Toontrack Stockholm SDXレビュー 重心が低く汎用性の高いサウンド
Stockholm SDXは、Toontrackのハイエンドドラム音源Superior drummer3の拡張音源です。
- 重心が低くザラつきのあるサウンド
- 様々なジャンルに使用可能
- 汎用性の高いドラムパターン
サウンドを聴きながら、Stockholm SDXに迫っていきましょう。
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サウンドを聞いてみよう。
ロック系
最初は、ロック系を聞いてみましょう。
プリセットからDistorted Reverbを選択しました。
低音域の押し出し感が強く、太いサウンドですね。
Stockholm SDXは、重心が低く収録されたサウンドが特徴ですが、その特徴が良く表れています。
ドラムフレーズは、Stockholm SDXに収録されているものを使っています。冒頭のフィルもシンプルながら良いですよね。
シンプルでセンスが良く、汎用性が高いフレーズが多いと感じました。
ちなみに収録されているフレーズは、BPM120・125・144・146と、早すぎず遅すぎないテンポで固まっています。SD3のデフォルトフレーズでは、このテンポのフレーズは多くないため、補完に良いですね。
ポップス系
こちらは、ポップス系のキットです。
デフォルト状態と、私のEDITした状態とで、聴き比べてみましょう。
②を最初聞いたときは、地味かな……?と思ったのですが、ポップス系の曲の中だと、かなりスタンダードに馴染んで聞こえますね。良いと思います。
③のEDITのポイントは、2つ。
- ハイハットのリリースが長く聞こえたので、小ぶりのハイハットに変更。
- スネアの調整。
スネアは、チューニングを若干高くして、コンプやEQの調整。
そして、リバーブをかけています。
ちなみにこのサンプル曲のピアノは、EZ Keys2のバンドメイト機能で、Stockholm SDXのドラムパターンから呼び出したままを使っています。EZ Keys2、恐るべし……!!
アコースティック系
最後は、アコースティック系の楽曲に合わせてみたものです。
こちらは、Tight Kitというドラムキットのデフォルト状態から、私がEDITしたものです。
落ち着きのあるサウンドながら、粘っこく色気も感じます。
こちらのエディットもスネアの調整がメインとなりました。
もともとタイトなキットは好きなのですが、Stockholm SDXの中では特に好きなキットです。
Stockholm SDXをEDITするにあたって
Stockholm SDXで余韻を出す方法
Stockholm SDXは、アンビエントマイクを足しても、それほど長い部屋鳴りが得られません。
コアライブラリや他のSDXでは、リバーブ代わりにアンビマイクを足すというのも一つの手段でしたが、Stockholm SDXのアンビマイクは、サウンド自体にふくよかさを加えるなど、質感の変化の目的で足すことになります。
余韻を出したい場合は、素直にリバーブを使うのが良いでしょう。
重たすぎる場合の便利なチルトEQ
Stockholm SDXは、全体的に重心が低く、重たいサウンドが多いのが特徴です。
「どっしりとした安定感を求めつつも、少しだけスネアを軽くしたい。」なんて場合は、チルトEQを使うのが便利です。
チルトEQは、設定した周波数を軸として、+にブーストすると高音域側を大きく、低音域側を小さくするEQフィルターです。
全体的に重心を上げるのであれば、+方向にかけることで、全体の重心が高くなります。
上記画像では、スネアの基音あたりもBellで下げて、重さを減らしていますね。
他のSDXとの比較
他のSDXの私見
私が他に所持しているSDXは、以下4つ。
- Decades SDX
- The Rooms of Hansa SDX
- Fields of Rock SDX
- Hitmaker SDX
Decades SDXは、Al Schmitt氏が監修。コアライブラリや他のSDXに比べると、出音がすごくまろやか。ブロードウェイミュージカルで使われるようなキットが収録されているので、ジャズ、ビッグバンドなどの楽曲を書きたい人にとっては、喉から手が出るほど欲しいはず。
