Scaler2レビュー 新たな発想のコード進行を導く!
Plugin Boutique社から出ている、コード入力支援ソフトScaler2。
先に私見を述べると、コード理論をある程度分かっており、かつ次のような悩みを持っている方におすすめです。
- 演奏ができないから、DTMに活かすのが難しい。
- 自分で新しいコード進行を生み出すのが苦手。
実際に、私がScaler2を使用して作ったサンプル楽曲もご用意しました。
Scaler2の魅力と活かし方をお届けします。
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Scaler2でどんな楽曲が作れるか?
Scaler2検証のため、今回は4小節の楽曲を2曲作ってみました。
どちらも10分ほどで制作したものです。
【検証1】Scaler2収録コードを使用
検証1では、Scaler2に収録されているコード進行を元にしています。
ジャンルからHOUSEを選択して、そのまま使いました。
Scaler2でフレーズを生み出す機能を使ったのは、ピアノ・パッドの2つです。ソロで聴いてみましょう。
Scaler2上では、Fリディアンモードと解析されています。簡単に言えば、「スケールの主役の音はF(ファ)の音ながら、使われているコード自体はKey=Cのコードが多い状態」です。
私としては、Key=C:Cイオニアンモードと解釈する方がしっくりくるので、下記のように解析しました。
コード理論をある程度学んでいないと、意味が分からないと思います。ただ、意味が分からないから使えないかというと、そんなことはありません。
収録されているコード進行が気に入れば、ガンガン使っていけばいいと思います。ただ、中身がどのような理論で成り立っているかについては、Scaler2は示してくれません。
私自身、本サイトでコード理論を0から解説していますが、↑の進行を理解するには、私の記事のコード理論初級~上級1記事目の知識が必要です。
逆にそこまで分かっていれば、Scaler2は宝の山が眠っています。
全て無料で大変易しい内容と評判ですので、当サイトのコード理論解説もぜひご利用下さい。基本の基本を網羅した無料PDF↓も、ぜひ。
【検証2】私が作った進行にフレーズを作成
検証2では、私自身が考えたコード進行に、Scaler2でフレーズを作成させたパターンです。
キーを曖昧にするため、あえてsus2コードを多用した進行にしています。
この進行に対して、Scaler2によるフレーズ作成機能を使います。
フレーズ作成モードになったら、フレーズの種類・フレーズの並べ方を選択します。
後は、DAWにコードをドラッグするだけ。
出来上がったフレーズは、次のようになりました。
おもしろいのは、テンション11が追加されていたり、sus2と指定しているにも関わらず、三度の音が追加されていることです。(というより、たまたま三度・11thが足されるフレーズを選択したようですね。)
あえて三度をぼやかしたつもりだったのですが、選んだリフによっては、まるっきり無視してフレーズ作成してきます。
私的には、D7sus2には、m3:F(ファ)、M3:F(ファ#)どちらも載せられるおもしろさがあり選択しました。
しかし、このリフが作られたということは、Scaler2はこの場面でKey=Emであることを優先し、D7sus2をD7(9)とみなしているということになります。(のわりには、アヴォイドノートのテンション11が載っているのですが、響き的にはおもしろいですね。)
これは私には出すことができない発想です(笑)
このように、作られたフレーズを解析すれば、発想を広げる手助けになると思います。
Scaler2の画面の見方
Aパートでは数百種類のコード進行を、ジャンル別・作ったアーティスト別で見ることができます。
Bパートでは、選んだスケールからダイアトニックコードや、アヴェイラブルテンションを付けたコード、借用和音、転調のためのコード候補などが見られます。
Cパートでは、良いと思った進行を保存していくことができます。EDITを押すことで、各コードの長さやフレーズなどを設定できます。また、MIDI CAPTUREを押すと、演奏したデータがMIDIで録音できます。
Scaler2を使ってできる3つのこと
1.演奏&入力支援
指一本でコードが演奏できる。
A・B・Cパートそれぞれの右端にある四角いボタンを押すと、設定されたコードを指一本で演奏できます。
白鍵だけを使って、コードトーンを演奏できる。
KEYS-ROCK機能を使うと、演奏支援機能が強化されます。
特に使いやすいのは、Scale White Keys・Chord Notes機能だと思います。
- Scale Notes Mapped:スケール外の音を押しても、スケールに変換さされる。
- Scale Notes Only:スケール外の音を押したら、MIDIとして感知されなくなる。
- Scale White Keys:スケールが白鍵に配置される。
- Chord Notes:白鍵に12345と表示される。左手で選択したコードのボイシングの低い位置から順に、12345と配置される。
- Chord Extentions:コードトーンが順に並んだ後、テンション9・11・13と並んでいく。(ただし、例えばⅥm7の場合、13がアヴォイドノートなので、安易に13を重ねると不協和音になったりする。)
Chord Notesでコードを演奏する時、左手でコードを選択し、右手で演奏することになります。左手でコード選択時、コードの音自体が鳴ると邪魔になる場合があります。
そんな時は下記画像を参考に、CHORD MUTE:MUTEDに設定します。
その上でCパートにあるMIDI CAPTURE機能を使って演奏を記録し、MIDIデータ化しましょう。
2.フレーズ作成
コードからフレーズや伴奏を生み出せる。
また、Cパートの自分の作ったコード進行に関しては、EDITから演奏方法を指定することもできます。
ただ、良いフレーズを一つずつあてるのは、かなり労力が必要な作業なので、画面上部のPERFORM機能を使う方が有力かと思います。
3.新たなコード進行を知れる。
- ジャンル特有のコード進行を知れる。
- アーティストが考案した、たくさんの進行を知れる。
目新しいコード進行を学ぶ上では、大変興味深いパートがこちらです。
特にジャンル特有のコード進行は、新たなジャンルを開拓する際に大変勉強になります。
ただし、紹介されているコード進行の意味・狙いについては、自分で読み解く必要があります。コード理論自体が分かっているとすればScaler2は宝の山ですね。
Scaler2のまだ弱いところ。
自動化は期待できない。
オーディオからコード進行を読み解いたり、MIDI情報からスケールを導く機能は、あまり精度が高いとは言えません。
例えば、私がKey=Dを想定したMIDIのメロディーを、Key=Aと候補に挙げてきたりと、一重要な部分で「あれ?」という動作があります。(まぁ、スケールの違いは一音なので、その一音がないと判断しにくいのでしょうが……。)
やはりこのプラグインは、コード進行を自分である程度理解している人の方が、より多くの発見があると思います。
フレーズ作成は生楽器向きではない場合も。
フレーズ作成機能では、前述の通り、自分が思いもしなかったフレーズが生み出される場合があります。
大変楽しい機能ですが、機械的なフレーズが多いため、シンセなどの音色の方が合いますね。
例えば生ピアノのフレーズを生み出してポップスのアレンジをするのだとすれば、その機能に特化したToontrack EZKeysを使った方が良いです。
CPU負荷
大変軽いです。
MIDIのエクスポート後は、他の音源で音を出す場合がほとんどだと思います。放って置いてもまるで問題ないくらい軽いです。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One5.4
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:512samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Plugin Boutique Scaler2のレビューです。
私的には、色々なジャンルの王道進行を知れるのが、一番ありがたい機能です。
当サイトのコード理論解説も参考にしながら、色々な楽曲を制作して下さい。
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