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SNSなどでもTechivation社のプラグインは、良い評判をよく目にします。
Techivation社のプラグインは、見た目が削ぎ落とされた上に、色も統一されています。また、名前が似通っているため、製品一覧を把握するのも、中々困難です。
というわけで、本記事では全プラグインの概要・レビューをお届けします。
>全製品一覧を見る
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Techivation社プラグイン概要
リリース順
リリース年月 | プラグイン名 | プラグインジャンル | 私的おすすめ度 |
---|---|---|---|
2021年10月 | T-De-Esser Pro | ディエッサー | ★★★ |
2022年4月 | T-Compressor | コンプレッサー | ★ |
2022年5月 | T-Clarity | 低中域特化のマルチバンドコンプ *コンプではないそうだが、そう見える。 | |
2022年6月 | T-Exciter | 高音域特化のエキサイター | ★★★ |
2022年8月 | T-Warmer | 低・中音域特化のエキサイター | ★ |
2022年9月 | T-Puncher | トランジェントシェイパー | ★★ |
2022年10月 | T-Imager | ステレオイメージャー | |
2023年3月 | M-Loudener | ダイナミックレンジエンハンサー *サチュレーターとみなして良い気する。 | ★★ |
2023年5月 | M-Clarity | 低域専用レゾナンスサプレッサー | ★★★ |
2023年8月 | M-De-Esser | ディエッサー 高域のレゾナンスサプレッサー | ★★★ |
2022年のブラックフライデー辺りから、Techivation社の名前を、DTM界隈でちらほら見かけるようになってきました。はじめに話題になったのは、T-Compressorの無料配布だったと思われます。
2023年5月に発売されたM-Clarityの評判が良いのを見かけ、私も気になっていた所、Techivationからメールで製品提供の申し入れがあり、本記事作成のきっかけとなりました。
Tシリーズ・Mシリーズの違い
Techivation社のプラグインには、Tシリーズ・Mシリーズがあります。
両者の違いは何か、Techivation社の担当者に伺ってみました。
Tシリーズでは、プラグインが自然で音楽的なサウンドを維持しながら動作することに重点を置いていました。
Mシリーズでは、オーディオDSPアルゴリズムとテクノロジーをレベルアップし、自然で音楽的な結果を提供するだけでなく、プラグインの精度と透明性を大幅に向上させ、より良いユーザー体験と少ないCPU使用率を実現しています。
Techivation社担当者のメールをDeepL訳
Tシリーズで得た知見を元に、より進化させたのがMシリーズと言えそうです。
中でも、同じ名前が付いた、T-Clarity・M-Clarityがあります。
どちらも中音域をすっきりさせるプラグインではあるものの、T-ClarityがInputレベルを元にスレッショルドで判断するのに対して、M-Clarityは、Inputレベルに依存せずに使うことができるよう進化しています。
T-Clarityは、帯域を絞ったマルチバンドコンプ的な挙動に見えるのに対して、M-Clarityは、Soothe2のようなレゾナンスサプレッサーの挙動に見えます。後述しますが、音も洗練されたような変化を感じます。
Mシリーズ
M-De-Esser:高域のクリーニングはおまかせ
- ジャンル:ディエッサー・レゾナンスサプレッサー(飛び出る周波数を感知して抑制する。)
- 製品概要:高域のクリーニングはおまかせ
- 金 額:
$129$64.5(10/5まで50%オフクーポン:MCD50) - リリース:2023年8月
- リ ン ク :M-De-Esser 公式HP
その他 :CPU負荷/レイテンシー(2%/42.7ms)
*私の環境は、本記事末尾に記載
Techivation社が「完璧なディエッサー探しに終止符を打つ」と言う言葉とともに、発売したプラグインです。歯擦音を処理するだけでなく、耳に痛い高域楽器や2MIXを耳ざわり良くする使い方も可能です。
詳しいレビューは、下記の記事をご覧ください。

