Sonica Instruments Taiko Thunder レビュー|舞台音楽の実制作で使って分かった長所と弱点

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TAIKO THUNDER: THE ULTIMATE COLLECTIONは、高音質かつ非常に生々しい和太鼓音源集です。
- 生々しい和太鼓サウンドが最大の強み
- 丁寧に打ち込むほどリアリティが増し、舞台的な距離感まで作り込める。
- 生太鼓とのマッチングや大編成アンサンブルでは、実制作ならではの課題も感じた。
本記事では、制作現場で使った感想・サウンドとともに、Taiko Thunderに迫っていきます。

結論:和太鼓ソロの最高峰
打ち込み次第で非常に生々しい。
Taiko Thunderは、和太鼓ソロ音源としては最高峰と言える出来になっています。
ただ、Sonicaの音源らしく、ベタ打ちでは中々上手く響かないのも事実。
ベロシティと、右手・左手を交互に打ち込み直すだけでも、かなり印象が変化します。

Sonicaの音源に共通するのは、わりと最初は地味に聞こえる所で、きちんと打ち込んでいくと、一気に輝きを放ちます。
迫力のある音にするには、ある程度MIXで手を入れる必要もありますが、こんなに生々しい太鼓音源は他にはないレベルなので、ソロの太鼓が必要な方には、かなりおすすめです。
CC1で変化させられるHitting Positionでは、芯のある音からフチ付近のパラパラとした質感まで変化させられます。 アンサンブル系の曲であれば、そこまで使うことがないかもしれませんが、音数が少ないような楽曲で、和太鼓で緊迫感を出したい場面であれば、かなり有用そうな機能です。
MIX Matrixが舞台的な距離感作りに便利
気に入っているのは、MIXのマトリクス機能です。
ステージの位置関係で、勝手にマイクレベルが変化する機能です。

これで、ステージ奥から聞こえてくるような、空気を含むサウンドを再現できます。
余韻もふくよかで美しいですよね~。ほれぼれ。
複数の太鼓を組み合わせても、「前に出したい音・左or右から包み込む感じの音」など、適宜位置関係を設定できるのが魅力です。
実制作で困ったところ
Taiko Thunderは、最高峰の和太鼓音源ですが、いくつか弱点もあります。
ダイナミクスが広い。Velocity Controlを使うと扱いやすく。
Taiko Thunderは、物凄くリアルな音源でもあるので、ベロシティによるダイナミクスがかなり広いです。
そのため、小さくするとわりと極端に小さい音量で、大きくするとそれなりの音量で前に出てきます。スイートスポットが狭いので、ベロシティ調整は意外と気を使う場面も。(より細かく調整できるので、メリットでもあるんですけど。)
……と、思ったんですが、ベロシティコントロール機能を使えばよかった!!
と、今更気付いてしまいました。

あまり小さい音を使わない楽曲の場合は、Minの値を上げると、ある程度大きな音が鳴るようになるので、打ち込みやすくなるはずです。
あと、リアルさの影響からか、フチ打ちの音が結構小さめです。
これは、StickのImpactを上げることで多少改善はされるのですが、ガッ!と来る音ではないんですね。そのため、フチ打ちの大きな音が欲しい場面では、他の音源を重ねる場面もありました。
欲しい口径・鳴り物のバリエーションがない。
太鼓の種類はたくさんあって、「これならどんな太鼓でも対応できるぜ!」と思う所ですよね。

「祭シアターLAB」の制作では、舞台上で演奏される生太鼓に合わせたオケを作る場面がありました。その中では、生の太鼓と音を似せたい場合もありましたが、それが難しい場面も多々あったのです。
プリセットの中には、口径(尺寸)が記載されていますが、口径が違う場合再現が難しいということですね。Tuningなどのパラメーターも、やはり思い通りにはいかず、若干不自然に聞こえることも。
だから、種類はたくさんあるものの、
- この太鼓の口径違いが欲しい!
- チャッパもチューニング違いで、何個か収録して!
- 当たり鉦も、阿波踊り以外で使うタイプのものも収録して!
など、制作中思う所はありましたね。同社の「KABUKI & NOH PERCUSSION」の中にも、当たり鉦やチャッパが収録されているので、そちらを使う場合もありました。
色々なバリエーションが欲しくなるのは、音が良いからこそ、欲が出てしまう部分と言えるかもしれませんね。
Ensemble機能は、期待ほど自然にならなかった。
Ensemble機能は、チューニングや発音タイミングを変えることで、複数の太鼓を重ねるような演奏ができる機能です。
通常、同じ音源の発音を重ねると、コムフィルタがかった変な音になったりしますが、それを回避するための機能です。
具体的には、同じ太鼓を複数トラックで立ち上げて、Ensembleの部分のプレイヤー番号を変化させます。

これによって、「迫力のある和太鼓アンサンブルができるはず!」と思ったのですが、実際に試したところ、発音タイミングのズレが自分にはやや大きく感じられ、タイトなアンサンブルを作ろうとすると、リズムがよれたり、演奏が下手に聞こえたりする場面がありました。
テンポが遅い場合は、そんなに気になりませんが、テンポが速い場合はバラツキが大きすぎて、うまくいかないと感じます。
BPM160のときは、明らかにバラついてますよね。
和太鼓のアンサンブルが欲しい場合は、別途紹介しているIN SESSION AUDIO Taiko Creatorを推します。

Taiko Creatorは、UNITYというツマミでバラケ具合を管理できるので、直感的です。
その代わり、聞いて分かるように、生の太鼓らしさより飾り立てた音に聞こえる音源と言えます。
CPU負荷
設定にもよりますが、一気に7つ分のマイクの音をMIXして出力する関係上、特別軽いわけではないですね。音源としては、通常の範囲内です。

- OS:Windows11 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:96GB
- DAW:Studio One7.1
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Sonica Instruments Taiko Thunderのレビューです。
弱点も記載したので、使えない音源と思われた方もいるかもしれませんが、そうではありません。
和太鼓ソロとしては、間違いなく最高峰で素晴らしい音です。
チャッパや当たり鉦も、いい音が入ってます。
1音1音を大事にした楽曲を作りたい場合には、まず間違いなく即戦力。
一方で、太鼓を何人も重ねた、シネマティックな大編成アンサンブルを手早く作る用途は、Taiko Thunderの主戦場ではないと感じます。文中でも紹介したTaiko Creatorや、もっと本格的なシネマ音源ならUVI Asteroidなどが候補に上がるでしょうか。
Taiko Thunderは、生々しい和太鼓を表現するという強みがはっきりとあらわれた音源と言えます。高価な音源ではありますが、気になっている方の背中を押せたら幸いです。














