Pulsar Vocal Studio レビュー|ボーカル処理が1画面で完結

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Pulsar Vocal Studio レビュー|ボーカル処理が1画面で完結
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Pulsar Vocal Studioは、ワンストップでボーカルを仕上げるためのボーカルプロセッサーです。

  • 1画面で全完結のUI設計
  • 1ノブ操作で自然なダイナミクス処理が完了する高性能コンプ
  • ささやき声やオクターバーなど創造的なエフェクトが充実

サウンドを聴きながら、Pulsar Vocal Studioに迫っていきましょう!

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【前置き】ボーカルプロセッサーとは?

ボーカルプロセッサーは、
ひとつ指すだけで、ボーカルを仕上げられるエフェクトプラグインです。

競合も、た~~~っくさんあります。

ボーカルプロセッサーの一部
  • Waves CLA Vocals などの、エンジニアによるシグネーチャーシリーズ
  • iZotope Nectar 4
  • Leapwing UltraVox
  • UAD Topline Vocal Suite

ちなみに私は、Nuro Audio Xvox Proというプラグインを常用しています。

Nuro Audio Xvox Pro

今回、アナログエミュレート技術に定評のあるPulsar Audioがボーカルプロセッサーをリリースしたということで、どういう設計になっているか、かなり気になる所です。

Pulsar Vocal Studio 製品概要

まずは、どんなエフェクトが収録されているかを見ていきます。

Pulsar Vocal Studio

上段ラック

上段ラックは、音量や質感に関するセクションです。

Pulsar Vocal Studio 上段ラック

SENSITIVITYは、ゲインコントロールで、Goodの範囲に収まるように調整します。このコントロールは、プリセットには含まれないため、プリセットを切り替えても、変化しないようになっています。

DRIVEは、倍音を加えるセクションです。3種類のサチュレーションから選択して、温かみ・厚みを加える……、ノブを強く回せば音が歪みます。

GATEは、設定以下の信号の音量を抑えるもので、通常のゲートのように完全に0にするのではなく、自然な音量減衰をするよう工夫されているとのこと。(エキスパンダー的な動作。)

DE-ESSは、ディエッサー。なんとEQセクションの前後両方で適用されるようになっているとのこと。中段のEQセクションのアナライザーでも、効果が確認できます。

COMPRESSは、コンプレッサーです。こちらも、EQセクション前後の複数のコンプレッサーを1つのノブで操作できるとのこと。

コンプレッサーのTYPEは、3つから選択可能。NATURAL・MODERN・GRITTYの3種ですが、この選択でも、音の密度感や温かみが変化しますね。

VOLUMEノブでは、ドライ音からどれくらい音量が変化したかをチェックができるので、ユニティ化(ドライ音とウェット音の音量一致)もすぐに可能です。

中段ラック

EQセクションです。

ハイパス・ローパスフィルターと、5つのバンドがあり、左のEQ AMOUNTから、全体の効き具合を調整します。

Pulsar Vocal Studio 中段ラック

EQ AMOUNTの上部には、10種のプリセットがあります。

Pulsar Vocal Studio のEQプリセット

あくまで、スタート地点を設定するためのものです。

FOCUSは、ダイナミックEQですね。3種類から選びます。

  • Air:10 kHz以上の周波数帯域に密度を加え、空気感のある質感と息の感じを強調します。
  • Edge:エッジ:1~2kHz付近の密度を増加させ、音が「空洞」のように聞こえる場合に存在感を高めます。
  • Presence : 4~5 kHz付近に密度を加え、声の明瞭さと発音の鮮明さを向上させます。

下段ラック

一番創造的なセクションが、下段ラックです。

SPECIAL FXは、11個のエフェクトが収録されています。

Pulsar Vocal Studio 下段ラック
Pulsar Vocal Studio のSPECIAL FX

オクターバー・ささやき声を追加するエフェクトなど、他のボーカルプロセッサーではあまり見かけないものも収録されており、これだけでも本プラグインを魅力的に感じる方もいそうです。

DELAYは、9種類。

Pulsar Vocal Studio のDelay

私的には、Disk Slap(モデルがEchorec)が非常に気に入りました。スラップバックディレイ(短いタイムで1度だけ鳴らすディレイ)で、立体感のある声を簡単に作れるかつ、非常に自然なサウンドでした。

リバーブは、15種類。

Pulsar Vocal Studio のReverb

ディレイもリバーブも、ダッキングなどの細かな設定ノブが付いているのも見逃せませんね。

Pulsar Vocal Studio の下段ラック

Pulsar Vocal Studioのサウンドを聞く

アコースティック系ボーカル

Pulsar Vocal Studio のアコースティック系ボーカル処理
①Bypass
②Pulsar Vocal Studio
③Pulsar Vocal Studio(+外部に空間系処理)

①は、ドライ音です。
音量変化が大きくて、出過ぎる所と引っ込む所の差がありすぎですね。

②Pulsar Vocal Studioを使うことで、かなり自然なダイナミクス処理が出来ています。複数のコンプレッサー処理が売りとのことですが、非常に自然な処理に聞こえますね。

②にも、空間処理は多少加えているのですが、ルーム系とステレオツールを使って、モノラル素材に若干の膨らみを出す程度にしています。これは、私のショートリバーブの使い方としてnoteにまとめていますので、↓もご参照ください。

