王道・定番のコード進行 14選 ギター運指付き!
本記事では、王道・定番のコード進行と、コード進行に使われているテクニックをご紹介します。
例えば、Just The Two of Us進行と呼ばれる次の進行。
どういう仕組みで成り立っているのか、一目瞭然です。
ギター運指付きで、定番進行と一緒に、コード理論を学んでいきましょう!
ダイアトニックコードのみの王道・定番進行
基礎から行きましょう!
- ダイアトニックコードってなに?
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ダイアトニックコードは、キーに合う3音の和音(コード)のことです。
例えば、Key=Cであれば、Cメジャースケール「C D E F G A B」の七音を使って、一つ飛ばしに重ねて作ることができます。
キーごとのダイアトニックコードは、五度圏表ですぐに把握することができます。
Key=Cであれば、五度圏表からCを探します。
そして、Cの周りを扇形に囲みます。
この7つのコードが、ダイアトニックコードです。
五度圏表でコード進行を把握すると、曲全体のキーを変える移調も簡単にすることができます。
本ページの定番コード進行も、他のキーでどんどん活用しましょう。
下記、定番コード進行の解説中は、コード進行をディグリーネームというローマ数字でも合わせて解説しています。
Key=Cであれば、コードCをⅠとして、
- Ⅰ:C
- Ⅱm:Dm
- Ⅲm:Em
- Ⅳ:F
- Ⅴ:G
- Ⅵm:Am
- Ⅶm(♭5):Bm(♭5)
と、表現します。
○参考記事
主要3コードを使った進行
メジャーキーでは、Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ(Key=CならC・F・G)が主要3コードです。
この3コードだけでもいろいろなコード進行が考えられます。
①基本中の基本の進行:C→F→G→C
ダイアトニックコードには、3つの役割があります。
- トニック(T):C。主役。
- サブドミナント(SD):F。脇役。トニックにもドミナントにも相性が良い。
- ドミナント(D):G。主役のことが好き。トニックに進みたくなる。
主役のトニックから始まり、脇役で助走を付け、ドミナントGが主役のトニックCに向かう。
このG→C(や、G7→C)の動きを、音楽用語で完全終止と呼びます。
役割を意識していると、このドラマのような流れを理解することができるようになりますね!
②禁則なんて気にしない進行:C→G→F→G
コード理論や和声学では、G→F(ドミナントからサブドミナントの流れ)は禁則として語られることがありますが、ポップスではガンガン使われています。
コードGからFで一瞬盛り下がるような印象になるのですが、最後のコードGで持ち上がって前へ進もうという印象になります。
最後がドミナントのGで終わっているので、また冒頭のCに戻りたくなるという仕掛けです。
このコード進行を使ったのが、私の代表曲でもある「ちんあなごのうた」です。
ほぼ全編、C→G→F→Gです。
主要3コード+マイナーコード
ここからは、マイナーコードも入ったコード進行をご紹介します。
コード機能は3つのままですが、対応するコードが増えます。
- トニック(T):C・Am・Em
- サブドミナント(SD):F・Dm
- ドミナント(D):G・Bm(♭5)
他のキーでも、この配置は同じです。
③さり気なさが格好いい進行:C→G→Am→F
2小節目のGはドミナントなので、トニックの特にⅠであるコードCに進みたくなります。
が、3小節目は、同じトニックでもAmです。
このG→Amの動きを音楽用語で、偽終止と呼びます。完全終止のG→Cよりは落ち着く感じが少ないのですが、それでも十分落ち着く感じがしますね。