歯擦音:サウンド例
ディエッサーの効きを確かめるための、当サイトのギャグ曲。
ディエッサーに捧ぐ歌
酢飯好きな彼女 寿司屋勤め素敵さ
〆たサバとカサゴ 蕎麦をすすって
特に0:05の「〆た」の「し」の変化が分かりやすいと思います。②では、自然に処理できていますよね。
ピーキーな高域を柔らかくする。
ここでは、ピーキーな高域を処理できるSoothe2と比べてみます。
- M-De-Esser・Soothe2は、5箇所に使用。
- 挿したのは、笛・グロッケン・シロフォン・エッグシェイカー・マスター。
- Soothe2はオーバーサンプリング4倍。CPU負荷約16%。
- M-De-Esserは、オーバーサンプリング機能がありませんが、Gearspace上での説明で「M-Clarityにオーバーサンプリング(OS)が搭載されていないのは、スペクトルシェイピングは、OSの有無で音に変化がないため」と、同様の理由と思われます。CPU負荷は2%ほど。
それでは聞いてみましょう。
聴き比べると、Soothe2の音源では不要なアーティファクト(エフェクト処理によるノイズ)が発生し、ザラザラと聞こえるように思います。ただし、Soothe2は操作が難しいプラグインであるため、私の設定に全く問題がないと言い切ることは出来ません。
ただ、驚くべきはM-De-Esserです。Techivationのサイトを見ていると、M-De-Esserに限らず、アナログ的なサウンド変化だという文言をあちこちで見かけます。その意味が腑に落ちたように思いました。
Soothe2に比べると、M-De-Esserはサウンドがなめらかなのがお分かり頂けるかと思います。処理しているのに、あたかも処理していないように聞こえると言いますか……。
そして、操作がSoothe2に比べると、飛躍的に簡単です。
上記は私の感想となりますので、実際のサウンドの優劣については、読者の皆様に任せたいと思います。ぜひデモって、現在ご自身で使っている他社製のディエッサーと比べてみて下さい。
M-De-Esserの操作

詳しい使い方は、M-De-Esserの記事をどうぞ。
M-De-Esserまとめ
高域のクリーニングの決定版が、安価な金額で発売されてしまいました。
私は「Soothe2以上のプラグインは出ないのでは?」と思っていましたが、今回改めて比較して、音質にここまで差が出るものかと、驚きを隠せません。
M-De-Esserの自然な音質の変化を、ぜひデモってご体感下さい。
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M-Clarity:中低音域をスッキリさせるレゾナンスサプレッサー
- ジャンル:レゾナンスサプレッサー(飛び出る周波数を感知して抑制する。)
- 製品概要:中・低音域を簡単にスッキリさせられる
- 金 額:
$129$64.5(10/5まで50%オフクーポン:MCD50) - リリース:2023年5月
- リ ン ク :M-Clarity 公式HP
その他 :CPU負荷/レイテンシー(2%/42.7ms)
*私の環境は、本記事末尾に記載
早速、音を聴いていきましょう。
M-Clarityのサウンド
M-Clarityをピアノに使った例
ピアノサンプル曲は、わざと中低音域が濁りやすいような音域で打ち込んでみました。
①にある中低音域のもたつき感が、M-Clarityを使った②ではスッキリなくなっているのが分かります。中低音域がカットされるということは相対的に高音域が残るので、クリアな印象にも感じますね。
M-Clarityをアコギに使った例
あえてマイクの近くで集音して、RECしました。近接効果(マイクに近くなると低音が増幅されて集音される効果)により、素材はもこもこして聞こえます。
これは、すごい。
④M-Clarityを使った音源は、低音のもこもこした感じがスッキリしつつも、低音弦の音の張りは失われていません。これをEQのローシェルフなどで対応すると、低音弦の活き活きとした感じが無くなってしまいます。
以上のように、簡単に音をスッキリできます。2Mixにも使えるとのこと。
LR/MS選択
Ver.1.1.0で追加となった、LR/MS処理についても見ていきます。
画面下部に、LR/MS選択が追加されました。
上記画像のように、Sideへの効きを全開にした状態で、シンセベース音に対して使ってみます。
⑤に比べると、⑥は中低域の広がりが抑制されたような印象に感じるのではないかと思います。
このLR/MS選択を使えば、例えばステレオのピアノ音源の、左側の低域のみスッキリさせる。といった処理も可能ですね。
M-Clarityの使い方
詳細については、掘り下げた記事を御覧ください。

