音楽理論

コードの応用:sus、dim、aug、add、テンションコード解説

rainysongame
サムネイル画像:コード理論中級編 コードの応用

本記事では、いろいろなコードの解説を行います。

  • sus(サス)
  • dim(ディミニッシュ)
  • aug(オーギュメント)
  • add(アド)
  • テンション

などなど、サウンド付きで丁寧解説!

本記事を読めば、コードの記号から構成音を導き出せるようになります。
コードの使い方もバッチリです!

シリーズ構成

本記事はシリーズ記事で、コード理論中級編の一記事目です。

内容が難しいと思われた方は、前の記事をご覧ください。

この記事を読むためのおさらい

コードは、3音以上の違う高さの音の重なりのことで、ローマ字と数字で示されます。コードが表しているのは構成音だけで、音の重ね方は自由です。

コードの繋がりをコード進行と言い、コード進行を作るには、まずキーを決める必要があります。

キーに合うコードであるダイアトニックコードは、五度圏表で簡単に見つけられます。決めたキーを中心に扇形に囲うだけです。

五度圏表
五度圏表(タップで大きく)
五度圏表の使い方 Key=Cとした場合 Key=C#mとした場合
選んだキーを中心に扇形に囲もう。

【印刷用】五度圏表(資料付き)ダウンロード

ダイアトニックコードには、主役のトニック、主役が好きなドミナント、脇役のサブドミナントなど、コードの役割があります。

Key=Cのダイアトニックコードの役割

【重要】音程:コードの理解に必須!

まずコードの理解のため、音程を理解しましょう。

音程とは、二つの音の高さの間隔のことで、半音何個分かで数えます。そして、その半音の個数に応じた名前があり、「○度」と表記します。

次の表で、C(ド)とG(ソ)の音程を見てみましょう。

音程を表で表記した画像

Cから見てGは、半音7個分上の高さで、音程は完全五度の関係にあります。オクターブ上のGだと、完全十二度と数えます。

楽譜:ドとソは完全五度、完全十二度

音程を記号(数字)で表すと、「Cから見た時にGは、P5(完全五度)である。と表現できます。

音程を記号で表した表
下段に増えた、記号の行を見てみましょう。

Pは、Perfectの頭文字で、完全○度を表します。Mは、Majorの頭文字で長○度mは、minorの頭文字で短○度です。

例えば、P5=完全五度M3=長三度m3=短三度を表します。ただし本記事では分かりやすいように、P1(完全一度)をR(ルート)と表現します。

それでは、音程の数え方が分かったところで、コードの解説です!

参考

PとM(完全と長)がついた音名を順にたどると、C・D・E・F・G・A・B(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)と、メジャースケールになります。

三和音のコードの解説

3つの音から成り立つ三和音コードは、6種類あります。

  1. M:メジャー
  2. :マイナー
  3. sus4:サスフォー
  4. sus2:サスツー
  5. aug:オーギュメント
  6. m(♭5):マイナーフラットファイブ

メジャーとマイナー

楽譜:C(ドミソ)、Cm(ドミ♭ソ)

メジャーコードとマイナーコードの違いは、真ん中に挟まれた3度の音だけです。M3(長三度)、m3(短三度)かによって、音の明暗が変わって聞こえます。

●メジャーコードとマイナーコードの違い。Rは共通で3度だけが違う!P5も共通。

メジャー、マイナーコードは、全てのコードの基本です。構成音を覚えましょう!

  • メジャーコード:構成音が、R・M3・P5
  • マイナーコード:構成音が、R・m3・P5

sus(サス)の解説

sus4(サスフォー)とsus2(サスツー)は、RとP5はそのままで、三度の音を変化させます。

sus4は、三度を完全四度に変更。sus2は、三度を長二度に変更

音の明暗を左右する三度の音がなくなり、メジャーでもマイナーでもない、無機質・神秘的な音に変化します。

楽譜:C(ドミソ)Csus4(ドファソ)Csus2(ドレソ)

susというのは、Suspended(吊るされた)という意味の言葉から来ています。長三度・短三度を問わず、三度の音がP4やM2の音に変化することを表します。

  • sus4(サスフォー):三度の音を、P4(完全四度)にする。
  • sus2(サスツー) :三度の音を、M2(長二度)にする。

susの使い方① キーの主役Ⅰの音を変化させる。

イントロで使われることが多いのが、次の進行です。

コード進行:Csus4→C→Csus2→C

sus2を、add9にして使うことも多いです。

コード進行:Csus4→C→Cadd9→C

add9は、本記事中盤で解説します。

susの使い方② ドミナントⅤの音を変化させる。

キーの主役トニックに向かいたくなるドミナントV。Key=Cで言えば、Gです。このGをGsus4にすることで、印象をおだやかにすることができます。

コード進行:FM7→Gsus4→G→C

aug(オーギュメント)の解説

augは、メジャーコードのP5(完全五度)を、半音上げます。

augは、完全五度を増5度に変更する。
楽譜:Caug(ドミソ#)

