動マスタリングの新たな地平

アフィリエイト広告を利用しています。本記事が参考になった方は、ぜひリンクをご利用下さい。
LANDR Mastering Plugin Proは、AIマスタリングの先駆けでもあるLANDRが開発したマスタリングプラグインです。
- 音源を読み込ませると自動的にマスタリング
- 必要最小限の微調整が可能(EQ・コンプ・サチュ・ディエッサーなど)
- 深いEditはできないが、音楽初心者はかえって迷わない。
- 提案してくれる音が納得のサウンド
気になるのは、その音質でしょう。複数のジャンルの楽曲に対して使ってみた結果を聴きながら、本質に迫っていきましょう。
>Ultimate Pulgin Bundleの金額を確認 圧倒的に最安値!
LANDR Mastering Plugin Pro 概要
LANDR Mastering Plugin Proは、マスター段で使うVSTエフェクトプラグインです。
立ち上げると、すぐに音源の読み取りが始まります。曲の中で一番音量が大きなところを読み込ませます。

私の環境だと、30秒弱解析に時間がかかります。
その後、微調整をする画面があらわれます。

画面中央には、Warm・Balanced・Openという3種の提案があり、そこから選んだ上で微調整する流れですね

何曲か試した結果、私は基本的に、Openのサウンドが好みであることが分かりました。
サンプル曲で測定したラウドネスの値で見ると、3種で、そこまでの変化はありません。(*下記は、微調整なしでの比較です。)
音源 | ラウドネス | TP | イメージ |
---|---|---|---|
Bypass | -14.9 LUFS | -0.5 dB | |
Warm | -10.1LUFS | -0.2 dB | あったか / 暑苦しい |
Balanced | -9.9 LUFS | -0.2 dB | 適度な密度・温度 |
Open | -10.0LUFS | -0.2 dB | 開かれた感じ / クリア |
Original *私のいつものチェーン | -10.4LUFS | -1.0dB |
私は「あまり突っ込んで潰したくない」派なので、密度をあまり感じさせないOpenのサウンドに惹かれるのだと思います。
それでは、実際に音を聞いてみましょう。
サウンド比較
ロック系ジャンル
ロック系ジャンルは、私の子ども向けの乗り物ソング(消防車の歌)から。
こちらも、微調整なしで聞いていただきます。今回は、GainMatchはしていません。
これらを聴き比べると、④Openと、いつもの私のチェーンである⑤は音の傾向が似ているものの、④Openの方がにじみが少なくクリアであるように感じます。また、スネアが前に出て、パンチ感をより感じるのは④の方でしょう。
30秒でこれを出されると、「トホホ……。」といった具合です。
②Warmは、名前の通り暖かく、重心が下がっているのが分かります。
③Balancedは、Warm・Openの中間的なサウンドに聞こえますね。

30秒弱で、このクオリティを出されるとは……。
率直に言って、かなり好感が持てるサウンドだと思います。
アコースティック系ジャンル
次はアコースティック系の楽曲で試してみます。
今回は、⑧Balancedが、丁度いいあたたかさです。⑨Openも広がりのあるサウンドで良い感じ。
良い感じの⑨ですが、ボーカルは少し硬質に感じるでしょうか。⑩の方が、優しく聞こえると思います。
⑩の私のチェーンは、ミックスの粗を隠す許容量が大きいチェーンになっていると感じました。⑦~⑨の場合、ベースが少し大きすぎるのが、⑩ではそこまでに感じないことから見ても、判断できますね。
お聞き頂いて分かる通り、LANDR Mastering Plugin Proは、原音重視で配信のためにブラッシュアップするためのプラグインと言えます。そういう意味では、LANDR Mastering Plugin Proで駄目な部分が見つかれば、いさぎよくMIXまで戻って作業した方がいい。と判断しても良さそうに思いました。
テクノで比較
最後は、テクノで比べてみます。
今回の場合は、Openだと高域が痛いように感じました。もちろん微調整はこの後可能ではあるのですが、音同士の密着具合がもう少しあってもよいように思います。そのため、今回はBalancedを出発点にするのが良いと思いました。
今回検証で気がついたのですが、⑮の私の音源、冒頭でところどころパチパチとノイズが発生しているのが分かります。これは、オートEQ系プラグイン(Gullfoss・Bloomなど)のプラグインの仕様によるものです。
一方、LANDR Mastering Plugin Proの場合は、今回の場合は副作用が見えていませんね。

もちろん楽曲によって、LANDR Mastering Plugin Proは独自にチェーンを変えますし、内部のパラメーターが見えないことから、特定の素材に弱いということがあり得る可能性がないとは言えませんが、現状では私は本プラグインを非常に好ましく思っています。
微調整Tips
Gain Match / Bypass
便利なのは、画面上部にあるGain Match / Bypassボタンです。

Gain Matchをオンにした状態で、Bypassを切り替えることで、どんな変化があるかを聴き取ることができます。
EQ・ボーカルセクション
左側のEQセクション・真ん中のPRESENCEが分かれています。

