Toontrack EZ Drummer3レビュー 超簡単に打ち込めるドラム音源
Toontrack EZ Drummer3は、超簡単操作で打ち込めるドラム音源です。
EZ Drummer2から強化された部分は、次の通り。
- 音質強化:ドイツのハンザスタジオで収録したプリセット
- Bandmate機能:強力な打ち込み支援機能が追加!
- 内蔵エディタ:ヒューマナイズ・ランダマイズもスライダー一つで可能。
本記事では、Bandmate機能と、いくつかのプリセットのサウンドを確認し、EZ Drummer3に迫っていきます。
EZ Drummer3のサウンドを聴いてみよう!
EZ Drummer3のプリセットは、3つのRoomに分かれ、それぞれその中に約35個ずつ、計110プリセットが収録されています。
- Bright Room:主にロック向けの38プリセット
- Main Room:主にポップス向けの38プリセット
- Tight Room:ポップスやヒップホップ、R&B向け34プリセット
ここでは、Roomごとのサウンドを聴いてみましょう。
Bright Room:ロック向けのサウンド
Bright Roomは、堅木張りの床と反射性の高い大理石の壁で覆われた部屋で収録された、主にロック向けのプリセットが収録されています。
ここでは、Classic Reverbというプリセットを聴いてみましょう。
まさにロック向けといった感じの芯のあるサウンドですね!
Main Room:ポップス向けのサウンド
Main Roomは、ポップス向けのプリセットが収録されています。
SingerSongWriter Tight Reverbというプリセットを選択しました。
良いですね!
すぐにポップス向けのサウンドが出てくるのは、ありがたいです。
ただ、完成しすぎている音にも感じるため、もっとアコースティックよりな楽曲ですと、上位版のSuperior Drummer3の方が繊細なプリセットが見つかると思います。
Tight Room:タイトな響きが特徴
Tight Roomのプリセット「Tight&Punchy Full Mic」を聴いてみましょう。
カラッと乾いた音ながら、ドンッと抜けてくるキックや、スネアの音。
気持ち良いですね。まとまっていて、使いやすい音です。
Bandmate機能で自動的にフレーズ作成!
以上、3つのサンプルを聴いていただきました。
実はリズムパターンについては全てBandmate機能を使い、ベースやギターのフレーズから、EZ Drummer3に自動的に作ってもらったものなのです!!
す、すごくないですか!?
Bandmate機能とは
MIDIファイルやAuidoファイルを元に、リズムパターンを自動作成する機能です。
私が使っているDAW「Studio One」であれば、
- MIDIから作成:一旦midファイルをエクスポート後、EZ Drummer3にドラッグ。
- Auidoから作成:DAWからEZ Drummer3に直接ドラッグ。
という流れで作成します。
例えば、Tight Roomのサンプル楽曲であれば、ベースのMIDIファイルから、自動作成したパターンです。
弱起(アウフタクト)は調整が必要。
弱起(アウフタクト)とは、小節頭以外の場所から楽曲が始まることを指します。
例えば、Main Roomのサンプル楽曲は、8部裏から始まっていますよね。
こうしたパターンの場合、Bandmateはそこまでの調整をしてくれるわけではありません。
こうした場合は、DAWに上記パターンをドラッグしてDAWのピアノロール上でパターンを修正したり、EZ Drummer3内のGrid Editor(MIDI修正・打ち込み)で修正します。
今までは0から打ち込んでいたわけなので、始めと終わりを少し修正するだけで、ほぼ打ち込みが終了レベルなのは、凄まじく楽です。
フィルはGrooveを使えばOK!
Bandmateにより、ドラムのフィル以外は、ほぼほぼ打ち込みが終了します。
では、フィルはどうすればいいのかというと、収録されているMIDIファイルから、良い感じのフィルを探してドラッグ&ドロップすればOKです。
良いパターンが見つかったらDAWにドラッグ&ドロップして、修正があればエディットします。(EZ Drummer3の下部にある、グルーブレーンにドラックしてもOK。)
ドラマーが叩いた格好いいフィルが多数収録されていますし、ドラムMIDIパックを追加すれば、飽きも来ないでしょう。
Superior Drummer3と比較するとどうか?
