XLN Audio Life レビュー 利便性・AIで進化を遂げた新時代のサンプラー
XLN Audio Lifeは、日常の身の回りにある音をビートに変換するプラグインです。
- スマホから録音した音を、PCにすぐに転送可能。DAW上の音もREC可能!
- AIを活用した自動的なリズム構築により、一瞬で使えるビートが生成可能。
- ビートだけではなく、音程楽器もランダムに配置し、気持ち良い音に。
サウンドを聴きながら、XLN Audio Lifeに迫っていきましょう。
Lifeの概要
Lifeは、簡単に言うとAudioをスライスするサンプラーの一種です。
Studio Oneの中にもDAW標準ソフトとして、Sample One XTというサンプラーが最初から入っています。
しかし、オーディオをスライスし、それをうまく活用するまでには、試行錯誤や経験が必要に思います。
一方、Lifeの場合は、2つの特徴により、スライス素材を物凄く簡単に曲作りに活かせます。
- オーディオの取り込みが劇的に楽!:スマホ録音・DAW録音
- オーディオ取り込み後、AIが即ビートを提案してくれる。
「オーディオ素材をスライスして演奏する」のは、今まではハードルを高く感じていた方も多いと思います。その敷居を一気に低くしたのがLifeの功績の一つでしょう。
特にスマホで録音できますから、日常の様々な音を作品に取り入れられます。
サウンドを聞いてみよう。
アコギサンプルをビートに。
スマホでの録音手順から行きましょう。
スマホアプリとしてダウンロードできる「Life Field Recorder」を使い、スマホで録音します。
録音が終わったら、名前を付けて保存します。
DAW上でLifeを立ち上げると、先程保存したファイルが、瞬時にダウンロードできる状態になっています。
素材を選択すると、すぐにビートを提案してくれます。
ここまで、録音後、1分かかりません。
アコギ系サンプルからは、次のようなものが出てきました。(シンセを2トラック重ねています。)
アコギの親指で弦を叩く音が、右側からシェイカーのように鳴っています。
また左側で「……ティロ♪……ティロ♪」と鳴っているのも、アコギの演奏を切り取っています。
バリエーション豊かなサウンド素材を用意することで、偶発性が高まり、新たな嬉しい出会いが多くなるように感じました。
アコギサンプルを伴奏に&息子の声をスライス
次の例は、Lifeを2つ立ち上げて、一つはアコギ、もう一つは私の息子の声も取り入れたもの。シンセベースだけ打ち込んでいます。
こちらのアコギ素材は、コード演奏主体にしています。コードを分割して演奏してくれるおかげで、自分では思いつかないような伴奏がどんどん生まれます。
ちなみに、Lifeの中でKickを打ち込めるようになっていますが、自動的にKickの音を変更して提案してくれるのも大きいです。
息子の声については、スライスされた生素材(Raw Slices)を演奏したものです。
読み込んだ段階で、自動的にスライスしてくれるので、まったく手間なく打ち込むことができます。
シンセ系サンプル:DAW上の音を録音
上で聞いていただいて分かるように、ビートになるようなパーカッシブな音だけでなく、音程楽器を取り込むのも面白いことは、既に分かってもらえたと思います。
次は、DAW上の音を取り込める機能をご紹介します。
Lifeをインストールすると、「Life Daw Recorder」というVSTエフェクトプラグインが一緒にインストールされます。
Life Daw Recorderを、録音したいトラックに立ち上げます。
Minimal Audio Currentという知る人ぞ知る隠れた話題のシンセのプリセットを適当に変えながら、録音してみます。
Life上で録音する場合は、画面上部の録音ボタンを使います。
驚くのは、パンやリバーブの設定を、全てAIが自動で設定した状態で吐き出してくれることです。
4系統に分けてMix調整をしてくれます。1番のSliceグループは、リバーブ・ディレイをセンドで送っており、効果的なサウンドになっています。
リズムプラグインXOの優れたパターン作成機能も引き継いでいるため、Life内でビートを作るのも良いでしょう。
出来上がったビートは、ドラッグ&ドロップでエクスポートすることも可能です。
エクスポートすることで、打ち込み内容を細かく直すことができますね。
Studio One用ピッチリスト
Studio One用のピッチリストを作ったので配布します。
- Studio Oneで、上記キースイッチマップを使う方法
-
上記ファイルをダウンロード後、解凍(展開)します。
その後、Studio Oneをインストールしているフォルダに移動し、
StudioOne\Presets\User Presets\Key Switches
に放り込みます。
Studio Oneを起動して、右にあるブラウズから、「プリセットの索引を再作成」をします。
ピアノロール→ドラムロール→ピッチリストから、Lifeを選択します。
CPU負荷
Lifeは物凄く軽いです。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
XLN Audio Lifeは、オーディオ素材をスライスして遊ぶことへの敷居を限りなく低くしてくれるプラグインです。
「車の開け締め・エンジンの音」「タイピングの音」などの、ビートに使えそうな日常的な音はもちろん、音程楽器を含んだ時に生まれる偶然の出会いに心震わせられることが、ミュージシャンならきっとあるはずです。
誰がやっても同じようなサウンドが出てきそうなものですが、最終的な良い悪いを判断するのは、やはりユーザーであり、そこに個性が生まれていくのでは。
利便性・AIにより、サンプラーを新時代に押し上げたXLN Audioに拍手を送りたい気持ちです。