Evertone Magic Knob レビュー 1ノブで「押し出し感・ノリ」を作る!

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Evertone Magic Knob・Magic Knob Red は、「コンプをかけても前に出ない……」 そんなトラックを、1ノブで「前に出す音」に変えるプラグインです。
- 日本産メーカーEvertone Project制作
- 1ノブで“押し出し感”と“ノリ”を作れる
- 0~50%、50.1~100%でパラメーターが変化。
サウンド変化を聴きながら、Evertone Magic Knobに迫っていきましょう。
Magic Knobとは?
フラグシップ製品を1ノブ化
Magic Knobは、Evertone Projectのフラグシップ製品を1ノブ化したプラグインです。
そのため、前提となるEvertone Expander・Compressorについて、まずはご紹介します。

Evertone Expanderは、アップワードエキスパンダー。
Evertone Compressorは、ダウンワードコンプレッサー、です。

- ダウンワードコンプレッサー:Thresholdより大きな音を、小さくする。
- アップワードエキスパンダー:Thresholdより大きな音を、大きくする。
ダウンワードコンプレッサーは、一般的によく使われるエフェクトですが、アップワードエキスパンダーは、あまり一般的ではないエフェクトとも言えるでしょう。
具体的には、アタックタイム・リリースタイムを調整することで、次のような効果が生まれます。

つまり、Thresholdより大きな信号を基点にして、アタックを強調したり、トランジェントとボディ感の配分を調整できたりします。
ダウンワードコンプレッサー・アップワードエキスパンダーともに、同社以外のメーカーも様々な製品を出していますが、Evertone Expander・Compressorの場合は、以下の大きな2つの特色があります。
- DAW上のBPMを読み込んだSyncタイム
- Attack・Release・Hold Timeに利用可能
- F=ma物理エンジン搭載
- インプットされた音の聴感上の勢いに応じて、ゲイン変動量が変化
実際に、どう音が変化するかは、下記の記事からご覧ください。
簡単に説明すると、音の押し出し感が増して、自然に前に出るようなイメージです。

Magic Knobの特徴
さて。
2つのフラグシップ製品が1ノブ化されたMagic Knob。
- Magic Knob:Expanderが元に。
- Magic Knob RED:Compressorが元に。
Learnボタンを押すことで、複雑な設定なしに、音の押し出し感や、グルーブ感を変えられるというのが、本製品のウリとなっています。
また、「0~50%、50.1~100%」で内部パラメーターが変化するのも特徴で、変化の仕方さえ覚えれば、直感的に好きなサウンドを作れます。
- Magic Knob
- 0~50%:よりキビキビとした動作。タイトなアタック。
- 50.1~100%:Attack・Release Timeが伸びて、ボディ感が増す。
- Magic Knob RED
- 0~50%:Release Time短め。
- 50.1~100%:Release Time長めに。
*信号全体にコンプが強くかかりやすくなる。
組み合わせて使う場合は、「Blueで膨らませたものをRedで整形する」という意識を持つと使いやすくなります。
- 用語の補足(トランジェント・アタック・ボディ感)
-
あえて、「トランジェント・アタック・ボディ感」など、似ているようで違う言葉を用いています。私は以下のように使い分けています。
- トランジェント:音の立ち上がり。例えば、アコギのピックにあたったピチッとした小さな音など。「信号が急に大きくなる部分」などの意味合いも。
- アタック:トランジェントから実際に音が大きくなり、一番耳に大きく届く部分まで。
- ボディ感:アタック以降の持続成分。余韻としてふくよかに聞こえる感じ。
Magic Knobを使ったサウンド変化
以下のサンプルのキックにMagic Knobを使ってみます。
さて、次の設定は、Magic Knob「Blue→Red」と、直列で使った例です。キックに着目しながら聞き比べてみましょう。

微細な差ではありますが、②はキックの押し出し感が増して、生き生きと前に出てきているのが分かります。
パラメーターを変えて試してみましょう。次の例③では、Blueの設定が50.1%以上になっており、背景のライトが緑っぽくなっています。この状態では、内部のAttack・Release Timeが長くなるので、よりボディ感が強調されます。
若干、キックが長く聞こえるようになったのが分かるはずです。