M-Clarityまとめ
M-Clarityは、最短最速で低・中音域をすっきりさせられます。
そして、興味深いのが、高域が立って聞こえるようになることです。これは記事の方でも紹介しましたが、同じジャンルのプラグインであるSoothe2と比較しても、明らかに高域にキラメキ(*いやらしくは聞こえない上品な変化)が生まれるのが分かります。
*もちろんこの高域の変化を望まない場合もあるかもしれませんが。
日本のDTM界隈での評判が高まるのも分かるような気がしますね。
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M-Loudener:知覚上のラウドネスを高めるプラグイン
- ジャンル:ダイナミックレンジエンハンサー
(サチュレーターとみなしてもOKかも。) - 製品概要:知覚上のラウドネスを高めるプラグイン
- 金 額:$90
- リリース:2023年3月
- リ ン ク :M-Loudener 公式HP
- その他 :CPU負荷/レイテンシー(1・2・6・13%/1.5ms)OS:1~8倍選択
*私の環境は、本記事末尾に記載
名前から想像すると、マキシマイザーやサチュレーター・クリッパー・ウェーブシェイパーなどと捉えそうな所ですが、それらの色々な要素が内部で組み合わさっているプラグインです。
簡単に言うと、同じラウドネスに設定した時に、より音が大きく聞こえさせることができます。
内部処理的にはサチュレーターだけではないにしても、シンプルに音の質感を変えるサチュレーターと捉えたほうが、手が伸びる機会が増えるようにも思います。
M-Loudenerのサウンド
ドラムバスに対して
Match RMSで、数値上は同じ大きさに揃えているわけですが、M-Loudenerを使った音源は音の張りや迫力を感じる仕上がりになっていますね。
2Mixに対して
こちらは知覚上のラウドネスを高める効果を検証するために、少し大げさにかけています。そのため少しザラつきを感じる仕上がりに感じるかもしれません。
この比較を聞けば、ラウドネスは同じでも、M-Loudenerを使用している音源の方が音が近づいて聞こえ、より大きく聞こえるのが分かって頂けるかと思います。
前後のコンプ・EQ・リミッターの設定を含め、総合的に仕上げていく必要がありますが、ほどほどの使用をすれば、M-Loudenerを使って、知覚上のラウドネスを増やすことができそうですね。
M-Loudenerの操作方法

実際の使い方に関しては、別途書いた記事で、かなり細かく検証しています。

M-Loudenerまとめ
私自身、既に仕事でもM-Loudenerを取り入れていますが、サチュレーター的に使うのに適していると思います。
Sound Effectのつまみは僅かでも効果があり、制作物のマスター段に使ったものでは、20%程度でも音のまとまり・音が前に出てくる効果を加えることができました。
マスタリングで使う場合は、リミッターの前段に使います。が、前段のチェーンですでに倍音を加えるプラグインを挿している場合などは、豊満に感じすぎる場合もあるかもしれません。(目を閉じて、バイパスボタンを数クリックして、ブラインドテストをするの大事。)
ご自身の普段のチェーンの中で活きるかどうか、ぜひデモって頂きたく思います。
>M-Loudenerをデモる
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Tシリーズ
T-Imager:チルトEQ搭載の癖強ステレオイメージャー
- ジャンル:ステレオイメージャー
- 製品概要:チルトEQ搭載の癖強ステレオイメージャー
- 金 額:$49
- リリース:2022年10月
- リ ン ク :T-Imager公式HPへ
その他 :CPU負荷/レイテンシー(2%/0ms *OSを変えてもCPU負荷に変化なし)
OS:1~16倍選択 *私の環境は、本記事末尾に記載
T-Imagerのサウンド
サンプル曲は3トラックで、それぞれのトラックに使いました。

