MODO BASS 2 レビュー 圧倒的な表現力を持つベース音源
IK Multimediaからリリースされた、物理モデリングベース音源MODO BASS 2。
前作に比べて、
- フレットレス・アップライトベースの追加
- ピック・スラップの音質アップ
- パターン演奏機能追加
と、順当な進化を遂げています。
本記事では、同じくベース音源のTrilianと比較しながら、MODO BASS 2に迫っていきます。
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サウンドを聴いてみよう!
MODO BASS 2 vs Trilian
私的な意見となりますが、前作MODO BASSの時から、
- 表現力のMODO BASS
- 音質のTrilian
という印象があります。
MODO BASS 2の音質が、Trilianの音質にどこまで迫っているのか?という所やキャラクターの違いに着目しながら見ていきます。
アコースティックベース
アコースティックベースはダブルベースとも呼ばれ、MODO BASS 2内ではDB(Double Bass)と略されています。
- Studio Upright
- Rockabilly
2種類のモデルが収録されています。
Studio Upright
①のMODO BASS2 は、DISTANCEやROOMを0にしても、少しボワンと少し広がるような印象を感じます。
私がTrilianに慣れすぎているのもあると思いますが、地を這うような安定感や音のキレ・ドライ感をMODO BASS 2に求めると、少し違うのかな。という印象がありますね。
一方、「少し部屋鳴りが欲しい。」「遠い音が欲しい。」という場合は、MODO BASS2の方が音作りしやすいです。
Rockabilly
③では、マイクの他に、STOMP OUTやAMPの音を混ぜたセッティングになっています。
音の印象としては先程と同じく、③のMODO BASS2は、芯が少しぼやけた感じの音に聞こえますが、十分使える音だと思います。古き良き時代のサウンド感がありますよね。
④TrilianのプリセットはVintageですが、きめ細やかなサウンドの印象があるでしょうか。
スラップベース
こちらは圧倒的に、私は⑤MODO BASS2が好きですね。迷いなくMODO BASS2に手が伸びます。音のまとまりもあり、使いやすいサウンドです。
⑥Trilianは、ギラギラな高音域と地を這うような太すぎる低音域のバランスが、少し扱いづらい印象です。
また、打ち込みやすさもMODO BASS2の方が上です。(打ち込み方については、後述します。)
ピック弾き
⑦MODO BASS2の圧勝です。サウンドが自然な上、打ち込みやすすぎます。
CC64のLet Ring(弦を鳴ったままにしておく)という設定を使うと、打ち込むノートの長さ(デュレーション)が適当でも、実際に弾いているように再現してくれます。
これが本当に楽すぎます。
一方⑧Trilianは、打ち込みの際のデュレーションは、シビアです。
Trilianのエレクトリックベースのピック弾きプリセットはこれしかないのですが、わざとらしい&使いにくいサウンドですよね。
長い間Trilianを使っていますが、私は一度もこのピック弾きプリセットを楽曲で使用していないと思います。打ち込み感がすさまじい。
指弾き
やはり音の切れ目が、⑨MODO BASS2の方が圧倒的に自然ですね。
⑩Trilianも音は良いのですが、デュレーションの設定が結構シビアなのと、同じノートを連続で鳴らした時に、どうあがいてもMODO BASS2ほど自然な音になりません。
また、スライドの設定が、やはりMODO BASS2って楽&自然なんですよね。
MODO BASS 2 vs Trilian まとめ
以上、エレクトリックベース系に関しては、MODO BASS2の方が、打ち込みやすさと音の自然さで圧倒していると思います。
一方、アコースティックベースは曲によりますが、私個人的には、Trilianのサウンドの方が好みです。
ただし、部屋鳴りが必要な場面、古いサウンド、少し奥まったアコースティックベースを使う必要がある時は、MODO BASS2を選びます。
そのため、劇伴的な楽曲では、MODO BASS 2を選択することが多くなりそうな気がしています。歌モノをアコースティックベースで支えたい時には、ドライかつ圧倒的な低音が出るTrilianを使うかな、という感じです。
パターン演奏機能
ここまで触れていなかったフレットレスベースについては、パターン演奏機能のフレーズで音を聴いてみましょう。
パターン選択画面を開き、Fretless Bassを選択すると、約40個ほどのフレーズが出てきました。(2022年6月現在です。パターン増えてくれたら嬉しいなぁ……。)
気に入ったフレーズをDAWにドラッグすると、データを見ることができます。
フレットレスベースのムチムチとした音がよく出ていますね。