上位ソフトであるSuperior Drummer3(以下SD3)と、下記3つの視点から比べてみます。
- 音質比較
- ジャンル対応比較
- 機能比較
SD3との音質比較
容量を比べると、SD3は230GB、EZ Drummer3は15GBと、10倍以上の差があります。
ルームやアンビエンスの収録数が多いSD3に比べると、EZ Drummer3の音質は、やはり少し深みが足りないように感じます。
とはいえ、アンサンブルの中では、そこまで気になる差には感じないとも思います。聴き比べてみましょう!
ロック
ポップス
ファンク
DTM初心者~中級者であれば、EZ Drummer3の音質でも十分感動できるレベルだと思います。
SD3を使っていると耳が肥えてしまいますが、それでも「EZ Drummer3でいいじゃん!」って場面もあるかもしれないな。と思います。
EZ Drummer3は最初からサウンドが完成しているので、短い時間でとりあえず曲を書く!という場合は、ハマる場合も多いでしょう。(SD3も完成されていますが、曲に応じてもっと追い込めるので、時間かけたくなってしまう時もある。)
ジャンル対応比較
SD3は拡張のEDXを入れてなくても、最初から多様なジャンルのプリセットが収録されています。ポップス・ロック・メタル・ジャズ・ファンク・エレクトロ、なんでも来いやー!って感じ。
一方、EZ Drummer3は、ジャンルを網羅するほど、プリセットが収録されているとは言い難いですね。
EZ Drummer3が強いジャンルは、ポップス・ロックで、歌モノジャンルには十分だとは思います。特にシンガーソングライターには、魅力的でしょう。
EZ Drummer3において、ポップス・ロック系以外のジャンルが欲しくなったら、「EZX(EZDrummerシリーズの拡張音源)を買って拡張してね!」ってことだと思います。
機能比較
ドラムキットの差し替え
例えば、ドラムキット差し替えの際のウィンドウは、EZ Drummer3が優れています。
SD3は、差し替えてから、音を確認する必要があります。
今後、SD3も機能向上させてくれると期待します。
Bandmate機能とTracker機能
EZ Drummer3には、自動打ち込み機能Bandmateが収録されています。
一方、SD3に収録されているのは、Tracker(生ドラムをMIDIデータに変更する)機能です。
あくまで、SD3はプロ仕様で、EZ Drummer3はDAW初心者~中級者を意識しているのが分かるポイントでもありますね。
Tap2Findの強化
Tap2Findとは、「こんな感じのパターンの素材ない?」と検索するための機能なのですが、EZ Drummer3では大幅強化されました。
SD3は手打ちで検索ができないため、EZ Drummer3様々です。
EZDrummerのミキサーは簡易的
SD3は内部エフェクトやルーティングが充実しており、音の作り込みができます。
一方EZ Drummer3は、ミキサーが簡略化されているため、エフェクトは使用できません。フェーダー操作のみ可能です。
最初から作り込まれているサウンドなので、そのまま使っても十分映えるレベルではあります。
EZ Drummer3の音をもっと作り込みたい場合は、パラアウトして別途エフェクトをかけてもOKです。
CPU負荷
EZ Drummer3のCPU使用率は9%ほど。(上位ソフトのSD3と大差ありません。)
キット切り替えなどには多少時間がかかります。物凄く軽いというわけではありませんが、重くはありません。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One5.5
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:512samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
EZ Drummer3の所感&まとめ
兎にも角にも、EZ Drummer3を使えば、打ち込みが物凄く早くなるでしょうね。
- リズムパターンから曲を構築したい場合は、MIDI Groovesからパターン選択。
- 上モノやベースラインの録音・打ち込みが終わっているなら、Bandmateで自動的にパターンを提示してもらう。
上位版のSuperior Drummer3を持っているなら、EZ Drummer3のBandmateでMIDIを吐き出して、音自体はSD3に差し替えるのも有効でしょう。
DTM初心者~中級者は、ドラムに対する勉強コストがかなり減るのは間違いありませんし、音も十分使えるレベル。
19,800円で、サウンド&ドラムの知識が手に入ると思えば、本当に羨ましいレベルです。初心者の頃に欲しかった!