コード進行の基本:コードの役割から自由に進行を作る!
本記事では、コード進行の基本について解説します。
コードには役割があります。
- 主役のトニック
- 主役に向かいたくなるドミナント
- 脇役のサブドミナント
これらの役割を把握すると、コード進行を0から作り出す事が簡単にできます。
この記事を読んで、自由自在にコード進行が作れるようになりましょう!
シリーズ構成
本記事は、シリーズ記事です。
初級編では、音楽知識0からコード進行にメロディーをつけることを目指します。
必要な知識のおさらい
コード進行の基本を学ぶ前に、必要な知識のおさらいです。
コードは、3音以上の違う高さの音の重なりのことで、コードの繋がりをコード進行と言います。
コード進行を作るには、まずキーを決める必要があります。
キーに合うコードであるダイアトニックコードは、五度圏表で簡単に見つけられます。決めたキーを中心に扇形に囲うだけです。
それでは、メジャーキーのコード進行の基本を学んでいきましょう。
ダイアトニックコードの役割
3つの役割がある。
ダイアトニックコードは、各キーごとに7種類あり、それぞれに役割が決まっています。大きく分けて3つです。
- 主役:トニック(T)
- 主役のことが好き:ドミナント(D)
- 脇役:サブドミナント(SD)
物語に例えると、主役「トニック」がいて、主役のことが好きな「ドミナント」、そして脇役「サブドミナント」の3つの役割があります。
これらの役割のことを、音楽用語でコードファンクション(コードの機能)といいます。
ダイアトニックコードの役割を把握する方法
五度圏表からダイアトニックコードを見つけだす所から、順を追って説明します。
①ダイアトニックコードを見つける
今回は、Key=Cのダイアトニックコードを探します。五度圏表からCを探します。
そして、Cの周りを扇形に囲みます。
この7つのコードが、ダイアトニックコードです。
②「ダイアトニックコードの役割」と対応させる。
資料中段には、下図があります。
この図と、先程のKey=Cのダイアトニックコードを対応させます。すると、下記のようになります。
これでKey=Cのダイアトニックコードの役割が把握できました。キーが変わっても、五度圏表を使えばすぐに役割を把握できます。
ちなみに、ダイアトニックセブンスコードでも役割は変わりません。
- ダイアトニックコードにセブンスを付ける方法
-
ディグリーネーム対応表で、ダイアトニックセブンスコードを対応させましょう。
位置を対応させると、次のようになります。
それでは、ここからは各機能について、一つずつ解説していきます。
主役:トニック(T)
主役のトニックは、安定感があります。Key=Cでは、C・Am・Emの3つ。
C(Ⅰ)
Key=Cにおいて、コードCは主役です!
コード進行の最初や最後に使われることが多いです。特に最後で使うと、コード進行が終わった感じを演出することができます。
Am(Ⅵm)
Cの代わりに使える
Amは、Cの代わりとして使うことが出来ますが、悲しさを感じます。憂いを帯びた準主役です。
最初や最後で使うと……
コード進行の最初や最後で使うと、曲自体が悲しいイメージとなり、Key=Amのように感じられます。
悲しさを狙う場合は、どんどん活用してOKです。
Em(Ⅲm)
Cの代わりに使える
Emも、Cの代わりに使うことができます。一つ上のコード進行のCを、Emに変えてみましょう。
最初や最後に使うのは、注意が必要。
コード進行の最後にEmを使うと、「終わった感じ」を出すことができません。Emの構成音に、キーの主役の音であるC(ド)が入っていないからです。
試しに、↑のコード進行のEm・Amを交換してみましょう。
終わった感じを演出できない。つまり、まだ続く感じを演出できるということですね。
ちなみに、コード進行の初めにEmを使うと、Key=Emと感じられがちなので、注意が必要です。絶対にダメということはないので、かっこいいと思えば、使ってもOK。
主役に向かいたくなる:ドミナント(D)
ドミナントは、Key=Cにおいては、G・Bm7(♭5)です。
G(Ⅴ)
主役Cに向かいたい!
