MNTRA Instruments BOREALIS レビュー 14種の神秘のリバーブ集
MNTRA Instrumentsは、マニアックなVST音源が特徴のメーカーです。2024年7月、初のエフェクトプラグインとしてBOREALIS(ボリアレス)というリバーブプラグインが発売になりました。
- 14種類のアルゴリズム
- エンベロープフォロワー・LFO・マクロなどで変調が可能
- EQ・コンプも内蔵
サウンドを聴きながら、BOREALISに迫っていきます。
14種のリバーブ
「リバーブプラグインに何を求めるか?」
それはズバリ、その製品でしか作れない音があるかどうか?ではないでしょうか。
BOREALISには、14種のリバーブが収録されています。
それら中には、オンリーワンなサウンドも幾つかあると感じました。
下記、同じ素材に、違うリバーブモードを使ってみました。
特に気に入ったモードを、赤字で表示しています。
リバーブモード | 説明 | サウンド |
---|---|---|
Caven | 洞窟。 ダークでドリーミー。 | |
Driven | 歪みリバーブ。 | |
Freeze | フリーズ&シマー。 華やか。 | |
Echo Hall | ディレイっぽいリバーブ。 | |
Endless | 長~いリバーブ。 | |
Granular | グラニュラー。 粒状にして散りばめる。 | |
Orbital | ヴィンテージの コーラスがかったリバーブ。 | |
Ping Pong | 拡散されたピンポンエコー。 Timeをいじると音程変化。 | |
Studio | モントリオールのRCAビクター・スタジオ・レコーディング・ホールの響き。 | |
Silo | 深い金属的な共鳴。 | |
Piano | ピアノの響板の 内側から響く温かい共鳴。 | |
Sanctuary | 想像上の内部聖域から明るく変調する反射。 | |
Spring | クラシックな2600リバーブ・タンクの時代を超越したレゾナンス。 | |
Church | モントリオールのサン=ジャン=バティスト教会の美しい音色。 |
中には、パラメーターを変えても変化が良く分からないと感じたモード(Echo HallのMovementなど)や、他のモードと似ていると感じるモードもあったのは正直な所。
が、Freezeモードのシマーリバーブや、Graunularモードの粒状のリバーブは、私が今まで持っていない質感で、素直に良いと思えました。
また、BOREALISが特徴的なのは、変調できることです。次項で、具体的な画面説明や操作を案内します。
BOREALISの操作
XYZマクロ
BOREALIS上で、マウスを動かすと、マウスカーソルが「=▲●」という記号に変化します。この状態でマウスをドラッグすると、「=▲●」の数値が変化します。
「=▲●」はマクロノブと同様で、この数値自体には何の意味もありません。パラメーターに連動させることで初めて意味を持ちます。
下図は、▲とSizeを連動させています。
画面左に、Dry/Wetの他、3種類のパラメーターがありますが、これらをリアルタイムに変化させることで、今までにないサウンドを生み出すことができます。
LFO・エンベロープフォロワー
「=▲●」のマクロのほか、LFO(周期的に数値を変化させる変調)やエンベロープフォロワー(音量に応じて、数値を変化させる変調)でも、数値を変更できます。
LFOを使うと、今までにない音を作り出すことができます。
LFOのSyncでは、「1/64T~1/1」までしか選択できないので、1小節より長い周期にしたい場合は、Syncを外して、下記計算機を使ってHzで入力しましょう。
リバーブ の微調整
変調できないパラメーターは、下記のボタンから呼び出せます。
リミッター・EQ
リミッター・EQも内蔵されています。
ダッカー(ドライ音に応じてウェット音がリダクションされる)ではなく、音量を調整するためのリミッターです。深く潰して分厚いリバーブにも変更できます。
CPU負荷
軽いです。
- OS:Windows11
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、MNTRA Instruments BOREALISのレビューです。
なかなか個性的な見た目で、最初はとっつきにくさも覚えるかもしれません。
しかし、リバーブプラグインに重要な「このプラグインでしか出せない音がある」という観点においては、十分な合格点が出せるプラグインと言えるでしょう。
「リバーブに変調って効果的なのか?」という疑問が以前はありましたが、リバーブでの変調でしか得られない効果は確かにあることが分かりました。空間表現を強化したい方におすすめです。