Pluck・Bassは、どちらもSideのEQでブーストしています。
T-ImagerのEQは、400Hzあたりを軸としたチルトEQですが、boostボタンを押すと、チルトEQではなく、スマイリーカーブとなります。
そのため、今回のサンプル曲でも、高域のシンセに広がりが出ているように聞こえると思います。逆に、Drumについては、真ん中に寄る設定にしています。
②の音源は「効果がある……のか?」くらいのかかり具合にしていますが、これ以上かけると、滲んだ音になるので、私はほどほどが好みです。(T-Imagerに限らず、ステレオイメージャーを使う時はいつも。)
T-Imagerの使い方
真ん中のノブは、Mid/Sideの比率を変えるものです。右に回すと完全にSideだけの音に。左に回すとMidだけの音(つまりモノラル)になります。
右に回すと、その分モノラルにした時の音が小さくなるので、2Mixに使う場合は、特に気をつける必要があります。(T-Imagerに限らず、ステレオイメージャーを使う時全般の注意ですね。)
Filterは、Mid/Sideのハイパスフィルター(ローカット)で、10~300Hzまで設定ができます。
現在、少しバグがあるようです。私が見つけたのは2つ。
- 起動直後、ゲインが6dBくらい上がる。
- Mid/SideのFilterが10Hzになっている時、低域の位相・ゲイン量がおかしい。
①については、中央のノブ(Balance)を少しでも動かすと解消されます。
②については、Mid/SideどちらのFilterも11Hz以上に設定すると解消できます。
問い合わせた所、Techivatio社もこのバグを認識していたので、いずれは修正が入るものと思われます。現時点で本プラグインを使う際には、特に②について、11Hz以上への設定をお忘れなく。
T-Imagerまとめ
私は、ステレオイメージャーをほとんど使いませんので、あくまで私見ですが、もし今後私がこのプラグインを使うとすれば、シンセ系のサウンドを広げたい時に、トラック単位で使うと思います。
またピアノなど、Mid方向に動かして、Widthを狭めような用途でも使うことはできそうですね。
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T-Puncher:周波数指定できるトランジェントシェイパー
- ジャンル:トランジェントシェイパー
- 製品概要:周波数指定して、音の立ち上がりをコントロール!
- 金 額:$79
- リリース:2022年9月
- リ ン ク :T-Puncher 公式HP(8/5まで30%オフクーポン:SPECIAL30)
その他 :CPU負荷/レイテンシー(7%/1.3ms) OS:4倍固定
*私の環境は、本記事末尾に記載
多機能で優秀なトランジェントシェイパーです。
他のトランジェントシェイパーと違うのは、サスティン部分に対するアプローチができず、逆に音の立ち上がりに対しての処理に特化している所です。
影響を与える時間の長さ・帯域の指定・サチュレーションの設定ができます。操作が楽で、音にも満足しています。若干CPU負荷が高いのが難点でしょうか。
T-Puncherのサウンドについて
わざと、ほぼアタック感を感じないキックの素材を使っています。
T-Puncherを使うと、どういった変化になるでしょうか。

設定で、かなりサウンドを変えられるのが分かると思います。
帯域と立ち上がりの時間を操作できるからこそ、思い通りのサウンドを簡単に作ることができます。
T-Puncherの使い方
スッキリとした画面ですが、とても多機能です。
Frequency Range Controlで、効果を与える周波数を指定できます。
Punchinessは、+の値だと音の立ち上がりをブーストして、-の値だと減らします。Soft/Hardで、Softで繊細な仕上がりに。Hardでより過激に。
Attackは、Punchinessで影響を与える変化をどれだけの長さにするか決定するものです。このノブがすごく良いですね。
Smoothは、指定している周波数レンジに対して倍音を加える機能で、音の立ち上がりを少し丸くすることができます。
Soft Clipは、過激な設定にした時に、音を音楽的に歪ませて、クリップさせないようにする機能です。(Inputを上げると、強制的に歪ませられます。)
T-Puncherまとめ
劇的な変化を高音質で実現できる素晴らしいトランジェントシェイパーだと思いました。
帯域指定して操作できるプラグインは、Sonnox Envolutionがあり、こちらはサスティンも調整できるとのこと。ただし、T-Puncherの3倍の値段です。(私の環境固有の問題ですが、Sonnox製品は認証問題があり導入しないことにしています。)
というわけで、帯域指定して音量&時間操作できるトランジェントシェイパーは、今のところ私にはT-Puncherしかありません。
プリセットを見ると、キックのほか、ベース・ギター・ハイハット・マスター・スネア・ボーカルが想定されているようです。

