T-De-Esser Pro Mk2 レビュー FFT式がしっくりこない人に、ちょうどいいディエッサー。

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Techivation T-De-Esser Pro Mk2 は、Techivationの最初のプラグインであるT-De-Esser Proを見やすいGUIと音質向上を図ったアップデートバージョンです。
- FFT式ではない、従来のディエッサーのモダンアレンジ
- GUIが分かりやすく、操作しやすい。
- 改良されたサチュレーションが、非常に好感触。
私的には、前作をことあるごとに使い続けて来ましたので、非常に嬉しいアップグレードとなりました。サウンドを聴きながら、本作に迫っていきましょう!
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T-De-Esser Pro Mk2 概要
M・AIシリーズとは何が違うか?

Techivationといえば、偏執的なまでにディエッサーに力を注ぐメーカー(褒め言葉)ですが、ディエッサー1つとっても、4つのプラグインをリリースしています。(前作を含めると6つも!)
- T-De-Esser2(無料)
- T-De-Esser Pro Mk2
- M-De-Esser2
- AI-De-Esser
この内、M・AIシリーズについては、FFT方式のディエッサーです。
FFT(高速フーリエ変換)方式のディエッサーは、音声を周波数ごとに細かく分解し、高域の成分をピンポイントで抑えるタイプの処理です。
ブレスや空気感を残しつつ、高域をなめらかに抑えるのが得意で、M-De-Esser2やAI-De-Esserはこの方式を採用しています。(AIシリーズは中身を細かく公開されてませんが、おそらくそう。)
ただし、処理はやや重めになり、レイテンシーが発生します。また、トランジェントの追従も少し遅れがちになることも。ピンポイントに歯擦音を抑えるというよりは、適用範囲全体がやさしい音になる傾向を感じます。
そのため、歯擦音だけに絞って効果を発したい場合には、私はT-De-Esser Proを使ってきた経験が何度もあります。
指定帯域全体がなめらかな印象になるFTT式ではなく、痛い帯域を外科的にピンポイントに動作させたい場合には、従来式のディエッサーがやはり頼りになるのです。
従来のディエッサーとは?
T-De-Esser Pro Mk2の場合は、従来のディエッサーをより使いやすく進化させた製品です。
従来のディエッサーは、ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーのように、特定の帯域だけに素早く反応し、瞬間的に抑える方式です。
つまり、指定した帯域で強く飛び出た音をターゲットにします。
そのため、処理は軽く、リアルタイム性にも優れており、トランジェントにも素早く反応するプラグインが多い傾向があります。
ただし、設定次第では不自然なかかり方をすることもあり、「効きすぎた」「潰れた」といった印象を受けることもあるかもしれません。
T-De-Esser Pro Mk2は、こうした従来型の利点をベースにしつつ、検出精度・柔軟性・音楽的な効き方を高めた、いわば「現代版クラシックディエッサー」と言える存在です。
アタックタイム・リリースタイムのほか、コンプのニーのような役割のSharpnessや、処理の強さを調整するRatio。柔軟な設定が可能です。
レイテンシーも0にできるので、レコーディング中やライブ、作編曲の最中などにも、ガンガン使うことが出来ます。(*ルックアヘッド適用も可。その場合でも2~3msほどのレイテンシー。)
また、サチュレーション・ハイカットなどの機能がついた設計となっていることから、ディエッサー+トーンコントロールという位置づけのプラグインとなっています。
前作や無料版からの進化点は?
さて、T-De-Esser Pro Mk2の進化を見ていきましょう。

前作との違い
前作からの今作T-De-Esser Pro Mk2への進化をまとめていきます。

- メーターの追加
- 使いやすいGUI:ノブ配置の最適化
- 音質の向上
特に、音質の向上について、見てみましょう。(下記の測定結果は、デフォルト状態のものですし、ディエッサーは動的動作をするものですから、あくまで参考に過ぎないことは片隅に覚えておいてください。)
Hammersteinという、倍音がどれくらい発生するかを測定するグラフを見ると、高域に発生する倍音は、圧倒的に今作のほうが抑えられていることが分かります。

以上の結果に則って、9999Hzのサイン波を入れたときに、T-De-Esser Pro Mk2の方が、歪みが小さくなっていることが分かります。

要するに、プラグインを挿した時のザラつきが抑えられているということです。
また、どちらにもSaturationというパラメーターがありますが、このパラメーターにも調整が入っています。今作には、SaturationにFilterボタンも追加されており、Filter Offにすると、全帯域に倍音が付与されるようになります。

前作のサチュレーションは全体がザラザラとなる感触がありましたが、今作は100%にしても品があり、音自体に芯が追加されるような、使えるサチュレーションになっていると思いました。
High-Cutは、-8~-12dB/Octで変化する独特のカーブを描きます。(このカーブ自体は、前作と同じ挙動でした。)

無料版との違い
無料版であるT-De-Esser2と比較してみます。

- メーター表示が簡素
- 周波数帯域を自由に決められない。
- アタック・リリースの値を自由に決められない。
- レイテンシーが1.5ms固定。
- サチュレーション・ハイカットなどのキャラクター変化はできない。
こうしてみると、T-De-Esser2(無料版)は、簡易バージョンに収まっているのが分かりますね。十分使える出来ではありますが、次の項目でサウンドを聞くと、今作が欲しくなると思います。

サウンドを聴く。
ディエッサー機能を確かめるための本HP定番曲を使います。
ディエッサーに捧ぐ歌
酢飯好きな彼女 寿司屋勤め素敵さ
〆たサバとカサゴ 蕎麦をすすって
③無料版との違いは、②今作T-De-Esser Pro Mk2で処理した声に芯が増し、高域に抜け感があることに感じられるかと思います。この要因は、Saturationを20%ほど加えたことにあります。
もちろん歯擦音は抑えたうえで、芯・抜け感を加えられたわけですね。
また、Attackをいじれるため、歯擦音を削りすぎないギリギリの線まで調整できるのが非常に有効でした。
CPU負荷
前作・無料版との比較をしてみました。
Qualityの設定によって、CPU負荷は変化しますが、おおむね軽く、使うことを恐れない程度の負荷です。
- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One6.6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Techivation T-De-Esser Pro Mk2のファーストインプレッションです。
従来型のディエッサーとしては、これから一番先に手が伸びるディエッサーとなりそうです。私にとっては、嬉しいアップデートでした。
前作は、サチュレーションがどうにも好みに合わず使っていないパラメーターでしたが、今作では品があり、実用的に使える範囲かつ、数値の違いが聞き取れる範囲に調整され、非常に好感触です。
FFT式のディエッサーやレゾナンスサプレッサーが巷に溢れるようになった今、トランジェントを犠牲にしない従来型のディエッサーも、また見直される時期になっているのではないかと思います。
FFT式ではなく、ワークフローが簡潔、設定が柔軟かつ、ゼロレイテンシーで良質なディエッサーをお探しの方は、ぜひお試し下さい。
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