Big Fish Audio Vintage Horns 3 レビュー|1930〜70年代の個性派ホーン音源

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Big Fish Audio Vintage Horns 3 は、1930〜70年代を中心としたヴィンテージなホーンセクションを題材とした金管楽器・木管楽器音源です。
- 荒々しさやピッチのよれを含んだ、生々しく個性的なサウンド。
- 時代や奏者の特徴を再現した、全17種類の楽器プリセットを収録。
- モノレガート非対応など、打ち込みには癖があるものの、他の音源では得がたい独特の奏法が魅力。
サウンドを聴きながら、Vintage Horns 3の魅力と使い勝手に迫っていきましょう。
レビューするにあたって
本製品をレビューする前に、私はセカンドラインというニューオリンズのジャズを題材としたこども向けの作品を作っていました。
この作品では、Acoustic Samples Vhornsシリーズの3種(Brass・Saxophone・Extended Brass)を組み合わせて使用しています。
Vhornsも素晴らしい製品なのですが、セカンドラインでは、荒々しさやピッチ・タイミングのズレなどが特徴でして、音のよれを再現するにはそれなりに苦労が必要でした。(ノートをずらしたり、ピッチベンドをあえてずらしたり。)
そんなわけで、本製品Vintage Horns 3の商品解説に、ニューオリンズの文字を発見した時には、心が踊ったわけですね。
特有の荒々しさや、ピッチのよれ、特有のアーティキュレーションがどれくらい楽曲に反映されるだろうか?という所が興味のポイントでした。
サウンドを聞く
アンサンブルで確認
件の楽曲の中で、ブラス部分を差し替えて、聴き比べてみましょう。
差し替えるのは6パート。
- Trumpet1
- Trumpet2
- Alto Sax
- Tenor Sax
- Trombone
- Sousaphone(行進用のTuba)
音量などを厳密にそろえているわけではないので、音の傾向で確かめてもらえたらと思います。

①Vhornsの音が、清く正しく整えられた音と感じるのに対して、②Vintage Horns3では、個々の楽器の音が暴れまわる元気な傾向にあるのが分かります。
また、良い意味でピッチがよれていたり、荒々しさを自然に演出しているのも特徴的です。
Vintage Horns3は、周波数的には若干高域に偏っていて、低域が薄くも感じるかもしれませんが、これがビンテージ感やニューオリンズ的な感じを演出しているとも言えます。
ニューオリンズの大御所Rebirth Brass Bandの音源も参考にすると、傾向が似ているのが分かるはず。
アーティキュレーションは、Sustain・Staccato・Stab・Fall・Doits・Trillなど、収録楽器によって違うものの、最低限のものは入っており、特にDoitsは、とても生っぽいサウンドで、非常に使い勝手がありそうだと感じました。
ソロで確認する。
Vintage Hornsシリーズでやはり見逃せないのは、他の音源には出せない表現だと思います。
中でも強烈なのが、「Vintage Cuban Mambo Band Growling Trumpet」というプリセットです。

この色気・ユーモラスさを伴った独特のサウンド&奏法は、他の音源には中々ない音色だと思います。
一方、打ち込みの際には、いくつか懸念点もありまして、これは伝える必要があります。
ソロ楽器の音源なのですが、ポリフォニックで同時に複数のノートが発音できます。 一方で、モノレガートが効かないため、普通のソロ音源と同様にレガートさせようとすると、音が混ざってしまう場合があります。
また、CC1のモジュレーションが、直接Volumeと連動しています。