The Rooms of Hansa SDXは、ハンザスタジオで収録された拡張音源。EZ Drummer3も同じ場所で収録されていて、傾向は似てますが、圧倒的にThe Rooms of Hansaの方がキメ細かく気持ちが良いです。デフォルトのドラムからして、圧倒的に低音域が出ています。私的にタイトなキットは、特に創作意欲が刺激されます。
Fields of Rock SDXは、荒く野太いサウンドが特徴です。ジャンルは結構幅広いです。メタル系ではなくインディーロック的なサウンドであったり、音数の多い日本のポップスでも抜けそうなサウンド。ディスコに向くキット(私のお気に入り!)、あとModern Studio Kitでは、比較的オールマイティなサウンドも。パーカッションがあるのもポイントですね。
Hitmaker SDXは、芯があり硬めの音が特徴で、特にミディアムテンポのポップスに向いた拡張音源です。クリアで押し出しの強いサウンドが魅力的で、初めてSDXを買う人にもおすすめできます。
Stories SDXは、オールマイティなライブラリです。ロック・ポップス・アコースティックよりの楽曲、ミュージカル・オーケストラなど、本当に様々なジャンルに使えるキットで、Core Library2と言っても過言ではない内容。繊細かつ芯があるサウンドが魅力です。
Stockholm SDXは?
少しザラついた重心の低いサウンドが特徴
冒頭のサウンドを聞いて頂いたように、重心が低く収録されたサウンドが特徴です
①を聞くと、若干粒子が荒いような、ザラッとした独特な味のあるサウンドを感じますよね。
Toontrackの公式ページでも、収録されたスタジオについて次のように紹介しています。
素朴な天井梁と木と石の両方の表面が特徴のメインレコーディングルームでは、驚くべきユニークな拡散を実現しています。ここでは、ドラムはタイトでパンチが効いていながらも、完璧なバランスで温かく自然な減衰があり、活気に満ちた豊かさを持っています。
同じく、低音域がドン!と出るRoom Of Hansa SDXに差し替えてみました。
⑤は、物凄くクリアに聞こえますよね。
Room Of Hansa SDXは、荒々しいインディーロックよりも、少しスタイリッシュな表現の方が向きそうに思います。
では、荒く野太いサウンドのFields of Rock SDXではどうでしょう?
太く、ザ・ロック!と言った感じのサウンドですが、Stockholm SDXほどザラついた感触はありませんね。
Fields of Rockの印象は元々荒々しい印象でしたし、今でもそう思いますが、Stockholm SDXのザラッとした質感は独特なものであることが分かります。
選んだプリセットから、そう感じるのかと思いましたが、デフォルトのHeavy Basicでも、同じような質感を感じます。
Stockholm SDXのザラついた荒々しさは、他のSDXでは出すことができない唯一無二の味付けですね。
ロック以外のジャンルについて
汎用性のあるサウンドであることは、既に聞いて頂いた通りです。
ドラム自体が派手に歌うというよりは、安定感のある黒子的な位置づけで役に立ってくれそうです。仕事人器質な印象。
このデッドなサウンドは、コアライブラリになかった部分ですので、コアライブラリの補完という意味でも、役に立ちそうです。
逆に、緻密で空気感のあるサウンドを求める場合は、コアライブラリの方が頼りになるでしょう。
CPU負荷
軽いです。
●PCスペック
- OS:Windows10 64bit
- CPU:AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ:64GB
- DAW:Studio One6
- サンプリングレート・解像度:48kHz・32bit float
- バッファーサイズ:1024samples
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Discrete4
まとめ
以上が、Toontrack Stockholm SDXのレビューです。
正直言うと、最初触った時に地味なサウンドにも思ったのですが、触れば触るほど、この仕事人的なサウンドに魅力を感じてきています。
派手さはありませんが、汎用性が高く堅実な黒子的な仕事をしてくれそうです。
ドラムパターンも、手数はそこまで多くないものの、実用性に優れたパターンが多いと感じました。今後の使用が楽しみです。
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