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T-Warmer:低~中音域に倍音を追加するエキサイター
- ジャンル:エキサイター(帯域を絞って倍音を発生させる)
- 製品概要:低・中音域特化のエキサイター
- 金 額:$39
- リリース:2022年8月
- リ ン ク :T-Warmer 公式HP (8/5まで30%オフクーポン:SPECIAL30)
その他 :CPU負荷/レイテンシー(5%/1.3ms) OS:8倍固定
*私の環境は、本記事末尾に記載
どしっとしたサウンドに変えられます。重心を落とすテーププラグインの代わりに使ったり、併用して低域に厚みを生むことができます。
T-Warmerのサウンド
ドラムバストラックでサウンドの変化を聴いてみましょう。

どちらも重心が落ちて、どっしりしたサウンドになっています。
ちなみに、設定Bはプラグインを立ち上げた直後のプリセットのままの設定です。良いサウンドの変化ですね。

プリセットを見ると、ベース・ドラム・ギター・ピアノ・シンセ・ボーカルと、トラック単位のミックスに使うことを想定しているようですね。重心を下げるのであれば、どんなトラックでも向くと思います。
T-Warmerの使い方
4つのモードから選ぶことができますが、正直文章を読んでもピンと来ません。
マニュアルのDeepL翻訳
- Smooth: より繊細なハーモニックサチュレーションをサウンドに適用します。
- Phat: 音楽的なハーモニックサチュレーションで音をきれいに埋め、厚みのあるファットなサウンドにします!
- Warm: Phat と同様に、このモードも素早く厚みのあるサウンドにするのに役立ちますが、よりウォームなサウンドにもなります!
- Hard:ミックスの中で柔らかい音の楽器からユニークな攻撃的な音を作り出すのに最適です。
ね。
読んでると、私は混乱して来ます。ハハ……。
そのため、T-Warmerのモード使い分けとしては、適当にモードを切り替えて、Frequency(周波数帯域を操作)をいじりながら、なんとなく良い音を探す。というのが良いと思います。
倍音自体は、どのモードでも3・5・7~と、奇数次倍音が出ます。

モードを切り替えると、この奇数次倍音の配分が変わって、音が変化するイメージです。
上記図を見ると、Frequencyで設定するよりも、高い値まで倍音が出ているのが分かりますね。(83Hzに設定しているが、実際には1,000Hzくらいまで倍音が出ている。)
T-Warmerまとめ
どっしりさせたい時に使う。と用途が明確なのが良いですね。
「どっしりさせたくても、テーププラグインでは必要な量ほど届かない。歪んでしまう。」という場面で、T-Warmerですんなり行く場面がありました。
>T-Warmerの金額を確認する
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T-Exciter:高域に広がり・倍音を生むエキサイター

- ジャンル:エキサイター(帯域を絞って倍音を発生させる)
- 製品概要:高域に広がり・倍音を生むエキサイター
- 金 額:$39
- リリース:2022年6月
- リ ン ク :T-Exicter公式
その他 :CPU負荷/レイテンシー(5%/1.3ms) OS:8倍固定
*私の環境は、本記事末尾に記載
T-Warmerが低・中音域特化のエキサイターなら、T-Exciterは、高域特化のエキサイターです。
T-Exciterは、左右の信号に違いを出すモジュレーションをかけられるので、広がりのあるサウンドを作り出せます。

挿すだけで、「あ、良いなこれ。」と思えるエキサイターだと思います。
T-Exciterのサウンドを聞く
シンセのアルペジオにかけてみました。

T-Exciterは、モードの名前がサウンドに直結しており、すごく分かりやすい変化をしていますね。どれも使い道がありそうなサウンドの変化で、私的には大変気に入っています。
T-Exciterの使い方
モードについては、名前通りのサウンドの変化をしてくれます。
倍音の変化は次の通り。

これに加えて、各モードでEQ特性も変化しています。

流石に覚えきれませんね。
そのため、名前を元になんとなく選んで、良いサウンドになったら、それでOK!といったプラグインです。
プリセットは、ブラス・ドラム・ギター・ピアノ・ストリングス・シンセ・ボーカルなど、トラック単位の使用を想定しているようです。
T-Exciterまとめ
何と言っても、微妙な広がりが出るWidthツマミが素晴らしいです。わざとらしくなく、上品なサウンド変化をしてくれます。
モード切り替えによる4つのサウンドの変化もとても好みです。
私は、多用していくことになると思います。
>T-Exciterの金額を確認する (8/5まで30%オフクーポン:SPECIAL30)
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T-Clarity:スレッショルド依存で低中域をすっきり

