Avenger2レビュー 使いこなす上で知っておくべきこと
VENGEANCE SOUND Avenger2は、多機能・高機能なシンセサイザーです。
- ドラム音源も含む総合シンセ音源
- 指一本で伴奏が演奏可能なプリセット
- 慣れれば分かりやすいGUI
私自身は、Avenger1を触っておらず、今回Avenger2が発売して初めて触れています。多機能だからこそ、使いこなすにはポイントを絞り、順を追って習熟する必要があると感じました。
本記事では、Avenger2のレビューと、初めて使う方が使いこなす上で知っておくべきことをまとめてお知らせ致します。
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サウンドを聞いてみよう。
指一本で演奏可能?
Avenger2を語る上でよく言われるのが、指一本で演奏できる。ということです。
プリセットから、カテゴリーSequence:SQ Euro Partyを開いてみます。
次のような打ち込み内容で、伴奏とリードソロが簡単に出来上がります。
B2以下のキーを押すと、ドラム・ベース・上モノなどが一斉に伴奏されます。
一方、C3より上の音域は、リードソロを演奏できるので、簡単にメロディーのアイデア出しができるわけですね。
どういう仕組みかというと、Avenger2内で、オシレーターが一度に複数立ち上がり、それぞれがアルペジエイターで演奏されているのです。
これをそのままオリジナル楽曲に落とし込むことも可能ではあるでしょうが、それぞれのオシレーターへのMIDI入力はできないため、細かな変更はAvenger内のアルペジエイターで行うことになります。(アルペジエイター自体はとても高機能で面白いため、記事終盤でまた触れます。)
ただ、DAW上で他のトラックとの音の兼ね合いを確認しながら制作を進めたい方には、このSequenceカテゴリは、曲だしのアイデア集として活用する方が良いように思いました。
手軽に学べるので、様々なジャンルの音楽の取っ掛かりになるはずです。
別パターンも見てみよう。
今度は、Avenger2を4トラック立ち上げて、それぞれのトラックをノート一つで演奏した例です。テクノ系のサンプル。
好きな音を組み合わせて、簡単にトラックが作れましたね。
ちなみにあっさり通り過ぎていましたが、Avenger2はドラム音源も収録されている総合音源です。
ドラムの立ち上げ方は、次のとおり。
これで、B3以下のキーを押すと、ドラムパターンが自動演奏されるようになります。
ちなみに、普通のドラム音源のようにDAWで打ち込みたい場合は、③Drumkitを選択した段階でできるようになります。
ドラムパターンをMIDI化するのは、次のようにします。
やり方が分かると簡単ですね。
以上のように、複数のシーケンス・アルペジオが自動演奏される以外にも、リード・パッド・ベルなどのような、普通のシンセサイザーのサウンドも当然収録されています。
Avenger2の使い方
Avenger2は非常に多機能ゆえ、最初は分かりにくく感じるのですが、GUIや操作方法に慣れるとより素早く視認できるようになります。
信号の流れと、便利な右クリック
Avenger2でとても大切なのが、マウスの右クリックです。
ROUTE上で、チェックしたい部分を右クリックすると、対応する部分が赤く光ります。
例えば、下記のプリセットのPITCH1をチェックしてみます。
Avenger2はチェック項目がたくさんありますが、右クリックのおかげで簡単に操作できるわけですね。
オシレーターの選択
オシレーターは、音を出す元となる部分のことを言います。
Avenger2では、10種類のオシレーターから選ぶことができます。
普通の波形(VA-ShapesやWavetable)を選択する以外にも、Freeformでは自分自身で波形を描くこともできます。
また、オーディオ素材を鳴らすサンプラーとしての使い方も可能です。
オーディオ素材を粒上にして鳴らすGranularの他、Avenger2で新たに追加されたSpectre Granularでは、今までになかったようなサウンドを簡単に作ることができます。
私もSpectre Granularから、0からPadを作ってみました。
元のオーディオ素材は、歌の素材ですが、幻想的なPAD音に仕上がっています。
Spectre Granularの機能が分かりやすいのが、次の公式動画。
Avenger2初心者が見逃しやすいポイントとしては、オシレーターの左側のタブでしょうか。V-Saw・Voicing・Quantizeです。
分かりづらいQuantizeに関しては、下記の動画が参考になりました。
レガートやポリフォニックなどの設定は、Pitchの項目から行います。
エフェクト
Avenger2のエフェクトは、左下側部分を右クリックして操作します。
マスターエフェクトの他、最大4系統のFXを使うことが出来るほか、Send Rackもあります。(つまり、DAWのように、様々な方法でエフェクトを制御できる。)
各エフェクトにもプリセットが付いているのが、非常に便利です。
Avenger2で新登場したQ4NTUMというディレイエフェクトが物凄く強力です。
プリセットが豊富で、様々な音が出せます。
VSTディレイプラグインでも、ここまで多彩な音ができるディレイは中々ないのではないかと思います。
オシレーターごとにパラアウトも可能で、FXタブから設定します。
AUXを選択し、DAW側でも設定すればOKです。
モジュレーション
シンセサイザーといえばモジュレーション(変調)です。
モジュレーションの元となるモジュレーターは、ピンク色の点で示されています。
よく使うのは、画面真ん中のMod Envや、右側にあるLFOでしょうか。
モジュレーションの一覧は右側にあります。
また、モジュレーションされたノブは、ピンク色の三角ボタンが現れ、上下ドラッグで変調する量を指定できます。
ノブに、何が変調がされているかを確認するには、右クリックします。
この時、LFO1をクリックすると、設定したLFOに画面遷移し、すぐに設定を変更できます。なんという親切設計。
フィルターには、タブ内にもモジュレーションが配備されています。
強力なアルペジエイター
Avenger2のアルペジエイターは大変強力です。
当然のようにプリセットが大量に入っています。
コードや音程入力、リズムの変化もお手の物。
Avenger2で追加されたランダマイザーは、確率をユーザー自身が決定できます。
テクノ系で、かなり役に立ちそうです。
ちなみに、ドラムもAvenger2内のものを使っており、文字通り、ノート一本で↑の音源は出来上がっています。
こうして作ったシーケンスパターンは、DAW上で録音することもできます。
【追記】エクスポートMIDIもありました。
CPU負荷
Avenger1は、CPU使用率が高いと聞いていたのですが、Avenger2はCPU使用率の軽減もされ、重いとは感じませんでした。
たくさんオシレーターを使っていたプリセットで、CPU17%程度となりました。
動作自体は非常に軽快です。普通に使う分には、特別CPU負荷を気にする必要はなさそうに思います。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、VENGEANCE SOUND Avenger2のレビューと、初心者が知っておくべきポイントでした。
読み込まずとも、音をオーディションできるプリセット選択も、ストレスがありません。
絶賛したい気持ちの一方、シンセサイザー初心者には、中々とっつきにくいシンセであるとも感じる所。ここまで多機能・高機能のシンセサイザーは中々ありませんから、導入するのであれば使い倒す覚悟を持って導入しましょう。使いこなせば、音楽人生を変えるほどの武器になるはずです。
私も今後少しずつ増やすつもりですが、各ジャンルに特化した拡張音源もかなり魅力的ですね。
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