In Session Audio Deep Pool レビュー 仄暗い水底から聞こえるようなドラム音源
In Session Audio社の2024年8月の新製品Deep Poolは、深いプールに沈められたような怪しげで仄暗いサウンドが特徴のドラム音源です。
- 3レーンのループ・24スロットのワンショット
- 雰囲気たっぷりなサウンドを、指先一つで演奏可能。
- すぐに使えるドラムループが、Verse・Chorus・Bridge等で分けられ収録。
振りモノ系の傑作音源Shimmer Shake Strike2を制作したIn Session Audioの期待の新作に迫っていきましょう!
Deep Poolのサウンドを聴く
ダウンテンポなサンプル楽曲を作ってみました。
ドラム・SEは、すべてDeep Poolです。
冒頭のSEから、かなり良い感じじゃないですか?
ちなみに、Deep Pool自体には、外部エフェクトは一切使っていません。このクオリティのサウンドが、何もせずともMix-Readyな状態で出てきます。(*マスターで、多少バスコンプ・リミッターはかかっていますが。)
面白いのは、SEのワンショット以外のすべてがループ素材で、打ち込みが楽すぎるという所。↓の画像が打ち込み内容です。
とても簡素ですよね!
Deep Poolの打ち込み実時間は、5分ほどだと思います。
こういった類のサウンドのドラムを作るには、音作りだけで相当な時間を費やすと思いますが、音作りの時間・パターンを構築する時間も、ほぼ0で打ち込みできるのがDeep Poolの強みです。
Deep Poolの収録内容
キー配置
Deep Poolは、様々な演奏方法が可能です。
- 【C0~F#0】FX:押している間だけエフェクトON
- 【C1~B1】Stack:Loop1~3までを一斉に鳴らす。
- 【C2~B2】Loop1:主にLowパートのループ
- 【C3~B3】Loop2:主にMidパートのループ
- 【C4~B4】Loop3:主にTopパートのループ
- 【C5~B6】Oneshot:SE・単体ドラムの演奏
プリセット
プリセットは、3つに分かれています。
- Full Mixes
- Minimal Mixers:Full Mixesより、音数が少ないプリセット
- Selections:スネア・キックのみなど、パートごとに分かれたプリセット
各プリセットの横にある数字は、想定したBPMを表しています。
ただし、おそらくループはMIDIで制御されているため、BPMを変化させても、オーディオの劣化はありません。
ループ内容
3レーンのループで制御されています。
大変便利なのが、セクションごとのループが収録されている所。
- C:INTRO
- C#:INTRO FILL
- D:VERSE 1
- D#:VERSE FILL
- E:VERSE 2
- F:CHORUS 1
- F#:CHORUS 1 FILL
- G:CHORUS 2
- G#:CHORUS 2 FILL
- A:BRIDGE
- A#:BRIDGE FILL
- B:END
これにより、曲のセクションに合わせて、適切なループを即座に選べます。
ループは3レーンあります。
各レーンは、Low・Mid・Topに分かれており、Stack(C1~B1)を押すと、Loop1~3までが一斉に鳴り、Full Mixのループが流れます。
「低音パートを抜いた、Loop2・3だけで演奏する」と言ったことも、簡単できるわけですね。
画面中央では、キーごとにボリューム・パン・EQ・センド量などを調節できます。
ワンショット
24スロットのワンショットは、収録内容も、クオリティも素晴らしいです。
- CYMBALS:シンバル類
- MOTION:シュワーン的な動きのあるサウンド
- PITCHED MOODS:音程のあるSE
- REVERSES:徐々に大きくなるSE
- 各プリセット内の音色:キック・スネア・ハイハットほか
PITCHED MOODSの音程のあるSEは、画面内にあるTUNEで調整すれば、楽曲に合わせることができます。
Deep Poolは、ループ主体の音源ではあるものの、Oneshotにキック・スネアなどが最初から割り当てられているので、通常のドラム音源のようにも使用できます。
FX・音色調整
画面下部には、3つのタブがあります。
GLOBALタブでは、ベロシティに応じた音量・フィルターの調整、EQ・コンプなどを調整します。
PLAYABLEタブでは、キーを押した時のFXの挙動を調整できます。
モジュレーションホイールで、エフェクト量を調整することも可能です。
SENDタブは、DELAY・REVERB1&2の調整です。
CPU負荷
同時発音に応じて、CPU2~9%を推移しました。軽いです。
- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、In Session Audio Deep Poolのレビューです。
クオリティの高いサウンドを手軽に打ち込めるというのは、同社のShimmer Shake Strike2やTaiko Creatorでも継承されてきた部分です。
セクションごとにパターンが収録されているので、相当な時短が図れるでしょう。
ダウンテンポの楽曲を作る予定のある方にはもちろんですが、劇伴でも大活躍しそうです。サウンドにグッと来た方には、おすすめできる音源です。