Gは、主役であるCが大好きでたまらないコードです。
起立・礼・着席ですね。
G→Cのように、終わった感じのするコード進行を、音楽用語で終止と言います。特にドミナントからトニックから終止した場合は、ドミナント終止や完全終止と呼びます。
四和音G7になると、ますますCを好きになる。
Gに、もう1音たしてG7にすると、ますますCのことが好きになります。
これは、G7が不安定な響きを持つコードだからです。安定感をもつCで安心したくなるのですね。
必ずCに行く必要もない。
G・G7は、Cが大好きです。だからと言って、G・G7の後に、必ずCに向かう必要があるわけではありません。Cの代わりになるAmに変えてみると……
少しドキッとしますよね。Cに行きそうなのに、Am……という意外性を感じます。(ドミナントからⅠ以外に行くことを偽終止と言います。)
また、クラシックの音楽では禁忌とされていますが、Gからトニックではなく、サブドミナントであるFに向かうことも、ポップスでは良くあることです。
このコード進行では、最後がGなので、また冒頭のCに戻りたくなります。このように繰り返すことのできる進行を循環コードと言います。
期待感をあおる
Bメロの終わりから、サビに向かう前に、Gで盛り上げていくこともよく行われます。
サビでは、Cから始まるコード進行が生きそうです。
Bm7(♭5)(Ⅶm7(♭5))
Bm7(♭5)もドミナントと分類されます。それは、G7にあったトライトーン(減五度音程)であるシとファが、Bm7(♭5)の構成音(シレファラ)の中にもあるためです。
ですが、G・G7ほど、Cに向かいたいという感じは強くありません。
でも、Cに向かう力はそれなりにありますので、上記のように使っても間違いではありません。
Ⅶm7(♭5)は、シリーズ中級編で解説するセカンダリードミナントや、マイナーキーの時によく使われますが、初心者の内は無理に使おうとしなくても大丈夫です。
脇役:サブドミナント(SD)
脇役であるサブドミナント。Key=Cでは、F・Dmが該当します。
F(Ⅳ)
他のどのダイアトニックコードとも相性がよく、使い勝手の良い名脇役です。
穏やかな終止感
FからCに向かってコード進行を終えると、とても穏やかな印象を受けます。
C→F→Cの方が、柔らかい感じがしますよね。まだ曲が続いていきそうな雰囲気です。サブドミナントからトニックに向かうことを、サブドミナント終止と言います。(*アーメン終止・変終止・変格終止 と、呼び方は多数あります。)
FとCだけのコード進行でも十分いい曲が書けますよ。
ドミナントとも相性バッチリ!
FからドミナントのGに向かうこともよくあります。
このように、コード進行の初めを、サブドミナントであるFから始めることも良くあります。
Dm(Ⅱm)
Dmもサブドミナントです。
Fの代わりになる。
Dm(レファラ)とF(ファラド)は構成音が似ていますので、Fと差し替えて使うことも出来ます。
Gのことが好き。
DmはGのことを好いているため、Gに向かうことがよくあります。特に四和音Dm7→G7→CM7というコード進行が良く行われます。
このコード進行を度数表示にすると、「Ⅱm7→V7→IM7」となります。このような流れのことをトゥーファイブワン(ワンを略して、トゥーファイブ)とも言い、ジャズでもポップスでも良く出てきます。
コード進行の基本 まとめ
ダイアトニックコードの役割のまとめ
さぁ、ここまでダイアトニックコード7つの役割を見てきましたが、これをまとめてみました。
キーが変わっても、位置と関係性は変わりませんので、場所で把握すると便利です。
コード進行の基本 フローチャート
定番の進行を挙げますので、矢印を辿って、どういう動きになっているか確認してみましょう。
- C → F → G → C
- Dm7 → G7 → CM7 → Am7
代理コードとコードの差し替え
代理コードとは
ダイアトニックコードの中でも、基本の3コードC・F・G(Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ)以外のコードを代理コードと呼びます。
例えば、CはAmと入れ替えて使っても、自然に使える場面が多いです。そのため、「Cの代理コードのAmに変換……」という風に使います。
それぞれの代理コードを今一度確認します。
- トニック:C ↔ Am ↔ Em
- ドミナント:G ( ↔ Bm(♭5)) *あまり頻度は多くない。
- サブドミナント:F ↔ Dm
それでは実際にコードを差し替えて、新しいコード進行を作りましょう。
T → T → SD → D
定番の「T → T → SD → D」という進行から見ていきます。
コードの差し替えで簡単に新しいコード進行が作れることが分かりますね。
SD → DT → T → T
これもよくある進行です。
最後の例では、トップノートを変える例を出しています。音の重ね方(ボイシング)によって、かっこよさが変わります。ボイシングについては、次回の記事で詳しく説明します。
他にも作ってみよう!
- SD → T→ SD → D
- T → SD → SD → D
- SD → T → T → SD
など、まだまだ色々な組み合わせが考えられます。先程のフローチャートを見ながら色々試して、好きなコード進行を作ってみましょう。
ルート上行・下行から導くコード進行
コードのルートを上行・下行させることで、新しいコード進行を導くことができます。
【ルート上行】
ルート音を階段状に上げていく方法です。ダメな例もご紹介。
例6で使った、GonBのようなコードを、オンコードと言います。(G/Bと記載し、分数コード・スラッシュコードと呼ぶこともあります。全て同じものです。)
【ルート下降】
ルートを階段状に下げるコード進行を見てみましょう。
例3はトリッキーな例ですが、このように発想を自由にすることで、新たなコード進行を生み出すことができます。(ちなみに、例3は中級編:マイナーキーでも、再度解説します。)
コード進行のキーを変える(移調する)
今まで、Key=Cでのコード進行を色々と見てきました。作ったコード進行を別のキーで使えたら最高ですよね。
曲全体のキーを変えることを移調と言います。五度圏表を使うと視覚的に移調することが出来ます。
作ったコード進行を、どんどん他のキーでも活用しましょう。
まとめ
おつかれさまでした!
以上が、コード進行の基本です。
かなりボリュームのある内容でしたね。このページをマスターできれば、今後の作曲や音楽の理解に絶対に役に立つはずです。
次の記事では、作ったコード進行を伴奏として使うため、音の重ね方(ボイスリーディング)について学びましょう。