Big Fish Audio Smack2レビュー 良い音っ!ボディーパーカッション音源の決定版
Big Fish Audio”SMACK 2: CLAPS, SNAPS & STOMPS”は、高音質なボディーパーカッション音源です。
クラップ・スナップ・ストンプ(手拍子・指パッチン・足踏み)の他、胸・腿をたたく音なども収録されています。
- とにかく自然で高音質なサウンド
- 同じパッチ内で、人数違いの音が出せる。
- パッチ毎に3マイクで収録され、フェーダーで調整可能
- 3パッチ(少スタジオ・中ホール・大ホール)+1エレクトリック
他のプラグインとも比較しながら、Smack2に迫っていきます。
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Smack2のサウンドを聴いてみよう。
Smack2オンリー
内部エフェクトをのみを使っていますが、生々しく迫力のあるサウンドだと感じませんか?
この良いサウンドの理由は、次の通り。
- 11個のサウンドロビン+7つのベロシティーレイヤー
- 3マイク(Close・Stereo・Room)の組み合わせ
- 的を射た8つの内部エフェクト
特に、サウンドロビンが11種類というのは、良いですね。
打ち込み画像を拡大してみると分かりますが、同じパッチ内で、クラップやスナップの人数を、1・2・8人などと分けて打ち込めるのもSmack2の特徴です。
他の手拍子音源、例えばBoz Digital Labs / El Clapoであれば、Claps数は最大150まで行けるのですが、人数毎に手拍子を分けたい場合、Clapsに対してオートメーションを書くか、人数毎にEl Clapoを立ち上げる必要があります。
1つの楽曲内で、同じ人数の手拍子を入れるだけであれば、El ClapoやRobotic Bean / Hand Clap Studioでも仕事をしてくれます。
ただ、サンプルをランダムにずらして発音する関係上、サウンドにばらつきが生まれすぎることがあるようにも感じます。(*私はHand Clap Studioはデモっただけなので、主にEl Clapoの印象です。)
Smack2は、11個のサウンドロビン+7つのベロシティーレイヤーにより、必ず良い収録音が発音されるという安心感がありますね。
アンサンブル内でどう聞こえるか?
アンサンブルの中の、Smack2のサウンドを聴いてみましょう。
前半2小節が4人の手拍子、後半2小節が8人の手拍子です。
生々しいサウンドに聞こえますね。
加工されていない、本当に収録したかのようなサウンドです。
El Clapoの場合
Boz Digital Labs / El Clapoに差し替えるとどうでしょうか?
セッティングにもよりますが、とても近いサウンドに聞こえますね。
もっと音が重なっているサウンドの中であれば、El Clapoのサウンドは前に出てきて、頼りになる音だと思います。
他の方法の場合
手拍子音源を持っていない場合、自分でRECしたり、サンプル素材を使うと思います。
私も、以前まではBattery4を使っていました。
この方法は、サンプルを選んだり、打ち込んだりするのに手間がかかるのがネックです。
そして、何よりサウンドに納得するのが、中々厳しい。……なんていうんだろう。大味なサウンド?(こういう音が良い場面もあるとは思いますが。)
結局の所、選ぶサンプルによってサウンドが左右されるのですが、そもそも選ぶ時間がもったいないのです。
Smack2の特徴まとめ
こうして見ていくと、Smack2の特徴が浮き出て見えてきます。
- とにかく生々しいサウンド
- 手間なく自然な音が出せる。
この2つの点において、他の方法に比べて抜きん出ているように思います。
収録内容について
パッチ紹介
Kontaktブラウザ上の選択画面は次のとおりです。
- 1)Small Studio:一番距離感の近いパッチです。
- 2)Medium Hall:残響や空気感が増したパッチ
- 3)Large Hall:より空気感が増したパッチ
- 4)Electronic:Lo-Fiチックに加工されたサウンドが収録
- Articulations:上記パッチ内のサウンドロビンで入れ替わるサンプルを選んで鳴らせる。
- Matching Keyboard Layoutは、下記の項で説明します。
Matching Keyboard Layout
Matching Keyboard Layoutは、Small Studioのキーマップのまま、Medium Hall・Large Hallの打ち込みができるというものです。
例えば、Small Studioで打ち込んだデータを、トラックごと複製して、パッチのみ切り替えて音を重ねることができます。
