Fabfilter Pro-Rレビュー 充実プリセットで時短!馴染みの良いリバーブ
VST Effect レビュー

Fabfilter Pro-Rレビュー 充実プリセット!馴染み良い良質リバーブ

rainysongame
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Fabfilter Pro-Rは、充実のプリセットを持つ、濃密で馴染みの良いリバーブです。

Fabfilterのプラグインは、デザインが良い。高機能かつ軽い。など、業界でも評判ですが、Pro-Rも大変使いやすいVSTプラグインです。

本記事では、Pro-Rのサウンドや特徴、使い方をまとめています。

2023年11月、Pro-R2が発売となりました。

Pro-R2は、ダッキング・リバーブモデル・サチュレーターの追加など、数多くの機能が追加となり、非常に使いやすくなっています。本記事は、前作Pro-R時に書いたものですが、参考になると思います。

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Pro-Rの特徴

充実のプリセット

Fabfilter Pro-RのUIは、他のリバーブプラグインに比べると独特です。デフォルト状態から自分でリバーブ音を作ろうとすると、うまく行かない場合が多いでしょう。

しかし、Pro-Rはプリセットが大変充実しています。特に便利なのは、楽器の名前が付いたプリセットです。

Fabfilter Pro-Rプリセット選択画像
ピアノホールを選んだ例

「『ルーム・プレート・チャンバー??』どの種類がいいの?」と迷うことなく、各トラックの内容にあったプリセットが見つかりますので、初心者でも迷うことなく使えます。

時間をかけても、どうしても馴染みが悪いリバーブってありますよね。

Pro-Rは、プリセットを選んで微調整するだけ。短時間で、馴染みが良い空間ができあがります。

Pro-Rのサウンドを聴いてみよう。

次の3トラック(ピアノ・チェロ・ドラム)の楽曲では、ピアノ・チェロに次のようなプリセットを使いました。

  • ピアノ:Pro-R Piano Hall
  • チェロ:Pro-R Concert Hall LA(ストリングス用プリセットはないので、ホール系に。)

DAW付属のリバーブと比べてみましょう。

①Studio One付属のRoom Reverb
②Pro-R

①のDAW付属リバーブは、楽曲終わりの余韻にデジタルリバーブ的な嘘くささを感じます。私は若干気持ち悪さを感じますが、いかがでしょうか?

一方②Pro-Rは、馴染みが良く、とても自然な余韻になっていると感じませんか? 前半部分も音に深みがあるように思います。

Fabfilter Pro-Rピアノホール画像

緻密すぎず、トラックに適度に馴染むサウンド

リアルで美しいテールを持つと評判のLiquidSonics / Cinematic Roomsと比べてみましょう。

LiquidSonics / Cinematic Rooms画像
②Pro-R
③LiquidSonics / Cinematic Rooms

③Cinematic Roomsもかなり美しいリバーブですよね。Cinematic RoomsはFusion-IRという手法を使ったIRリバーブ。現実空間を元にした緻密なリバーブです。

③に比べた時、②Pro-R少しザラつきを覚える、粒子が少し粗いサウンドに聞こえるかと思います。(それでも、先程のDAW付属リバーブに比べると、かなり濃密。)

これがPro-Rの特徴でもあり、多くの楽曲に馴染みやすい理由です。

マニュアルにも記載されているので、ご紹介します。

IRリバーブは説得力のあるサウンドですが、柔軟性に乏しく、密度が高いため、ミックスに組み込むのが難しい場合があります。一方、アルゴリズム・リバーブの多くは、密度が十分でなかったり、人工的なサウンドであったり、技術的なオプションが多すぎてセットアップが単に難しいだけだったりします。

私たちが考える高品質なアルゴリズミック・リバーブは、自然で「リアル」なサウンドで、十分な密度を持ち、好ましくない色付けや位相の問題を起こすことなくミックスに完璧にフィットするものでなければなりません。同時に、技術的なコントロールや多すぎるオプションでユーザーを混乱させるのではなく、セットアップが簡単で、一緒に作業するのが楽しくなるようなものでなければなりません。FabFilter Pro-Rはまさにそれを目指したものです。

Pro-Rマニュアル:DeepLによる翻訳

アルゴリズムリバーブでありながら、十分な密度があり、ミックス馴染みの良いリバーブ。それがPro-Rの設計目標だったわけですね。

シンセへの馴染みは?

