効果音の作り方バイブル 読後感想

本記事が参考になった方は、ぜひリンクをご利用下さい。
「効果音の作り方バイブル」とても素晴らしい名著でした。

効果音を作るために必要な知識・考え方が詰め込まれています。
作編曲家として楽曲制作の折、「○○みたいな効果音を入れて欲しい」とオーダーされることもわりとあります。そんな時に、自分で録音できる素材ならともかく、例えば宇宙っぽい音だとか、この世に存在しない音を作らねばならぬ時に、毎回非常に苦労していました。
しかし、本書で得た知識を使えば、今までの苦労がかなり軽減されます。本記事では、特にここが良かったという所を抜粋して、ご紹介したいと思います。
アナライザーの使い方
効果音づくりにおいて、アナライザーをどう使うかが明確に示されています。
Spectrogramという、横軸:時間・縦軸:周波数のアナライザーがありますが、これを見ると、周波数の推移が大変分かりやすく見ることが出来ます。
例えば、作りたい効果音を自分の声で表現します。

これを利用することで、シンセサイザーに置き換えて、効果音を作ることができます。

実際の作り方は、本書を読んで下さい。
Spectrogramを活用するメリットがこれでもかと詰まっています。
MS処理
第3章で、リバーブのMS処理について、触れている箇所がありました。とても短いのですが、ミックスにおいても、MS処理を使う意義が見えた部分があり、非常に参考になりました。
次の音源は、ドラム素材にリバーブをかけたものです。
センドで送って、Pro-Q4でMid・Sideバランスを変更した後に、リバーブをかけていきます。
- 原音のみ
- ドラム全体にリバーブ
- Mid成分を-15db
- Side成分のみにリバーブをかけたもの
- ④の音源をモノラル化したもの
②は、リバーブ感が強すぎますね。
以下、③④ではそれが解消されます。
Mid成分を削ることで、ドラムセットの真ん中に位置する音の邪魔をせずにリバーブをかけられるのです。ただし、④は、完全にSide成分のみにかけたこともあって、全体的に淡い味付けですね。
Side成分は、モノラル化した時に音が消えてしまうのですが、③をモノラル音源にした次の音源は、十分なリバーブを感じるはずです。
つまり、Mid成分にかけるリバーブ量を調整すれば、モノラル互換性を維持しつつも、ルーミー過ぎるリバーブを解消し、より広がりのあるリバーブをかけられるということです。これは、ミックスでかなり使えるテクニックになりそうです。
シンセサイザーのテクニック
シンセサイザーについても、効果音制作だけでなく、楽曲制作で役に立ちそうな情報が満載でした。
例えば、シンセサイザーを使って再生速度を変化させたりすることで、色々な効果音を作る手法が紹介されています。
下記は、私が作ったライザー音。(本書の内容を応用して実験して作ったもの。)

作り方さえ分かれば、色々な波形や素材を使って、色々なバリエーションが簡単に作れますよね。
各種エフェクトのテクニック
リバーブテクニックなどの定番技のほか、リングモジュレーター・ピッチシフターやフォルマントをいじることで、同じ素材から様々な音をつくるテクニックが紹介されています。
フォルマントを変化させるプラグインとして、手元には、
- Soundtoys Little Alter Boy
- Polyverse Manipulator
- 【無料】MeldaProduction MAutoPitch
などがありました。

同じ素材から全く違う音を作る例をご覧いただきます。
ほうきで床を掃く音を、フォルマントを高くすることで、電気のビリビリとした音を作ります。
プラグインによっても、フォルマントのアルゴリズムが違っていることが分かります。今回の場合は、Manipulatorの感触がとても良いですね。
まとめ
以上、効果音の作り方はもちろん、楽曲制作でも活きそうなテクニックが、紹介しきれないほど「これでもか!」と詰まっています。
効果音作りに苦い思いを抱いている方は、ぜひ手にとってみて下さい。
