UVI World Suite2 レビュー 世界中の楽器が集まる民族楽器総合音源
UVI World Suite2は、世界中の笛・弦楽器・太鼓・木琴・ベルなど、様々な楽器を収録した民族楽器総合音源です。
- 芯のあるドライなサウンド。
- カテゴリ分けが優れており、サウンドを探しやすい。
- キースイッチが収録されている楽器も多数。
サウンドを聴きながら、UVI World Suite2に迫っていきましょう。
サウンドを聞いてみよう。
サンプル曲1:5トラック
5トラック、全てをWorld Suite 2で作ったものです。
Pkuという中東の木管楽器が、リードを取っています。
美しい背景画像がテンションを上げてくれますね。
音量操作の方法は、プリセット選択時に決まります。ベロシティ追従か、Modホイール(CC1)かで音量を操作します。
Pku Basicは読み込み後に、ベロシティ・CC1どちらかを選択できます。
一方、Pku True Legato・Pku True Vibratoを選択した場合は、ベロシティ依存になります。
ベロシティ依存の場合でも、途中で音量操作したい場合は多いもの。
無料で使えるUVI WorkStationで立ち上げた場合は、右上にある音量バーで右クリックをして、Modホイールを動かすと自動的に割り当てされ、ベロシティとCC1どちらでも音量操作できるようになります。これはとても便利です。
Falconで立ち上げている場合でも、同じことが可能です。(ちょっと操作が複雑になりますし、方法がたくさんありますが。)
エフェクトタブでは、かかっているエフェクトが一覧で見られ、+fxボタンから追加もできます。
エフェクトをかけたまま、DAW上でパンを変更すると、リバーブ成分ごと左右に寄ってしまい、不自然になることがあります。
UVI Workstation内でパン設定しても、エフェクト音が不自然になります。
そのため、パン操作をしたい時にWorkstationを使う場合は、内蔵エフェクトを使わず、外部エフェクトを使うのが良いと思います。
パン操作した上で、UVIの内蔵エフェクトを使いたい場合は、Falconで立ち上げてパンを設定します。
Editから、KeygroupのPanを設定します。これで、パン後にエフェクトがかかるルーティングになるので、不自然ではなくなります。
詳しくは、Falconの解説記事もご覧ください。
サンプル曲2:フレーズ集を使ったパターン
World Suite 2には、フレーズ集も含まれています。
フレーズ集を使ったサンプル曲も聞いてみましょう。
打楽器のUdu以外はフレーズ楽器をただ並べただけです。
上の画像を見て分かるように、Audioファイルも収録されています。
このように、手軽に民族音楽を楽しめるのも、World Suite 2のウリの一つでしょう。
もっと手軽に遊びたい場合は、Travelersというサンプルを組み合わせるプリセット集もあります。
制作物として納品する場合に使うかどうかは、ちょっと微妙な所ですが、アイデアの起点として使うのには十分だと思います。
サンプル曲3:他のUVI製品と組み合わせたパターン
Quadra・Percussion Factoryを組み合わせ、たった5分ほどで作ったデモ曲が以下の通り。
UVIならではの、アルペジエイターを使った簡単な操作で、すぐに曲ができますね。
相性の良いPercussion Factoryは、特におすすめな製品です。
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World Suite2の良い点・悪い点
【良い点】プリセット選択が分かりやすい。
World Suite 2のプリセット選択は非常に分かりやすいです。
By Regionで、地域から楽器を選択できます。
By Typeでは、楽器の種類から選択できます。
競合製品であるEthno World Completeは、楽器の種類からしか選択できません。
楽器の種類からの選択だけだと、特定地域の楽曲を作りたい場合に、音源選択が非常に難しいです。
これが解消されているのが、World Suite 2の良さの一つだと思います。
【良い点】サウンドに芯があり、ドライに収録されている。
最初からかかっているリバーブやディレイを切った場合、非常にサウンドが近く芯があり、ドライに収録されています。
部屋鳴りが収録されすぎていると、使いにくい場合も多々ありますが、World Suite 2は使いやすい音だと私は感じます。
【悪い点】学びは必要!
自分で手打ちする場合は、一つ一つの楽器を調べる必要はやはりあるかと思います。特にスケールを工夫しないと、音だけ民族風なのにフレーズは西洋音楽……と言った感じになってしまいます。
今はYoutube検索できますので、楽器のイメージもしやすいですし、学びが手軽にできるのが良いですね。
【悪い点】和物はいまいち。
日本の楽器は、数が少ないながら、琴・三味線・尺八・太鼓が入っています。
が、和物を高品質に収録しているSONICA INSTRUMENTSや、東洋楽器専門音源のNI Spotlight collection: East Asiaに比べると、チャチな音に感じます。
和物楽器を期待される場合は、World Suite 2はおすすめしません。
競合製品比較
競合製品としては、Ethno World Completeが挙げられます。Ethnoも篠笛が収録されていませんし、和楽器系ライブラリとしては、さほど変わりません。
Ethnoのサウンドは少し離れた位置で収録された柔らかいサウンドが特徴で、オーケストラ音源と合わせるなら、多少のMIX調整で調和させやすいと思います。内部エフェクトはKontaktになるので、大味にかかり、あまり質は良くない印象です。外部エフェクトが必須ですね。
一方、World Suite 2の音質はドライで、とても近い位置で収録されています。そのため、個々の楽器を活かすような楽曲であれば、World Suite2を選択したい所。ちなみに、Falconの内部エフェクトの方がKontaktより高品質だと私は思います。
また上でも申し上げた通り、音源の選び方は、World Suite 2の方が工夫されています。地域からでも、楽器の種類からでも、どちらからでも検索可能です。
Ethnoの場合は、楽器の種類からのみの検索なので、楽器名が分からない場合は、当てずっぽうで探していくことになります。
どちらが良いかというのは一概には言えないのですが、部屋鳴りを含めた生々しいサウンドが欲しいならEthno World Complete。パリッとしたドライに収録されたサウンドが欲しいなら、World Suite 2がおすすめです。
ポップス的な民族楽曲を作るならWorld Suite 2で、空間を感じる本格的な民族音楽を作りたい場合はEthnoという選択でも良いかと思います。
CPU負荷
World Suite 2は、非常に軽いです。
UVIのサンプルを使った音源は、負荷が少ないものが多いと感じます。ただし、一部読み込みが長いプリセットもあります。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、UVI World Suite2のレビューです。
和物が弱いという弱点はありますが、全世界の楽器が安く一気に手に入るという点で、非常におすすめできる音源です。劇伴・ゲーム音楽などで、活躍することでしょう。