【無料】Techivation T-Saturator レビュー 高機能なサチュレーターをぜひ。
2024年5月、Techivationから無料のサチュレータープラグインT-Saturatorの配布が始まりました。
- 出だしの歪み量を調整できるSmashノブ
- 4種の歪みとキャラクター変更できるCrunch
- 帯域にだけ歪み付与&音量調整で、トーンを決定づけられる。
とても使いやすく、他社製品とはまた一味違う使い心地なので、導入はかなりおすすめできます。サウンドを聴きながら、T-Saturatorに迫っていきましょう!
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●新製品レビュー:M-Clarity2
T-Saturatorのサウンドを聴く。
迫力を増す使い方:エレキ
エレキギターにだけ使っています。
②を聞くと、エレキの密度が増して、迫力がアップしているのが分かると思います。エレキのブラッシュアップに適しているのが分かりますね。
T-Saturatorの面白いのが、Make Upです。
T-SaturatorのMake Upは、Frequency Rangeで指定した範囲のゲイン調整なのです。だから、上記画像で言えば、「433Hz以上の帯域に歪みを追加した上で、3.8dB上げている」ということです。
歪みを追加した上で、指定帯域のゲインを調整するので、トラックのトーンを調整するのに適したプラグインと言えますね。
耳に痛い音をなだめる・音源同士を混ぜやすくする
次は、カホン・バンジョーのカントリーな音源です。
カホン・バンジョーともにT-Saturatorをかけてみました。
③は、音源そのままの音で、それぞれキレがあるサウンドではあるのですが、少し耳に痛く、馴染みもよくありません。
④では、それぞれの音が少し田舎っぽいサウンドに変化し、音の方向性が似たことでミックスに一体感が出たのが分かると思います。
T-Saturatorは音量依存ではなく、音が小さくても大きくても倍音を付加できます。
ここでのポイントは、T-SaturatorのSmashノブ。
Smashノブが0の時は、音の出だしとそれ以外に同じ量の倍音を付加します。Smashノブが+の値の時は、より音の出だしに強く倍音が発生し、-の値の時は、音の出だしに発生する倍音が少なくなります。
今回は、バンジョー・カホンともに、Smashノブの値を-方向に動かしました。そうすることで、音の出だしに付加される倍音は、通常部分より少なくなり、音の出だしは歪まず自然のまま。後に続く音がふくよかになる。という変化になっています。
*追記 2024/5/8
上記の説明において、初稿で「Smashノブをー方向にすると、相対的に音の出だしが柔らかい音になる……」と説明していましたが、もう少し追記します。
例えば、一番歪むTubeにした状態でSmashを+にしたときの波形の形を見ると、音の出だしは強く抑制されています。
一方、-方向に動かすと、音の出だしの影響は少なくなり、ぴょこっと立ちます。
波形だけを見ると、-方向にした方が、アタック感が強く出そうです。しかし実際には、Smashが+方向の方がアタック感が強く聞こえ、-方向の方が柔らかく聞こえます。
しかし、これは、歪みの種類がTubeの場合の話です。
歪みの種類やCrunchを調整すると、Smashを下げたほうがアタック感が残る場合、逆にアタック感を感じる場合があり、一概に「Smashノブをー方向にすると、相対的に音の出だしが柔らかい音になる……」とは言えないことが分かりました。
Smashノブの決め方は、音の出だしをより歪ませたいかどうかと、最終的には耳で決めれば良いでしょう。
Crunchノブ
もう一つ、Smashノブと対の位置にあるCrunchノブも説明しておきます。
Crunchノブは、歪みのキャラクター付けをするものです。
例えば、Fabfilter Saturn2などでは、同じTapeでもClean Tape・Warm Tape・Old Tapeなど、種類を選びます。
T-Saturatorの場合は、Tapeを選んでCrunchノブの値でキャラクターを決定します。
+方向にすると、よりアグレッシブになります。低い値では、「より穏やかで繊細なサウンドです。トラックを劇的に変化させることなく、ラウドネスを太くしたり増やしたりするのに最適です。」(DeepL翻訳)とのこと。
T-Saturatorの特徴
以上で説明してきたことをまとめます。
帯域を指定して歪み付与でき、帯域のゲインを調整できるMake Upが便利です。これでトラックのトーンカラーや歪ませ具合をT-Saturatorで操作できるわけですね。
また、音の出だしに対する歪み量を調整できるSmashも、とても便利。色々な可能性があります。
歪みは、4種類から選択でき、それぞれCrunchでキャラクターを変更できます。
- Tube:3極管(最もアグレッシブな歪み)
- Tape:テープ
- Clip:ソフトクリップ&高いCrunchにするとダイナミックレンジを広げるエキスパンダーに。
- Fold:波形の折りたたみ・デジタルな歪み
無料とは思えないほど高機能な仕様ですね。
CPU負荷
T-SaturatorのCPU付加は、それなりに高いです。
- Standard:5~6%
- Good:7~8%
- Great:10~12%
- Ultra:22~25%
作曲中の使用であれば、Satndard・Goodで精一杯かと思います。
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Techivationの無料配布プラグインT-Saturatorのレビューです。
高機能ですが、非常に使いやすいサチュレーターとなっており、販売しても良いくらいの出来だと感じます。
T-Saturatorに限らず、Techivationのプラグインは出来ることを絞っています。そのため、より目標のサウンドに早く辿り着けるようになっており、今回のサンプル音源も非常に短時間で操作できました。
ぜひ、お試しください。
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