4小節目はFなので、Cに向かう力はそこまで強くありません。
その半面、さり気なさが格好いいと感じさせてくれますね。
④JPOPの黄金進行:F→G→Em→Am
コード進行は、何もCからだけ始まるわけではありません。
コード進行を始めやすいコードは、次の4つです。
次の進行は、Ⅳ:コードFからコード進行が始まります。
このコード進行は、JPOP王道進行とも言われ、数多くの楽曲で使われてきました。(4536進行とも言われます。)
2小節目がドミナントのGですから、3小節目は本来コードCが適切です。
しかし、機能が同じコード同士は代替が可能です。
- トニック(T):C ↔ Am ↔ Em
- サブドミナント(SD):F ↔ Dm
- ドミナント(D):G ↔ Bm(♭5) *頻度は少ない。
つまり、Cの代理コードとして、Emを使っている進行なのです。
3小節目のEmは、マイナーコードの少し切ない響きを感じますね。
ちなみに、トニックの中でも安定感はEm<Am<Cの順で強いです。
Emから、より安定感のあるAmに移行することで、きちんと完結するような印象となっていますね。
⑤2516進行:Dm→G7→C→Am
④のF→G→Em→Amを、代理コードに置き換えます。
- 1小節目:サブドミナントのFをDmに。
- 2小節目:Gを、よりCに向かいたくなるG7に。
- 3小節目:トニックEmをCに。
すると次のような進行になります。
この進行は、2516進行と言われる定番中の定番の進行です。
1~3小節目のⅡm→Ⅴ7→Ⅰという動きを、トゥーファイブ(トゥーファイブワン)と言います。
セブンスコードの中には、トライトーンと言われる全音3つ分離れた不安定な響きが含まれます。
そのためセブンスコードは、五度圏表の左隣のコードに向かいたくなる特徴があるのです。
さぁ、ここまでの進行では、主に3和音を使ってきました。
ダイアトニックコードは、4和音であるダイアトニックセブンスコードに置き換えることができます。
⑤をダイアトニックセブンスコードは置き換えたものが、こちらの進行です。
4和音にするだけで、かなりオシャレな雰囲気になりましたね。
- ダイアトニックセブンスコードの覚え方
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ダイアトニックセブンスコードも、五度圏表の場所で覚えると便利です。
上段は、M7・M7・7。
中段は全て、m7。
下段は、m7(♭5)。場所で覚えれば簡単ですね。
ノンダイアトニックコードを含む王道・定番進行
セカンダリードミナントを含む進行
セカンダリードミナントは、セブンスコードの五度圏表の左隣のコードに向かいたくなる性質(強進行)を利用したテクニックです。
目的のコードに対して、右隣のコードをセブンスコードに変えることで、セカンダリードミナントを作り出すことができます。
例えば、コードFに対するセカンダリードミナントコードを作ると……。
ここでは、セカンダリードミナントを含む定番進行をご紹介します。
⑥2516進行改:Dm7→G7→CM7→A7
先程紹介した⑤から、最後のAm7だけセカンダリードミナントに変化させた進行です。
セカンダリードミナントのA7は、1小節目のDm7に向かうためのもの。
そのため、ループしやすい進行になっています。
⑦Just The Two of Us進行:FM7→E7→Am7→Gm7→C7
洋楽の楽曲由来の進行です。
セカンダリードミナントは2箇所使われていますよ。
2小節目のE7は、五度圏表のAmの右隣にあるEmをE7に変化したもの。
4小節目のC7は、冒頭1小節目のFM7に対するセカンダリードミナントです。では、Gm7はどこから出てきたのでしょう?
