Antelope Audio Discrete4レビュー どんな人に向いているか?
本記事は、Antelope Audioのオーディオインターフェース、Discreteシリーズが気になっている方向けのレビュー記事です。
私が所有しているのはDiscrete4(無印)で、本記事を書くまで約1年間使用しています。現在は現行機種がDiscrete4 Pro Synergy Coreとなりました。
出音・出力について
素晴らしい出音です。圧倒的なクリアさに、初めて聞いた時は笑いが止まらなくなりました。
Discrete4以前に使っていたオーディオインターフェース(ROLAND FA-66)が、いかに団子状に音がまとまって聞こえていたのか、気付かされます。
Discrete4では、音が分離して聞こえ、ハイの伸びもあり、ローの出方も素直で無理なく出てきます。リスニングで聞くのにも気持ち良く、当然MIXもしやすいです。
実際に聞かないと分からない部分ではあると思いますが、5万円以下レベルのオーディオインターフェースから乗り換える場合は、確実に感動できると思います。
入力について
ものすごくクリアで存在感のある音で収録できます。
マイクのEdge Solo同梱で購入することができたのですが、このEdge Soloもとてつもなくいい音です。私自身は、Edge Solo単体の音自体がかなり好きなので、マイクモデリング機能は使いません。
歌の収録・ギターの収録などをしますが、現状全く不満はありません。
FPGA FXについて
FPGA FXはどんな人に向いているか。
Discreteシリーズの大きな特徴でもあるFPGA FX。
基本的な考えとしては、FPGA FX=「ハードウェアベースエフェクト」。
どういう意味かと言うと、FPGA FXは「ラックに積んだハードウェアエフェクター」と同じように考えるべきということ。
ですから、FPGA FX搭載機器は、どちらかというと生音で録音する方が恩恵を受ける機器です。打ち込みオンリーのDTMerは、持て余す可能性が高いでしょう。最初からプラグインエフェクト狙いだとすれば、UAD機器を視野に入れた方が良いかと。
DAW上でFPGA FXを使う場合
Thunderbolt対応PCであれば AFX2DAWでプラグインのように使えます。また、Thunderboltが対応していなくても、ルーティングによって、DAW上でエフェクトをかけて録音することはできます。
ですがその場合は、録音時間中は待機する必要があります。また、もし後でパラメーターを直したいとなったら、その度に録音し直す必要があります。
正直面倒くさい。
でも、それを抜きにすると、音は最高に良いです。打ち込みのドラムも前に出てきますし、ベースにも太さが生まれます。特に生楽器系のアレンジをされる方は、恩恵を受けられると思います。
FPGA FXを使いこなすには、元ネタ機器の知識が必要。
FPGA FXを使いこなすには、元ネタとなった機器の知識が必要になります。
このコンプがどの楽器に向いているのか。このEQがどういった意図で設計されたものか。それらが分からないと、使いようがないくらい多くのFPGA FXが搭載されているためです。 (Discrete4無印を買った人のほうが悩んでしまうポイントですね。 )
ちなみに元ネタ機器の一覧はDTMステーション様がまとめて下さっています。
むしろ、Synergy Coreになって、使いたいFGPA FXを念入りに調査してから買う方が、悩みが少ないかもしれませんね。
使いこなすようになるには時間はかかりますが、その分知識が増え、今後の役に立つので、私的にはデメリットというよりはメリットだと思っています。
FPGA FXの今後
Synergy Coreとなり、FPGA FXとDSPが組み合わさったことで、Auto-Tune SynergyやSpace Flangerなどがリリースされています。EDMのVoなど、リアルタイムのライブでも使えそうですね。
Discrete4はインプットが少なくあまり現実的ではないかもしれませんが、ライブの使用でもFPGA FX機器は存在感を増していくのではないでしょうか。
ちなみに、私自身はギターの弾き語りライブでDiscrete4をミキサー代わりに使ったことがあります。めちゃくちゃいい音で気持ちよく演奏できました。
Discrete4だと、インプットが4回線なので、弾き語りライブが限界かも。
規模にもよりますが、Discrete8以上の機器であれば、中規模ライブでも十分活躍すると思います。
不満なところ
音質などの不満はありませんが、細かな不満点をあえて言うなら下記の通りです。
- コントロールパネル からファンタム電源をONできない。
- サンプルレートの関係で、mp4ファイルなどを開くと動かないことがあり、その度サンプルレートを変更する必要がある。
- USBの帯域を多く使うためか、不安定になる機器があった。(最近なくなったので、アップデートで解消されたのかもしれません。)
まとめ
ずばり、Discreteシリーズをおすすめできるのは、生録の機会が多い方です。
シンガーソングライターや生楽器演奏家には、最高の機材ではないでしょうか。
私は購入して全く後悔していません。