⑤の方が残響があり、サウンドが豊かに聞こえますね。
Small Studioパッチの中の注目サウンド
以下、Small Studioパッチの一覧画像です。
手拍子・指パッチン以外の、注目サウンドを挙げておきます。
- Chest Hit:胸を叩く音
- Leg Slap:太ももを叩く音
- Stomp Gutar Case:ギターケースを踏む音。タンバリン・シェイカーを乗っけたサウンドも。
- Wood Platform:木の台を踏みつけている音
- Concrete:コンクリートを踏みつけている音
また、一人のClapの中でも、Fingers to Palm(指で手のひらへ)、Knuckles to Palm(拳を手のひらへ)というように、微妙にキャラ付けを変えたサウンドも収録されています。
エフェクトも充実している。
音源内には8つのエフェクトが入っています。
- STEREO:ステレオツール。狭めたり、広げたり。
- EQ:4バンドEQ。
- SATUR:サチュレーター。音質調整に超便利。
- TRANS:トランジェントシェイパー。
- COMP:コンプレッサー。
- LIMITER:リミッター。
- DELAY:ディレイ。
- REVERB:リバーブ。
おすすめエフェクト1.STEREO
特に便利だと思ったのが、STEREOです。
手拍子音源は、ステレオ調整できるものが多いですが、SMACK2の場合は、STEREOマイクの音量調整と、エフェクト上でのSTEREOで調整できます。
広げると、音量が大きく感じることもありますが、アウトプット(ゲイン)も付いているので物凄く便利。
狭められるのもいいですね!
思った通りのステレオ感を、すぐに演出できるのが便利です。
おすすめエフェクト2.SATUR
SATURもいいですね。
歪みのタイプと、キャラクターを選んだ上で効き具合を調整できます。
物凄く自然な効きで、最大にしても破綻することはありません。
Studio One用ピッチリスト配布
ピッチリストとは、ドラムマップ上でピッチごとの名前を確認できるファイルです。
以下より、Studio One用のピッチリストをダウンロードできます。
*Matching Keyboard Layoutフォルダから中ホール・大ホール用のパッチを選択することで、Small Studioと同じ配列で打ち込みができます。
- Studio Oneで、上記ピッチリストを使う方法
-
上記ファイルをダウンロード後、解凍(展開)します。
その後、Studio Oneをインストールしているフォルダに移動し、
StudioOne\Presets\User Presets\Pitch Names
に放り込みます。
Studio Oneを起動して、右にあるブラウズから、「プリセットの索引を再作成」をします。
「ピアノロール→ドラムマップ→ピッチリスト」からSmack2を選択します。
CPU負荷
CPU負荷は、エフェクトを使うと、それなりの負荷です。
動作はとても軽快です。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One5.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:512samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
【2023/4/18追記】バグではない仕様
1点、どうしても気になる部分があり、Big Fish Audioに問い合わせをした所があります。
それは、Smack2で音を鳴らしながら、DAW上でテンポを変えると、CPU負荷がかかり音がプチプチと途切れるというものです。(私の環境固有の可能性もありますが。)
Big Fish Audioによると、これはKontakt上の仕様であるということでした。他のKontakt音源ではこんなことにならないのになぁ……。
音質的には最高峰の本音源も、曲の途中でテンポが変わる楽曲では現状使えないか、オーディオ化して貼り付けるなどの工夫が必要だと思った方が良いです。
まとめ
以上が、Big Fish Audio Smack2のレビューです。
音質的には、ボディーパーカッション音源の決定版という印象ですね。
今後これ以上高音質なライブラリが出るんだろうか。というような感想を抱くレベルです。
もちろん曲によっては、El Clapoや他の方法が向く場合もあるでしょう。(特に、ポップスなどの音が密集して、抜けづらい楽曲などにおいては。)
しかし、アコースティックな楽曲の場合であれば、Smack2の独壇場というレベルの音質です。つくづく、テンポを変えると音が途切れる仕様が残念でなりません。
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