これらのパターンをそのまま楽曲に使えるかというと、コードなどを考えて修正したりする必要があり、少し手間がかかるかな。という印象は正直あります。
ですが、アコースティックベース、フレットレスベースなど、特有の楽器の奏法の生データを見て、勉強・研究できるという意味では、パターン演奏機能は大変役に立ちます。
単に打ち込み速度向上を考えるのであれば、Toontrack EZ BASSの方が優れていると思います。(ドラムパターンから自動フレーズ作成や、コードに応じた提案をしてくれるためです。)
これだけ押さえれば安心!奏法切り替え
Let Ring:弦を弾きっぱなしに
同じ音程を、音を切らさずに連続して演奏する場合に使います。
デフォルトではCC64(サスティンペダル)に対応しています。
Ghost MODE:ミュートさせて鳴らす
ゴーストノートは、ミュートさせながら弦を弾く演奏方法です。
グルーブをかなり左右するので大切です。
下記画像を見ながら、どこで使っているのか確認しながら聴いてみましょう。
Slide:弦を指で移動
MODO BASS 2では、スライドの方法が2つあります。
- Legato Slide:デフォルトCC65 *私はG#-1にしています。
- Slide:ピッチベンド
①Legato Slideの場合は、2つのノートを重ねてスライドさせます。後ろのノートの位置で、スライドの開始位置。ベロシティで、スライド速度を調整します。
弦指定をしないと、うまくいかない場合がありますので、弦指定しましょう。
4弦ベース | 5弦ベース | 6弦ベース | キースイッチ | |
---|---|---|---|---|
C String | – | – | 1弦 | C-1 |
G String | 1弦 | 1弦 | 2弦 | G0 |
D String | 2弦 | 2弦 | 3弦 | D0 |
A String | 3弦 | 3弦 | 4弦 | A-1 |
E String | 4弦 | 4弦 | 5弦 | E0 |
B String | – | 5弦 | 6弦 | B-1 |
ピッチベンドを使う②Slideは、スライドのタイミングを自由にいじれるメリットがあります。
ただしDAWがStudio Oneの場合は、ピッチベンド幅を計算する必要があります。
例えば、Slide Range(スライドする音程幅)が6の場合、全音(半音2つ分)であれば、100×2/6=33.3なので、ピッチベンドに33.3と打ち込みます。
Ham.ON/Pull OFF:左手のみ弦を操作
右手のピッキングをせずに、左手で弦を叩くように音を出したり(ハンマリング)、逆に左手で弦を離す時に指を引っ掛けて音を出す(プルオフ)奏法です。
細かいフレーズの際に使うことが多いです。
ハンマリング/プルオフの部分は、柔らかい響きになっていますね。
右手でピッキングをしていないため、こういった響きになります。
ビブラート:音を震わせる。
モジュレーションホイールでビブラート出来ます。
下記のフレーズは、パターン演奏機能から引っ張ってきたもの。
特にベースソロやフレットレスベースで活躍しそうですね。
【Studio One用キースイッチマップ配布】
キースイッチの設定って、非常に面倒くさいものですよね。
以下、Studio One上で、私が使っているキースイッチマップをDLできます。
- Studio Oneで、上記キースイッチマップを使う方法
-
上記ファイルをダウンロード後、解凍(展開)します。
その後、Studio Oneをインストールしているフォルダに移動し、
StudioOne\Presets\User Presets\Key Switches
に放り込みます。
Studio Oneを起動して、右にあるブラウズから、「プリセットの索引を再作成」をします。
ピアノロール→サウンドバリエーションから、MODO BASS2を選択します。
また、一部MODO BASS2の方でキースイッチを変更しているので、真似して下さい。
CPU負荷
CPU負荷は、8~10%ほど。そこそこです。(ちなみにTrilianは4%ほど。)
ここまで表現力の高い音源であれば、許容範囲ですね。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One5.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:512samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、IK Multimedia MODO BASS 2のレビューです。
本文中では触れませんでしたが、物理モデリング音源のため、非常に容量が軽いのもポイントです。
エレクトリック系ベースは、私の中ではMODO BASS2一択。
アコースティックベースは、曲による。という感じですが、部屋鳴りを簡単に入れられるのは見過ごせないポイントかと思います。
どうぞお試し下さい。
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