Valhalla Shimmerレビュー&解説! 実践的な使い方とは?
VST Effect レビュー

Valhalla Shimmerレビュー&解説! 実践的な使い方とは?

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シマーリバーブは、ピッチシフターとリバーブを組み合わせたエフェクトです。

シマー(Shimmer)は、「きらめく」という意味。シマーリバーブは元の音をピッチシフトで加工してキラキラとした音を生みだし、幻想的な音を作り出すことができます。

本記事ではValhalla Shimmerの実践的な使い方をご紹介・レビューしていきます。

どんな音が出せるのか

ドローンサウンド

減衰を長くすることで、アンビエントミュージックなどに使えるドローンサウンドが作れます。試しに、ピアノと効果音のみのアンビエントBGMを作ってみました。

ピアノと雨のアンビエント
ピアノの設定。diffusionが0.9を超えると、物凄く長い余韻になる。

薄くPAD音を追加する

減衰を短めにすることで、音のぶつかりをある程度減らせます。元の音にキラキラとしたPADサウンドを追加することが出来ます。使い勝手が良く、一番使いやすい設定です。

ただのベルの音がPAD風味に。PANはShaperbox2(別記事参考)で自動化。
Valhalla Shimmer PADとして使う
減衰が短めなので、音数が多少多くても問題なく使える。

【小技】リバースシンバル音を再現する

EDMなど、展開の変わり目によく使われるリバースシンバルですが、Valhalla Shimmerを使ってより細やかに演出することができます。まずは音を聞いて下さい。

Valhalla Shimmerを使ったリバースシンバル音
インサートでValhalla Shimmerを使い、ボリューム操作で音を出す。
  1. インサートでValhalla Shimmerを使い、mix1.00に。
  2. reverb modeをbigStudioに、pitch modeをbypass。長めの余韻にする。
  3. トラックにクラッシュの素材を置き、volume0からのオートメーションを描く。
わたなべ
わたなべ

シンバルの素材を反転して使うと、時間が短すぎたりもしますが、この方法なら好きなタイミングを演出できて楽です!

ボリュームが上がりきったら、ばっさり0にするのがポイント。PANのオートメーションで、左から右に行き過ぎるように設定するのも効果的です。

その他

プリセットに収録されている他の使い方としては、

  • ピッチシフトを使わないコンサートホール的な使い方
  • モジュレーションを使用したコーラスエフェクト

など、他のエフェクトの代用もできます。が、それなら専用のエフェクトを使っても良いような気もします。

Valhalla Shimmerのパラメーターの意味

Valhalla Shimmerは一般的なリバーブと音像が大きく違うため、ノブの意味が直感的に理解するのが難しいかもしれません。ここではパラメーターの意味をご説明します。

mix

一般的なエフェクトと同じです。0.5で原音とリバーブの量が同じになります。

センドで使う場合は、1.00でいいでしょう。Valhalla Shimmerは動作がかなり軽いので、インサートで多用するのもありです。

shift

ピッチシフトの量です。数値は12.00で12半音(1オクターブ上)を表します。

ピッチシフトは、feedbackが0以上の時に動作します

参考

7.00にすると、完全5度の音が発されます。フィードバックするごとに、7半音上の音が鳴るので、ドを鳴らした場合、 ド・ソ・レ・ラ……の音を返します。そのため、入力する音の数が多すぎたり、feedbackの値が高すぎたりすると音が濁ります。

飛び道具的な使い方をしたいなら別ですが、基本的には「12.00」か「-12.00」の使用が良いのではないでしょうか。

feedback

sizeとdiffusionで作った音像を、どれくらい繰り返すかを決める値。ディレイと同じような意味合いです。

ピッチシフトの質感とも連動しています。feedbackが0だとピッチシフトは動作しません。

diffusion

音の拡散具合を変えます。diffusionが0だと、発した音がそのまま返ってきます。diffusionを上げるにつれて、返ってくる音がぼやけていきます。また、音も長くなっていきます。

0.618が基準となっており、リバーブのアタックタイムとディケイタイムが同じになります。0.618~0.9未満は、ディケイタイムがどんどんと長くなり、0.9以上は、フィードバック量に関係なく、物凄く長い減衰となります。

size

部屋の大きさ。値が大きいほど長いリバーブタイムになります。

low cut・high cut

値はHzを表し、値までローカット、ハイカットする。ゆるい感じのかかり方。

mod rate・mod depth

若干、音程を変えるためのパラメータ。depthで音程を変える量を決めて、rateは、シンセサイザーのLFOのように、音程を周期的に変化させるスピードを表している。

reverb mode

mono入力された音をモノラルとして入力した後に、ステレオで出力するモード。減衰は非常に長い。
big
Stereo
大聖堂のような長いフェードイン・フェードアウト。ドローンサウンドを作るのに良い。
medium
Stereo
ホールリバーブのイメージ。薄くPAD音を追加するような使い方なら、mediumStereoが向いている。
small
Stereo
ルームリバーブのイメージ。ピッチシフトの効きが物凄く良い。

pitch mode

singleフィードバックされた音を、shift量に応じて変化させて発音するモード。
dualshift量に応じて、音を上下に変化させて発音する。そのため、低音域にもシマーサウンドが追加され、ふくよかな音になる。
single
Reverse
リバースは、拡散された音の粒をリバースして発音する、という意味。音がsingleよりも滑らかになって発音される。
dual
Reverse
dualよりも滑らかな音で発音される。
bypass ピッチシフトを使わない。

color mode

bright・darkの選択です。darkでは、10000Hz以上がハイカットされて、丸っこい音になります。

音作りのやり方

プリセットをいじるだけだと、理解しにくいValhalla Shimmer。一度パラメーターを白紙に戻してからいじってみると分かりやすくなります。

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この状態で音を鳴らすと、音の返りは1回だけになります。
sizeを変えることで、音が跳ね返ってくるまでの長さを変えられます。
diffusionを増やしていくと、音の返りがバラけてくるのが分かります。0.618を超えると、普通のリバーブのような質感になります。
feedbackで、適切な減衰時間を調節しましょう。
清らかさを求めるならSingle、重厚感を求めるならdualを。滑らかさが欲しければReverseを。
明るすぎるのが嫌ならばdarkを選んだり、High Cutをしたりして調節する。
modの揺らぎは少々の方が良い感じになる。必要であれば、feedback・diffusion・sizeを微調整して完成。
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動作の軽快さ・金額など

動作はめちゃくちゃ軽い!

全く負担を感じない軽さです。なんでも開発当初は重かったCPU消費量を20分の1に抑えることに成功したともマニュアルに記載されています。

Valhalla Shimmerは音作りで使えるため、インサートで使うことも多いですよね。がんがん使えるのは良いです。

セールはしない!

Valhalla社は、セールを行わないことで有名です。いつでも50ドル(約5,000円)なので、欲しい時が買い時です。

まとめ

この記事ではValhalla Shimmerでどんな音が出せるのか。使い方のポイントをご紹介しました。

  • 幻想的な音を出したい方
  • アンビエント・ミュージックを作りたい方

におすすめのエフェクトです。

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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早15年。東北秋田で田舎生活しながら、音楽にいそしむ。ミュージカル等の舞台音楽、CM音楽・ファミリー向け楽曲を手掛ける。

歌詞が伝わる歌を作るのが得意。

・音楽制作依頼(舞台音楽・CM楽曲等)
・ブログ運営(音楽理論&プラグイン解説)
・教材販売
・ファミリー向けの作品づくり
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