プリセットの中にはEDM Anthem Hallなど、シンセに使うプリセットも多数収録されています。

電子楽器系のサンプルも用意してみました。

④リバーブ不使用:ドライ
⑤Pro-Rを至るところに使用

馴染みがよく全体がまとまって聞こえるようになりましたね。

このようにPro-Rはシンセ系の馴染みも良いです。

トラックごとのサウンドメイクに使うため、私はインサートして使うことが多いです。

Pro-Rの操作説明

Fabfilter Pro-Rピアノホール画像

Pro-Rを使う時には、次のような順番で使うと、短時間で音が決まるでしょう。

  1. プリセットを選択
  2. ディケイタイムの調整
  3. EQ・各種ノブの微調整

ノブ

Fabfilter Pro-R各種ノブ
  • BRIGHTNESS:右に回すほど、明るい音に。普通の部屋・ホールは高域が吸収されやすいため、自然でリアルな音にするなら、50%より下げる方向が良い。
  • CHARACTER:0%の時、一番透明でクリアに。値を上げるほど、徐々にコーラスがかかります。
  • DISTANCE:値を上げるほど、音源から離れていく。初期反射音やテールに影響する。
  • SPACE:12種類以上のルームモデルが、シームレスに変化。真ん中の数値が、リバーブのディケイタイム。
  • DECAY RATE:SPACEのディケイタイムに対して、50~200%の掛け算で調整可能。ルームモデルを変えずに、ディケイタイムだけ変える時に使います。
  • STEREO WIDTH:0~120%でリバーブのステレオ感を調整。
  • MIX:センドの時は100%にする。

シームレスで微妙な変化ため、変化具合を聞き取るのが中々難しいかもしれません。

何度も書きますが、0から音を作るより、あくまでプリセットの微調整をする方が、Pro-Rを活かせます。

DecayRateEQ

青い線のグラフです。

Fabfilter Pro-R DecayRateEQ

DecayRateEQは、各帯域のディケイタイムを調整します。

SPACEに表示されているディケイタイムに対して、掛け算で各帯域のディケイタイムが決まります。これにより、色々な部屋・ホールなどを再現しているわけですね。

高音域だけ、ディケイタイムを伸ばしたい。なんて時に、高音域を上げればOK。

PostEQ

Fabfilter Pro-R PostEQ

生成されたリバーブ音に対してのEQです。

Pro-Q3のように、大変操作しやすいです。

  • Shift+ドラッグ:微調整
  • Alt+ドラッグ:水平・垂直に動きが制限
  • Alt+クリック:バイパス
  • Ctrl+Alt+クリック:EQの形状変化(ピーク・シェルフなど)

Pre Delay

Fabfilter Pro-R PreDelay

プリディレイタイムを調整します。DAWのテンポに対しての調整も可能。

付点や三連はありませんが、%で150%・166%などを選んでも良いですね。

CPU負荷

CPU負荷は3%前後。動きは機敏です。

Fabfilter Pro-R CPU負荷

●PCスペック

  • OS:Windows10 64bit
  • CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core] 
  • メモリ:64GB
  • DAW:Studio One5.5
  • サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
  • バッファーサイズ:512samples
  • オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4

バンドルもおすすめ

Pro-Rを買う時は、Pro-Q3、Pro-C2が一緒についてくるFabFilter Essentials Bundleもおすすめです。私自身も最初はこのバンドルを買いました。

ミックスをする上で必須のイコライザー・コンプ・リバーブ3点セットなので、DAW付属のプラグインの次の1手としては申し分ないラインナップです。

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Pro-Q3Pro-C2のレビューも行っているので、ぜひご覧ください。

まとめ

以上が、Fabfilter Pro-Rのレビューです。

私自身、リバーブの王者Liquid Sonicsのリバーブを集めてもなお、Pro-Rの出番があります。馴染みが良く、音が決まりやすいため、つい手が伸びますね。

DAW付属リバーブから次のリバーブを探す方には、Fabfilter Pro-Rは、特におすすめですよ。

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プロフィール
渡部絢也
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早15年。東北秋田で田舎生活しながら、音楽にいそしむ。ミュージカル等の舞台音楽、CM音楽・ファミリー向け楽曲を手掛ける。

歌詞が伝わる歌を作るのが得意。

・音楽制作依頼(舞台音楽・CM楽曲等)
・ブログ運営(音楽理論&プラグイン解説)
・教材販売
・ファミリー向けの作品づくり
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