- ジャンル:低中域特化のマルチバンドコンプ
- 製品概要:スレッショルド依存で低中域をすっきり
- 金 額:$29
- リリース:2022年5月
- リ ン ク :T-Clarity 公式HP (8/5まで30%オフクーポン:SPECIAL30)
その他 :CPU負荷/レイテンシー(0・2・3・7・11%/0ms *OSでCPU使用率変動)
OS:1~16倍選択 *私の環境は、本記事末尾に記載
本記事の上部にも記載していますが、T-Clarityは初期バージョンで、現在は0から作り直したM-Clarityも販売されています。
T-Clarityはスレッショルド依存なので、入力信号の大きさを元にカット量を判断します。
T-Clarityのサウンド
ここは、後継のM-Clarityとも比較していきたいと思います。
T-Clarityは、周波数帯域を絞ってリダクションをかける、マルチバンドコンプのように聞こえます。
M-Clarityの進化具合がすごすぎるのが、比較するとよく分かると思います。
T-Clarityの使い方
今となっては、後継のM-Clarityを使うと思いますが……。
真ん中のProcessingが、スレッショルド。
Intensityがレシオ。Frequency Rangeが帯域指定範囲の変更。
Sharpnessは、圧縮している音とそうでない音の遷移を調整します。値が高いとピンポイントでリダクションされるようなイメージです。
T-Clarityまとめ
M-Clarityの進化の礎(いしずえ)になってくれたと思うと感慨深いですが、私としてはT-Clarityを使うことはないと思います。
>T-Clarityの金額を確認する
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T-Compressor:3つまで直列できるコンプレッサー
- ジャンル:コンプレッサー
- 製品概要:3つまで直列できるコンプレッサー
- 金 額:$49
- リリース:2022年4月
- リ ン ク :T-Compressor 公式HP(8/5まで30%オフクーポン:SPECIAL30)
その他 :CPU負荷/レイテンシー(0~12%/1.3ms *直列するコンプの数・OSの状態で変化)OS:1~4倍選択 *私の環境は、本記事末尾に記載
例えば、ボーカルにおいて、1176→Optoのように多段でコンプをかける場合があると思います。
T-Compressorは、一つのプラグインの中で3つまでコンプを多段がけできます。
また、真ん中の大きなノブCompressionが、アタック・リリース・レシオの複合ノブとなっています。
T-Compressorのサウンド
ドラムバスで、サウンドの変化を聴いてみます。
プリセットから、Drum Buss Glueを選択して、スレッショルドだけ調整しました。

Gain Matchしていますが、かなりパンチ感が出ていますよね。
設定1は、主にキックに反応しており、アタックが遅いため、キックのアタック感が増す設定になっています。
設定2は、Sc-Hp(サイドチェインEQ)の設定が350Hzと、キックを逃がす設定になっており、主にスネアにかかっています。アタックが早いため、1176系コンプのような「パツン!」としたサウンドの変化がありますね。
T-Compressorの使い方
4種類のコンプモードがあります。
中でもCrispyは、EQ変化もあり、5000Hz以上がハイシェルフで3dBほど持ち上がるような設定となります。

上記サウンドサンプルもCrispが使われているため、高域がガツンと来る変化があるわけですね。
Clean
コンプレッサーは「Clean」モードを選択すると完全に透明なサウンドになります。あらゆる音源に対応し、余計な味付けや質感を加えたくないオーディオマスタリングでも威力を発揮します。
Crispy
独特の明るい味わいやキャラクターを音声に混ぜ込むことで、音に明るさを加えるモードです。
コンプレッション量を押せば押すほど、このモードの効果が適用されます。Crispyもあらゆる音源に対応し、特に「ベース」「ボーカル」「ギター」「シンセ」「ドラム」に最適なサウンドです。
Warm
このモードを選択すると、ある種のテープサチュレーション処理とフィルターを実装することで、サウンドに暖かさと独特のアナログな雰囲気が加わります。
あらゆるサウンドに対応し、特に「ボーカル」「ドラム」「バスプロセッシング」「シンセ」「ハイハット」「スネア」などに最適です。
これは、音に独自のキャラクターを加えるとともに、音を滑らかにするのに役立ちます。例えば、スネアの音が非常に明るい場合、このモードで圧縮すると、特殊なテープサチュレーションとフィルター効果が加わり、より心地よいサウンドになります。
Thick
より開放的で立体的なサウンドを実現するモードです。立体的で開放的な音になり、盛り上がりに欠ける音に活気を与えます。命を吹き込みます。
*Ver.1.09では、ThickとCleanが同じように私には聞こえます。Nullテストなどの実施でも、違いを見いだせませんでした。が、見つけていないだけで設定次第で違う音になる可能性もあります。
真ん中の大きなノブCompressionってなんだろう?って思う所。Techivation社によると、「アタック、リリース、レシオのすべてのコントロールを行います。」と言うことです。(ニーは固定。)
中でも一番影響があるのは、レシオです。
アタックは微妙な変化が、リリースは結構な変化があります。

