緊張はほぐさない! 緊張との新しい付き合い方
この記事は、
- 緊張は良くないものだと思っている方
- ライブやプレゼン、試合など、緊張する機会の多い方
- 人前で発言する際に、必要以上に緊張してしまう方
に向けて、書きました。
私は作編曲家・シンガーソングライターとして活動してきました。音楽で生活するようになってから、数年間年間50本ほどのライブに出演していた時期があります。緊張と向き合う機会が多かったため、色々な書籍を読みながら、実践を重ねてきました。
そして、緊張はほぐすのではなく活かすのが一番である。という考えに至りました。
この記事を読んで、緊張してもいいんだ!と思ってもらえたら幸いです。
緊張してはいけない、と考えていませんか?
緊張すると一般的には下記のような症状が表れます。
- 心臓がドキドキする
- やたらと手汗が出る
- 水が喉を通らなくなる
- 身体が固まる
また、「頭が真っ白になったらどうしよう……」などと考えてしまい、いざ本番を迎えると、実際にそのようになってしまうことすらあります。
あなたは、緊張すること自体を悪いことだと思っていませんか? そのため、緊張したら自分自身を責めたり、緊張しないための行動をします。(例えば、手のひらに「人」という字を書いて飲んだり、お客さんをかぼちゃと思い込もうとしたり。)
でも、そもそも緊張すること自体は悪いことではないのです。むしろ、優れたパフォーマンスをするためには、緊張は必要不可欠といっても過言ではありません。
緊張にもいい面がある。
緊張して心臓がドキドキしている時には、何が起こっているのでしょうか?
実は、心臓がいつもより多くの血液を送ることで、身体がより動くように、頭がどんどん回るようになっているのです。それはつまり、緊張があなた自身をサポートしてくれているということ。これを、ストレスに対するチャレンジ反応と言います。
ですが、緊張を悪いことだと考えている人は、脅威反応という反応が起こる場合が多いのです。脅威反応は本来、戦いなどで物理的な危害を予期している場合に起こります。出血を最小限に抑えるため、血管が収縮し、身体が縮こまります。
つまり、緊張で固まったり、頭が真っ白になっている方は、身の危険がないにも関わらず、脅威反応をしてしまっているのです。もしも、脅威反応ではなく、チャレンジ反応を自分の意思で選べたら、最高のパフォーマンスが発揮できそうじゃないですか?
緊張を意図的にチャレンジ反応にする方法
考え方や口癖を変える。
心臓がドキドキしてきたら、このおかげで今日はうまくやれそうだ。と考えましょう。
「どんどん頭に血が巡って頭の回転が早くなってきた。身体も動かしやすいし、最高のパフォーマンスができそうだ! 心臓よ! ありがとぉぉおおっ!」
くらいのことを、冗談めかして言ってみて下さい。本当にそうなりますから。
- ワクワクしてきた!
- これなら相手を喜ばせられそう!
など、自分を自分なりに乗せていきましょう。
体勢や表情を変える。
オードリーの春日さんがやるような胸を開くポーズのことをハイパワーポーズと言います。ハイパワーポーズをたった2分間するだけでも、コルチゾールというストレスホルモンの分泌量が減少することが分かっています。実際に今やってみて下さい。力強く、自信に満ちた気持ちになるのが分かると思います。
また、ハイパワーポーズは胸を開くことで呼吸が深くなります。心臓の動きと肺の働きをリンクさせ、最高のパフォーマンスに繋げましょう。
私的には、本番前にハイパワーポーズをする時は、同時に笑顔を作るようにしています。笑顔は幸福ホルモンであるセロトニンを分泌します。そしてそれは作り笑顔でも構いません。
笑うふりをしていたら、本当に楽しい気持ちになってくるものです。自然と最高のパフォーマンスができそうな気になってきますよ。
最高のパフォーマンスをする肩書きを作る
例えばあなたがダンサーなら、「身体キレキレスーパーダンサー」(これだとダサ味が強いけど)のように、あなたが納得する肩書きを事前に考えておき、本番前にその肩書きを何度も口に出します。
この方法は、「ヤバい集中力(鈴木祐)」や「非常識な成功法則(神田昌典)」にも掲載されている方法で、緊張を活かすのにはもちろん、物事に取り組む際のモチベーションを高くする方法としても有効です。
緊張と向き合ってきて思うこと
「自分のため」では、悪い緊張を招き寄せる。
私がライブ出演を重ねてきて思うのは、自分をよく見せよう。自分の成果を見せよう。と考えるときほど緊張してしまい、真っ白になりやらかしてしまうことが多い。ということです。
このライブを通して、お客さんを喜ばせたい。笑顔にしたい。そのためにはどうしたらいいだろうか。と考えたときのほうが、空回りすることは少ないです。
本番で一番重要なのは、自分をよく見せることなのでしょうか? 本来の目的を考えてみましょう。
根拠のないポジティブ思考はやめよう。
運や神頼み的に「絶対に成功する!」と、根拠のないポジティブ思考をする時も、悪い緊張を招き寄せることが多いです。
それよりも、「この1ヶ月間このライブのために練習を重ねてきたのだから、成功するはずだ。」など、実際にポジティブになれる理由を見出して自分を励ましましょう。
また、過度のポジティブ思考より、ライブやプレゼンにおいては、ネガティブ思考を活用することも一つです。何か起こるとしたら何だろうか?と、トラブルの予想を立てて、事前に対処法を考えておく方が、良い緊張と結果を招きます。
まとめ
緊張は自分をサポートするために起こっている。
この記事で一番大事なのは、この事実を覚えてもらうことです。緊張することが楽しみになったら幸いです。
この記事を書いたのは
渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター・歌のお兄さん
アーティスト活動のほか、作編曲家として企業のテレビCMのBGM、テーマソングなどを制作。
また、ユニット「ウタトエスタジオ」として、全国の幼稚園・保育園で子ども向けのライブ活動を行う。