Techivation M-Compressor2 レビュー|前作から実用性が大きく向上したスペクトラルコンプレッサー

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Techivation M-Compressor2は、「スペクトラルコンプレッサーはアタックが鋭い素材が苦手」という弱点を大きく改善した、Techivationの最新コンプレッサーです。
- 帯域別のスレッショルドを実装!
- 前作では変化が分かりづらかったAttack・Release・Punchなどのパラメーターのサウンド変化が、非常に分かりやすく。
- Mix Asisstで、自動設定。マトリクスで微調整も簡単に。
実際の音源を聴きながら、その実力を詳しく見ていきましょう。
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前作の弱点と今作の改善点
前作の弱点
前作M-Compressorは、使える時と使えない時の差がはっきりしており、私が使っていたのは、主に音程楽器の全体のトーンバランスの明暗を変化させる時でした。

前作が採用していたTiltカーブは、ある周波数を基点に、シーソーのように周波数バランスを変化させるものでした。全体的な印象を明るくor暗くするか、といったバランスを変化させるのには適していたわけですね。
一方で、Techivation公式のAI-Compressorの販売ページで、「M-Compressorなどのスペクトラル処理がピーク制御には向かない」という記述があったように、キックやスネアなどの打楽器は、過度にサウンドが変化する弱点もありました。(*前作のレビュー記事で、キックの音が鈍くなったりしているのですが、それはそういうことですね。)
また、ツマミの変化でサウンドにどう影響するかも、分かりづらかったのは事実です。
つまり前作には、アタックが鋭い素材には使いづらいといった側面や、パラメーターの変化の分かりづらさという弱点がありました。
今作での改善点
今作では、前作の不満はかなり改善されています。
- アタック・リリース周りの音の変化がはっきり!
- 新設計されたPunchノブも、音の粒立ちに貢献。
- Gateのスレッショルドが追加され、より柔軟な設定ができるように。
- MIX Assist と、4つのマトリクスにより、手軽に設定できるように。
特に、打楽器のアタックが鈍くなる印象は、かなり改善されています。
*設定によりますけど。
次の項では、実際に、どのようなサウンド変化ができるか見ていきましょう。
M-Compressor2のサウンドを聞く。
タム
効果が分かりやすい例から行きます。

重量感を増して、タムの迫力が出る設定にしてみました。
アタックの鈍さもなく、余韻に重さが出ています。ダウンコンプレッションで引き締まりながらも、余韻に厚みがあるのが感じられます。
ピアノ

③は、一拍目の低域が出すぎているんですが、M-Compressor2でそれを抑えた形です。
④は全体的な凸凹とした感じが減って、聞きやすくなっているのが分かります。
前作のTiltカーブだけだと、中々細かいところまで手が届かなかったのですが、M-Compressor2では、より柔軟な調整ができるようになりました。
また、Attackを少し遅めにしていることで、アタックの鈍さも少ないです。(完全に鈍くなってないとは言いませんけど、ポップスなら許容できるレベルかと思います。)
こういった問題は、演奏そのものの向上や、打ち込みならベロシティ調整するのが一番の解決策ではあるものの、M-Compressor2の柔軟な設定が可能な点を示す上では、良い例ではないでしょうか。
太鼓(アップワードオンリー)
次の例は、アップワードコンプレッサーの可能性についてです。
和太鼓の余韻が少ない時に、余韻を増やす手立てとして、アップワードコンプレッサーを使ってみます。

⑤は、割とあっさり余韻がなくなるのですが、⑥では、豊かな余韻が付加され、胴鳴りの存在感が増しています。(*分かりやすく変化させてます。)
今作では、帯域別に調整ができるので、特定の周波数帯のアップワードも可能になりました。

調整できるのはシェルフ1対のみですが、全体的なカーブを決めた後は、左のスレッショルドを調整することで、真ん中の帯域への量を調整できます。
前述の通り、アタックの変化が非常に小さくなったことで、今回の処理も可能になったのはかなり大きいと思います。
TB-Tech Future MBで同じような処理を行った例も紹介していますが、M-Compressor2も負けず劣らず良い音にできそうです。
CPU負荷
コンプとしては少し重い部類ですが、スペクトラルコンプレッサーという性質上、仕方ないかと思います。

- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One7.1
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Techivation M-Compressor2のレビューです。
触れていないパラメーターとしてShapingがあります。レゾナンスが強い帯域を、優先的にダウンワードコンプレッションする機能です。ピアノで、サスティンペダルを踏みながら演奏すると、違いがはっきり分かります。100%では倍音の個性まで抑えられ、やや平坦な音になる印象でした。うまい具合に調整すれば、ピーキーな音を落ち着かせることができるはずです。
また、Mix Asisstと、マクロ的に複数パラメーターが同時に変化するマトリクスがありますが、自動設定は、私にとってはかかりが強い印象がありました。強くかけてMIX値で調整する方向もあるとは思います。
ただ、私的には、エフェクトは目的意識を持って使うことが大事だと思っているので、0から自分の手で設定するほうが性に合っていると感じましたね。
それよりも今作の改善点である音質向上や、パラメーターの変化具合が耳ですぐ分かることの方が重要であり、使う理由になりそうだと感じています。
まとめます。
M-Compressor2は、アタックの扱い・パラメーターの分かりやすさが大きく改善され、より幅広い素材で実用的に使えるスペクトラルコンプレッサーへと進化しました。特に打楽器でも使えるようになった点は、前作からの大きな進化です。
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