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ショートリバーブの使い方|音源が薄っぺらく聴こえる理由と対策
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③では、外部のリバーブを使うことで、より自然にオケに馴染ませてみました。

もちろん、Pulsar Vocal Studio内で長いリバーブを使うことで、同じような意図でMIXもできるかと思いますが、私としてはルーム感を感じる所までをボーカルプロセッサーにまかせる使い方も多いので、今回はこのようにしてみました。

ポップ系ボーカル

今度は、ポップソングに使ってみます。(サンプル曲は、私が作ってるコミカルなバイキンソングですが、楽曲の中身はあまり気にせずに……

Pulsar Vocal Studio のポップ系ボーカル処理
④Bypass
⑤Pulsar Vocal Studio

④は、線が細く、中低域の物足りなさを感じました。また、やはりコンプなしでは、ポップソングは、特に埋もれがちになってしまうのが分かります。

⑤Pulsar Vocal Studioは、やはりコンプの効きが素晴らしい。何も考えずに、いい感じになるのはでかいです。ギョッとするレベルで、整っています。

⑥元々組んでいたボーカルチェーン

⑥元々組んでいたボーカルチェーンより、⑤Pulsar Vocal Studioの方が、特にダイナミクス管理がうまく行っています。 これは本当にいいですね。

Pulsar Vocal Studioのメリット・デメリット

コンプレッサー処理が驚くほど自然

Pulsar Vocal Studioが、素晴らしいと思ったのは、まずコンプレッサーの質です。深いことを考えずとも、かなりいい感じにまとめあげてくれます。

この点については、私がいつも使ってきたXVox Proより、数段上だと感じました。(一応言っとくと、XVox Proも多段コンプなんです。でも、抑えきれずに別のコンプを刺すことも多々ありました。)

ドライブの質感は、もう何種類か欲しい。

歪み・倍音付与のDRIVEについては、3種とも高域にチリチリとした歪みが加わるようなタイプで、中低域に太さがでる……という感触ではないので、意外と歪み関連の音作りの幅は狭い気がしました。

Pulsar Vocal Studio の上段ラック

もっとアンプを通したような感じとか、テープ系とか、違う歪みを求めてしまう場面がありそうです。

SPECIAL FXは好感触。リバーブはちょっと不満。

SPECIAL FXについては、上でも触れたように、オクターバー・ささやき声追加など、他ではあまり見ないエフェクトも多く、モダンかつ面白いサウンドを求める場合には即戦力になりそうです。

一方、リバーブのディケイタイムがいじれないのは、不満点です。

Pulsar Vocal Studio の下段ラック

愛用しているXVox Proで気に入っているのは、DARK HALL・VIBRANT・CRYSTALなど、クリエイティブ系かつ実用性のあるリバーブが収録されていることです。(PLATE・ROOMなど、実在するエフェクトも収録されてはいるが、それ以外のリバーブも収録されている。)

Nuro Audio Xvox Pro
中でも、DARK HALLの雑味のあるリバーブは使い勝手が良い。

一方、Pulsar Vocal Studioの場合は、実在するエフェクト(ROOM・HALL・PLATE・SPRING)がディケイタイム別に収録されています。

Pulsar Vocal Studio のリバーブ

クセの強いSPECIAL FXは好感触なものの、リバーブはわりと素直という塩梅で、もう少しクリエイティブ系のリバーブを収録してくれても良かったのでは。と、思ってしまいました。

ただ、サンプル曲でも示したように、ショートリバーブを活用して、立体感のある声を作るという意味では必要十分なので、クリエイティブ系のリバーブは外部に任せるのは、全然ありな選択だと思います。

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CPU負荷

わりと重い部類です。

Pulsar Vocal Studio のCPU負荷

メインボーカルに使うなら、これくらいは妥当かと思いますが、コーラスなども含めて、ガンガン使うのは、ちょっと難しいかもしれません。

PC環境
  • OS:Windows11 64bit
  • CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core] 
  • メモリ:96GB
  • DAW:Studio One7.2
  • サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
  • バッファーサイズ:1024samples
  • オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4

まとめ

以上が、Pulsar Vocal Studioのファーストインプレッションレビューです。

大量のプリセットも収録されており、切り替えていくだけでも、「あ、こんな音作りができるんだ!」と発見があるのは、いつものPulsar Audioですね。

サンプル曲では、とにかく1ノブコンプが素晴らしく、飛び出しがちなアタックを自然に抑えてくれるのには感動した次第です。これだけでも使いたくなりますね。ディエッシングもEQ前後での2段階とのことで、今後使う内に、他のディエッサーの出番が減ることも期待しつつ。

歪み・リバーブなど、「惜しい!」と思う所はありつつも、手が伸びる理由は十分あるボーカルプロセッサーに仕上がっていると感じました。

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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
子ども向け音楽の作曲家・歌うたい
こどもの日常に、うたを。
秋田の山あいで暮らす二児の父。

子どもが笑って歌い、
親子の毎日がちょっと変わる──

そんな歌をつくります。

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NPB・舞台音楽など、企業・行政案件も多数制作。「こどもに伝えたい!」を歌にしませんか?
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