PRESENCEは、ボーカルレンジを調整するとTipsに書いています。測定系プラグインで見ると、4,000Hzあたりを幅広いQで操作するEQのように見えました。一方、EQセクションのHighは、10,000Hz以上の増減を操作します。
そのため、「Low・Mid・PRESENCE・High」というEQと見ても良いかもしれません。ただ、画面右下にあるLOUDNESSノブを上げると低域が持ち上がるような印象もあり、ただ単純にEQだけで決まらないのは面白い所です。
DE-ESSERは、ボーカルのSや2MIXのハーシュネスを取り除く……とTipsに書いています。わかりやすい例として、ボーカルに着目して聞いてみましょう。
「(じれ)ったくもじかんは」の「じ」が変化のポイントです。
⑰が、かなり自然にボーカルの歯擦音を抑えているのが分かります。私的には、MIXに戻って作業するべきだと思いますが、そう出来ない場合には、本プラグインのDE-ESSERは、強力なツールになると思います。
STEREO FIELD
画面左下には、ステレオ幅を調整するノブがあります。
このスライダーはそこまで急激な変化は起こりませんので、耳で合わせてOKですが、各種メーター・モノラルで聞けるプラグインを使いながら扱うと良いでしょう。

こうしたステレオ系の操作をする場合は、sonible true:balanceで確認するのが便利です。一番下にあるCorrという値がポイントで、「+1.00に近いとL・Rがほぼ同じ。0.00付近だと、L・Rが全然違う。マイナスの値だと逆相になっており、崩れている可能性が高い。」という指標になります。特に、
- Corrが0.3以下になっていないか?
- モノラルにした時に、音が消えたりする可能性があるため。
- 0.5以下になったときは、注意深く!
- Low帯のCorrが0.9以上を保っているか?
というのは、1つの指標です。


⑳の場合、高域のCorrが一時的に0.20になっていることから、数値的に見ると不安なところです。実際に聞いてみても、私は今回の場合は広すぎると感じますね。
DYNAMICS / LOUDNESS

Compressionは、右にするほどダイナミックレンジが狭まります。つまり、右に回すと「小さい音が大きく、大きい音が小さくなって……、全体的にギュッと潰される感じ」になります。

基本的には、5.0(12時の方向)で適度なダイナミックレンジになっており、「開放的にしたければ、左に回す。ギュッとまとまりを出したければ右に回す。」という挙動ですね。
Characterは、左に回せばパンチ感が出て、アタックが強調されます。右に回せば全体的に音量の凸凹が減って、より滑らかになります。これはコンプのニーやアタックタイムなどの調整を行っているものと思いますが、やはり5.0が最初から適度で良い感じに設定されています。
Saturationは、倍音を増やします。右に回すと、より暑苦しい音になっていきますが、結構抑えめの効果なので、最初は効果を感じにくいかもしれません。
LOUDNESSは、どれくらい突っ込むかです。現在、ラウドネスノーマライゼーションにより、-14~16LUFS以上の音源は、配信先で音量を下げられてしまうので、過度に上げすぎる必要はありません。
ただし、全体のダイナミックレンジ(各トラックの密着具合・小さい音が小さすぎて聞こえないということはないか?など)を注意深く見る必要があります。そういう意味では、LOUDNESSのつまみでも、開放感~凝縮具合を変化させることができ、便利なノブと言えるでしょう。
CPU負荷
CPU負荷・レイテンシー共に高いので、作編曲と同時に使うことはできないですね。

作編曲のファイル上でやると、CPUが悲鳴を上げるのであれば、一旦2MIXでエクスポートしてから、マスター用のプロジェクトファイルで立ち上げればOKです。
- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One7.1
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、LANDR Mastering Plugin Pro のレビューです。
たった30秒で叩き出す音とは思えないほどの精度で、大変驚きました。検証に当たり、私の現在のチェーンの弱点も見えてきて、非常に勉強になった次第です。

何万円もするプラグインを何個買っても、実際にこのクオリティにするのは困難というレベルの処理をしてくれます。
また、本プラグインで音がまとまらないのであれば、MIXをし直せば良いと信じさせてくれる説得力もあります。
自力でマスタリングしたい方でも、到達目標を見せてくれる点で、非常に優秀なプラグインといえると思います。某自動マスタリングプラグインのように、バキバキに変化させてくる方向ではなく、原音の延長線上にあるマスタリングを進めてくるのは、素直に感動しました。
定価は公式ページで2万円ほどですが、現在はUltimate Plugin Bundleで、他のプラグインも一緒に付いてきて2.3万円ほどになっています。
ボーカル補正や各種エフェクト付きなので、マスタリング用プラグインを他にお持ちでない場合は、かなりお買い得なバンドルと言えるでしょう。
>Ultimate Pulgin Bundleの金額を確認 圧倒的に最安値!