このように、ノブを変えるだけで、キックのノリを簡単に変えることができます。
一方で、「Redが何をしているのか。」ということが気になるところですよね。Redは、Blueで持ち上げたボディ感をコンプで再形成しています。Blueで増したピークをRedが抑えることで、密度が整うイメージですね。
試しに、Redをバイパスしてみましょう。

④では、ボディ感が増し増しになりすぎていて、若干豊満過ぎるように感じる方もいると思います。これを、Redで適度に抑えれば、③のように丁度いい塩梅にできるということです。
「どこがいい値なのか、この曲にとってどういう状態が良いキックなのか。」という審美眼が問われる部分になりますが、ノブ2つでこれらを調整できるのは、楽と言えるでしょう。
Magic Knobの内部動作
以下は、Magic Knobの内部動作をPlugin Doctorで解析したものです。
*が、Plugin Doctor内では、BPMなどの情報も入力できませんし、内部動作を完全に暴けないことは、ご承知おき下さい。(特に、内部に搭載されているF=ma物理エンジンは、聴感上の大きさに応じてゲインやリダクション量が変化するのが、Evertone Expanderの検証で分かっています。それらは、下記から読み取れません。)
Magic Knob Blue
0~50%は、Attack・Release Timeが短く、よりタイトになります。

ようするに、タイトに押し出し感を増したければ、50%より小さく調整すればOKです。
Magic Knob Red
Redは、リリースタイムが変化します。

また、リダクション量も急に変化していますね。

つまり、どういうことか。
信号全体に強めにコンプがかけたければ、50.1~100%にしましょう。
浅めにかけたければ、50%以下です。
Magic Knobの私見
以上、Magic Knobについて色々見てきましたが、あまり深く考えずに、音を前に出したいと考える方には、おすすめできるプラグインとなっています。
*私的には、上位のExpander・Compressorを使いこなしたいと思う所ですが。
メーカーマニュアルでも、ほとんど語られていないTRANSFORMERボタンというものが付いています。

聴感上でも大差なく感じ、正直な所「?」が浮かびました。 Plugin Doctor上では、低域部分の倍音配列に少し変化があり、またゲインが若干増減するようです。以下、聴き比べると、⑤の方が若干重たく聞こえる印象でしょうか……??
このボタンについては、キック以外、様々な音での検証が必要そうですね。
また、Gain Trimが、隠し操作として実装され、数字の部分をドラッグすることで変化可能です。基本はオートゲイン調整が入るので、触らなくてOKですが、数字部分で%を調整したい時に誤動作を起こすことにも繋がるので、別途分かりやすい箇所で、ゲイン調整出来ても良かったのではないかと思います。
あと、GUIが大きいので、ドラッグ調整できると嬉しい所。
あと、マニュアルWebページは、50:50という説明をされているのですが、多くの方が混乱する部分だと思います。「50%のグリーンに……。50%のオレンジに……。」という部分です。どちらも50%より大きな値にした時に変わる色ですから。
内部的には、50%までがBlue・50.1%からGreenですので、「GUIの数字上が50%でも緑色・橙色にできる。」という意味合いだと勝手に解釈しましたが、これは本プラグインを相当触らないと意味が分からない部分だと思います。
CPU負荷
とても軽いです。

Lookahead機能を使うと、20msのレイテンシーが発生します。
●PCスペック
- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One7.2
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Evertone Magic Knob・Magic Knob Red のレビューです。
Evertone Expander・Compressorが気になるものの、難しそうで導入に悩んでいた方におすすめできるプラグインとなっています。特に、音を前に出したくても出せなかった人。「コンプってなんだ?」という人向けですね。
フラグシップ製品に比べると、値段的にも、かなりリーズブルです。
平面的なサウンドが、立体的に聞こえるようになるので、Magic Knobならびに、フラグシップ製品も、ぜひお試し下さい。