Techivation社としては、細かな値・目で見ての判断ではなく、耳で音を判断して欲しいというスタンスでいるのかと思います。
T-Compressorを使う上で便利なのは、Auto Gainでしょう。リダクションされた分だけ、ゲインを上げてくれます。
私が愛用しているFabfilter Pro-C2では、Auto Gainで大幅にゲインが上がってしまうので基本オフにしていますが、T-Compressorは多少変動があるくらいなので使いやすいと思います。
T-Compressorのプリセット
プリセットは2種類あります。
- Preset:一つのコンプレッサーを変化させるプリセット
- Global Preset:複数直列でセッティングされたプリセット
の2種類です。
様々な楽器・音色を対象にしたプリセットが収録されていますが、2Mix向けのものはザッと見た感じ見つかりませんでした。プリセットは、トラック・バス向けに最適化されているものと思います。
マスタリングなどの2Mixでは、Cleanモードが向いているというマニュアル補足がありました。
T-Compressorまとめ
見た目以上に多機能なコンプレッサーですね。
パンチを出したい時のCrispyは強烈です。
まだ制作物上で使っていないので、今後使ったらまた追記します。
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T-De-Esser Pro:高機能・高音質なディエッサー
- ジャンル:ディエッサー
- 製品概要:高機能・高音質なディエッサー
- 金 額:$90
- リリース:2021年10月
- リ ン ク :T-De-Esser Pro 公式HP
その他 :CPU負荷/レイテンシー(1・2・4・9・18%/0・2ms *OSの状態/ルックアヘッドの有無で変化)OS:1~16倍選択 *私の環境は、本記事末尾に記載
私、ディエッサーだけで7個くらい持っていましたが、私が持っているディエッサーの中で一番良いです。驚きました!
……と思っていたのは、M-De-Esserが発売される前の私です。
T-De-Esser Proは、音量からスレッショルドで反応させる従来のディエッサープラグインです。一方、M-De-Esserは、全体の音量レベルと、選択帯域の相対音量から判断する新しい発想で作られました。(詳しくは、M-De-Esserの記事をご覧ください。)
ただし、T-De-Esserは、レイテンシーが少ないメリットがあり、音質の変化もできるため、下記のレビューも役に立つはずです。
T-De-Esser Proは、設定項目が多く、細かな調整が効きます。
- スレッショルドを下げ、全ての歯擦音に反応させた上で、MIXで混ぜる。
- 逆にスレッショルドを上げて、大きな歯擦音だけリダクションする。
- レシオ・アタック・リリースをいじれるので、削り加減が変えられる。
- 中でもSharpnessで、歯擦音の明暗がいじれるのが素敵。
要するに、歯擦音の検出の仕方・歯擦音をリダクションさせた後の音のカラーを自由自在に変えられるということです。
T-De-Esser Proのサウンドの変化
ディエッサー機能を確かめるための本HP定番曲を使います。(*ギャグ曲です。)
ディエッサーに捧ぐ歌
酢飯好きな彼女 寿司屋勤め素敵さ
〆たサバとカサゴ 蕎麦をすすって
物凄くクリアに、ディエッサーの使用を気付かせない処理が簡単にできます。
T-De-Esser Proの使い方
真ん中にある(Low-Hi・Mid-Hi……)などの帯域指定は、下にあるfreqency rangeと連動しています。
コンプレッサーと同じで、Processing(スレッショルド)を下げた場合は、歯擦音が全体的にリダクションされるため、Intensity(コンプで言うレシオ)を下げ目にすると自然なサウンドになりやすいです。逆に強い歯擦音のみに反応させる場合は、Processingを上げてIntensityを上げ目にします。(あくまで一般的に。)
リダクションが強すぎると感じた場合は、Attackの値を上げることで、音の立ち上がりを逃がすことができます。
Sharpnessは、圧縮している音とそうでない音の遷移を調整するつまみとのこと。