通常、ブラスやストリングスで音量調整をするCC11が、動作しません。
この方式では、CC1を操作すると、プラグイン内のリバーブ音も一緒に小さくなってしまいますので、不便ですね。音源によっては、CC11:Expressionで楽器本体の音量だけを変化させ、リバーブの残響を自然に残せるものも多いのですが。
それを緩和させるためなのか、CC1を0にすると、それまで比例して小さくなっているボリュームが-0.6 dBまで上がる仕様になっており、これもまた気をつけて打ち込む必要があります。
そのため、きちんと打ち込む場合には、プラグイン内のリバーブを0にして、外部のリバーブを使用した上で、CC1でボリューム操作をするのが良いかと思います。
ライブラリの収録音について
前作・前々作と、どう違いがあるのかを確認しましょう。
Vintage Horns 3の収録プリセット
同じ楽器でも、年代や表現が違うものが複数収録されています。
| 楽器 | 音色数 | 主な方向性 |
|---|---|---|
| フルート | 1 | Soul Jazz |
| クラリネット | 1 | New Orleans / Dixieland |
| ソプラノサックス | 1 | Jazz Fusion |
| アルトサックス | 2 | R&B / Bebop |
| テナーサックス | 3 | Rock / Soul Jazz / 1930s |
| バリトンサックス | 1 | Detroit Soul |
| トランペット | 4 | Soul Jazz / Vintage Jazz / Mambo / Dixieland |
| フリューゲルホルン | 1 | Soul Ballad |
| トロンボーン | 2 | New Orleans / R&B |
| チューバ | 1 | New Orleans |
| 合計 | 17 |
では、前作・前々作とはどう違うのでしょうか?
Vintage Horns1・2収録楽器
初代Vintage Hornsは、「60〜70年代のホーンセクションを組むための基本セット」と言えます。
| 楽器 | 収録楽器 |
|---|---|
| フルート | Soprano Flute / Alto Flute |
| サックス | Alto Sax / Tenor Sax / Baritone Sax |
| トランペット | Open Trumpet / Muted Trumpet |
| フリューゲルホルン | Flugelhorn |
| トロンボーン | Trombone |
| 合計 | 9音色 |
収録楽器は少ないものの、16種類のMultiプリセットで、ジャンルなどを指定すると、複数の楽器が一気に立ち上がるような仕様になっています。
一方、Vintage Horns 2からは、路線が少し変わります。初代の作り直しではなく、初代を補完する別ライブラリがコンセプトです。
| 楽器 | 音色数 | 主な方向性 |
|---|---|---|
| フルート | 1 | Film Noir / Horror |
| ピッコロ | 1 | Detroit Soul / Motown |
| アルトサックス | 2 | Film Noir / R&B |
| テナーサックス | 3 | R&B / Rock / Vintage Jazz |
| バリトンサックス | 1 | Vintage Jazz |
| バスサックス | 1 | 1930s–40s / R&B |
| トランペット | 3 | Cool Jazz / 1970s Big Band |
| ピッコロトランペット | 1 | Vintage Pop / Beatles |
| フリューゲルホルン | 1 | Soul Jazz |
| トロンボーン | 1 | Film / Spy |
| 合計 | 15 |
「楽器を揃える」より「特定の奏者/特定の時代の音を増やす」方向ですね。
各プリセットのリファレンスは、Maceo Parker、Miles Davisなど、錚々たるレジェンドを参考にしており、特定のジャンルや音楽の傾向を真似たい場合には、役に立つことがあるでしょう。
まとめとVintage Horns Bundle
初代は基本的なホーンセクションを組むための音源。2・3は特定の奏者や時代を再現した、個性的な音色の追加ライブラリという位置付けです。
というわけで、シリーズの内を1つを購入しても、ビンテージなホーンサウンド全てを網羅できるわけではない……。
ということで、Vintage Horns Bundleが発売となっています。
CPU負荷
CPU負荷は、4%ほどと低い水準です。

- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One7.2
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Big Fish Audio Vintage Horns 3 のレビューです。
実際の楽器を録音できないが、荒々しく個性のあるホーンサウンドが欲しい場合、Vintage Hornsシリーズは力になる製品でしょう。
一方、懸念点でも述べたように、「モノレガートが効かない。CC1がボリューム操作になっている」点は、打ち込みの際には少し癖のある動作です。ベロシティで大分、サウンドの色が変わってくるので、ある程度細かく調整はできます。
一方で、演奏表現を細かく突き詰めたい方には、少し物足りない所もあるかもしれません。しかし、独特のヴィンテージサウンドが欲しい人には、とてつもなく魅力的な製品です。
特にCuban Mambo Trumpetのような癖強サウンドは、特に舞台音楽・映像劇伴なんかでは、必要な時もあるはず。こうした癖をあえて全面に出したライブラリは、大きな価値があると思います。