実は、一時的にFをⅠと見なして、Ⅱm7:Gm7→Ⅴ7:C7→ⅠM7:FM7 という風に、トゥーファイブワンを作っているのです。
このGm7のように、セカンダリードミナントの時に作るⅡm7を、リレイテッドⅡm7と呼びます。
セカンダリードミナントをもっと知りたい場合は、下記の記事を参考にして下さい。
サブドミナントマイナー・ドミナントマイナー借用を含む進行
Key=○の時に、Key=○mのサブドミナントマイナー・ドミナントマイナーコードを一時的に使う(借用する)進行をご紹介します。
例えば、Key=Cの時であれば、Key=Cmのサブドミナントマイナー・ドミナントマイナーコードを使います。
つまり、Key=Cの時に、Key=Cmの
- SDm(サブドミナントマイナー):Fm7・Dm7(♭5)・A♭M7
- Dm(ドミナントマイナー):B♭7・Gm7
を一時的に使うということですね。
⑧C→Gm7→FM7→Fm7
まず、2小節目のGm7はドミナントマイナー借用ですね。
一つ前の進行で、セカンダリードミナントのトゥーファイブワン「Gm7→C7→FM7」を紹介しました。2小節目のGm7は、セカンダリードミナントのC7を省略して残ったものと考えると、FM7に進みやすい理由として納得できるのではないでしょうか。
4小節目のFm7がサブドミナントマイナー借用です。
3・4小節のように、同じルートのコードF→Fmというような変化は、サブドミナントマイナー借用では特に使いやすいです。
⑨C→G→A♭→B♭→C
3・4小節の「♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰ」の動きは、ロックでもポップスでもよく聞く流れです。
サブドミナントマイナー→ドミナントマイナー→トニックの流れで、最低音が全音ずつ上行しているのがポイント。
サブドミナントマイナー借用をもっと知りたい場合は、下記の記事を参考にして下さい。
その他の定番進行
オンコードを使った進行
オンコードは、C/E(シーオンイー)と表記します。(ConE、という表記もあります。)
C/Eなら、最低音がE(ミ)のコードC、という意味になります。
⑩Ⅰ/Ⅲから始める進行:Cadd9/E→FM7→G→Am7
コード進行を始めやすいコードは4つと紹介しました。
実は、例外もあります。
それが、Ⅰ/Ⅲというコードです。
最低音の動きを見てみましょう。
Ⅰ/Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅵm 3456と最低音がスケール順に上がっているのが分かります。
少しアンニュイな、でも、爽やかさ・前向きさも持ち合わせた定番進行です。
⑪Ⅰ/Ⅲの活用2:Key=G G→G/B→C→D
今度はⅠ/Ⅲを、2小節目に使ってみます。(Key=Cでは、体感しづらいので、Key=Gでご紹介。)
冒頭、トニックが2小節続くわけですが、2小節目にⅠ/Ⅲを使うことで、最低音が上がって前向きな印象を与えています。
そのまま最低音が、B→C→D(345)と上行して、4小節目のドミナントDが、1小節目のトニックGに向かいたくなる、という仕組みです。
1~3小節目は、構成音を維持するペダルポイントを使ってみました。本進行のバリエーションを色々と作ってみるのも楽しいです。
⑫変形カノン進行:C→G/B→Am7→G6→F→C/E→Dm7→G
カノン進行は、オンコードなしで紹介されることも多いですが、本記事ではオンコードの進行として紹介します。
最低音に注目しながら、聞いてみましょう。
Cから始まって、C→B→A→G→F→E→Dと下降していますね。
4小節目のG6は、C/Gと紹介されることが多いです。が、私的にはあまりきれいな使い方に思えないため、あえて変化を付けてみました。(Em7/G=G6、と考えてもOKです。)
色々と工夫のしがいのある進行ですので、ここでは最低音をスケール順に下げていくだけでも、立派なコード進行が作れる。ということを覚えて頂ければと思います。
クリシェを使った進行
クリシェとは、コード構成音の中で、一音だけ変化していく進行です。
⑬Ⅰの五度の音から半音ずつ上がる進行:C→Caug→C6→C7
Ⅰの五度の音とは、Key=CにおけるⅠ:コードCを構成するCEGの内のG(ソ)のこと。
3弦に注目して見てみましょう。
開放弦のG(ソ)から半音ずつ、G→G#→A→B♭と上がっていきます。
最終的にC7がセカンダリードミナントとなり、Fに解決します。
⑭最低音下行のマイナークリシェ:Am→Am/G#→Am/G→F#m7(♭5)
最後にマイナーキーのクリシェをご紹介します。
1~2小節は、最低音だけが変化している進行です。
クリシェの後は、♭ⅥであるFに向かうパターンが多いです。
このクリシェは非常に使い勝手がよく、ポップスでも大変多くの曲で採用しています。
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まとめ
以上、王道・定番のコード進行14選でした。
定番コードに触れながら、コード理論をスルスルと理解できるよう記事を書いたつもりです。
本記事をきっかけにコード理論をもう少し詳しく学びたくなったら、下記の連載記事からぜひ学んでみてくださいね。