低い値だとより暗いサウンド変化、高い値だとより透明なサウンド変化をする印象に感じます。(ノブの意味というより、サウンドの変化に注目するのが良いと思います。)
●使うかどうか微妙だけど、一応解説。
下にある、hi-cutは、緩やかなローパスフィルターです。Kirchhoff-EQでカーブを調べましたが、-8~-12dB/Octくらいで調整されています。あまりにもハイが強く出ている素材に対して使えば、良い作用がある場合もあるでしょう。
saturationは、3・5・7と奇数次倍音が付与されます。横にあるfilterボタンを使うと、frequency rangeで設定されている範囲のみ、倍音が付与されます。歯擦音が滑らかになる場合もあるとのこと。
マニュアルによると、hi-cut/saturation/mixを使用して、新しいサウンドキャラクターも作れる。との記載がありました。
が、無理して使わなくても、OKかな。とも思います。
T-De-Esser Proまとめ
T-De-Esser Pro、私はものすごく気に入りました。
上位版のM-De-Esserも発売となりましたが、レイテンシーを低く作業したいときは、T-De-Esser Proを立ち上げることもありそうです。
私は、T-De-Esser Proをとても気に入っています。
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その他
無料版あります。
Techivation社では、無料のプラグインを提供しています。
- T-De-Esser
- T-De-Esser Plus
- T-Puncher Free
製品一覧ページの、画面下部からアクセスできます。
製品版の美味しい所が使えなくなっているので、私的には各プラグインのデモ版を試していただきたいな。と思う所です。
本記事で測定したCPU環境
本記事で測定したPCスペックは下記のとおりです。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Techivation社の全プラグインレビューでした。
私的なおすすめランキングは、
- M-De-Esser
- M-Clarity
- 同順位で、T-De-Esser-Pro/T-Exciter / T-Puncher / M-Loudener
の順です。
現在、現在バンドルが60%オフ中です。気になるプラグインが複数ある場合は、この機会にお得なFull Bundleをご検討下さい。
また、M-De-Esser・M-Clarity・M-Loudenerがセットになった、M-Bundleも発売となりました。非常に熱いバンドルだと思います。
今後出る全てのプラグインが使い放題となるFull Accessもあり、面白い試みだと思います。
GearspaceのTechivation製品のスレッドを見ると、バグ報告に対して細かなやりとりを行い迅速に直す姿勢や、批判者に対した信念を持った明確な返答をするなど、活発な議論を進んで行う様子が見られます。
例えば、「M-Clarityにオーバーサンプリング(OS)が搭載されていないのは、スペクトルシェイピングは、OSの有無で音に変化がないため」という理由を説明したり、「M-Clarityが6,000Hz以上の帯域で動作しないのは、その処理をT-De-Esser Proが行うものである」というメーカーの指針を丁寧に説明します。
ここまでユーザーとの距離が近いメーカーも珍しいのではないでしょうか。今後の活躍を期待しています。
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この記事を書いたのは

渡部絢也
作編曲家・シンガーソングライター
「地方にいながら、音楽でご飯を食べる」で早十数年。
東北秋田県で田舎生活をしながら、音楽にいそしむ。
メイン楽器はアコギ。歌も歌うDTMer。
・音楽制作依頼(舞台ミュージカル音楽・CMソング&BGM等)
・ブログ運営(音楽理論解説&VSTプラグイン解説)
・教材販売(使えるギターコード進行集など)
・ユニット「ウタトエスタジオ」では、ファミリー向けの作品作りも。
丁寧解説がモットー。 twitterでも、ぜひお気軽に絡んで下さい。
音楽監督作品「ミュージカル青春するべ!」