ちょっと間の抜けたサウンドが特徴です。

augmentは「増加させる」という意味です。Caugを、C+と表現することもあります。

  • aug(オーギュメント):P5を、#5(増五度)にする。
参考

Caugの構成音の間隔は、半音3つずつです。

表:augは、構成音が半音3つずつ離れている

Eから始まるEaugの構成音は、Caugと同じく、E・G#・Cになります。そして、G#augの構成音は、G#・C・E。

Caug・Eaug・G#augの構成音は全て同じです。入れ替えて使うと、意外な変化が生まれる可能性があります。

augの使い方① クリシェの中で使う。

クリシェとは、同じコードの構成音の中で一音だけ変化させ続けるコード進行です。

コード進行:C→Caug→C6→C7

augの使い方② ドミナントを変化させる。

ドミナントの機能を持つコードをaugに変化させることができます。

コード進行:Am7→FM7→G→CM7を変更して、Am7→FM7→Gaug→CM7に。
参考

なぜ変化させられるのかというと、後述するテンションとの関係があります。ドミナントコードは、色々なテンションを加えられます。

テンション♭13と、+5(増五度)は同じ音なので、ドミナントコードにテンションを加えたと同じになるわけですね。

ちなみに、セカンダリードミナントもaugに変化させられます。

m(♭5)マイナーフラットファイブの解説

m(♭5)は、マイナーコードのP5を半音下げたコードです。

表:m(♭5)はP5を♭5に変更する。
楽譜:Cm(♭5)(ドミソ♭)

不安定な音ですね。減五度の音程は、強烈に不安定です。

  • ♭5(フラットファイブ):P5を半音下げ、♭5にする。

m(♭5)の使い方

m(♭5)単体で使われるより、m7を加え、もっと不安定なサウンドのm7(♭5)として使われることの方が多いです。

コード進行:Bm7(♭5)→E7→Am

セカンダリードミナントマイナーキーの記事で詳しく解説しています。

m(♭5)の別表記:dim

m(♭5)の別表記に、dim(ディミニッシュ)を使うことがあります。

Cm(♭5)=Cdim です。

しかし、Cm7(♭5)≠Cdim7なのには注意が必要です。

表:Cm(♭5)、Cdim、Cm7(♭5)、Cdim7の構成音を比較。

本記事下部dim7の項で、説明します。

参考

別表記として、Cm-5、Cm(-5)という書き方もあります。

コード記号のおさらい

以上が、6種類の三和音コードです。

  • メジャーコード:構成音が、R・M3・P5。
  • マイナーコード:構成音が、R・m3・P5。
  • sus4(サスフォー):3度の音を、P4(完全四度)にする。
  • sus2(サスツー) :3度の音を、M2(長二度)にする。
  • aug(オーギュメント) :P5を半音上げ、#5(増五度)にする。
  • ♭5(フラットファイブ):P5を半音下げ、♭5(減五度)にする。
表:C、Cm、Csus4、Csus2、Caug、Cm(♭5)の構成音比較

四和音以上のコード表記

この記事で解説する四和音以上のコード表記は、下記のとおりです。

  1. 基本の四和音:M7、7、m7、m7(♭5)
  2. :シックス
  3. テンション
  4. add:アド
  5. dim7:ディミニッシュセブンス
  6. on・/ :オンコード・スラッシュコード
  7. omit:オミット

四和音以上のコードは、組み合わせが無数にあります。そのため、覚えるのが大変そうに思えるかもしれません。

しかし、コード表記の法則を覚えれば、どんなコードでも構成音を把握できるようになりますよ!

基本の四和音の表記:M7、7、m7、m7(♭5)

楽譜:CM7(ドミソシ)C7(ドミソシ♭)Cm7(ドミ♭ソシ♭)CM7(ドミ♭ソ♭シ♭)
CM7 → C7 → Cm7 → Cm7(♭5)

基本の四和音は、以上の4つ。ここで覚えるのは、2つの記号

  1. M7(メジャーセブンス):M7(長七度)の音を加える。
  2. 7(セブンス):m7(短七度)の音を加える。

この2つの法則に則って、基本の4コードを見ていきましょう。

M7:メジャーセブンスコード

コードにM7が付いていたら、M7(長七度)の音を加えます。CM7であれば、次のようになります。

表:CM7は、CにM7を加える。
楽譜:C(ドミソ)CM7(ドミソシ)

おしゃれ・大人・都会的な音にしたい場合は、積極的にM7を使いましょう。

ダイアトニックコードの中では、ⅠとⅣに使えます。(key=Cでは、CM7・FM7)

7:セブンスコード

コードに7が付いていたら、m7(短七度)を加えます。C7は次のようになります。

表:C7は、Cにm7を加える。
楽譜:C(ドミソ)C7(ドミソシ♭)

土臭い印象の音ですね。

C7の構成音に含まれるE(ミ)とB♭(シ♭)は、減五度の関係です。減五度の音程は不安定な音が特徴です。そのためセブンスコードは、安定したコードに向かいたくなる性質があります。

向かう先は、五度圏表の左隣のコードです。

五度圏表:セブンスコードは左隣のコードに向かいたくなる。
C7なら、Fに向かいたくなる。
C7はルートがFのコードに向かいたくなる!

この法則を使っているのが、セカンダリードミナントというテクニックになりますが、それはまた別の記事でご紹介します。

m7:マイナーセブンスコード

コードに7が付いていたら、m7(短七度)を加えるという原則の通り、Cm7は、Cmにm7(短七度)を加えます。

表:Cm7は、Cmにm7を加える。
※注意:コードCにm7を加えるのではありません。コードCmにm7を加えます。
楽譜:C(ドミソ)Cm7(ドミ♭ソシ♭)

Cmに比べて、Cm7は悲しさが薄らいだような印象になり、より洗練されて聞こえます。

m7(♭5):マイナーセブンスフラットファイブ

m7(♭5)は、3つに分けて考えます。

  • m :構成音が、R・m3・P5。
  •  :m7の音を加える。
  • ♭5:P5を半音下げ、♭5にする。
表:Cm7(♭5)は、Cmにm7を加え、P5を♭5に変更する。
楽譜:Cm(ドミ♭ソ)Cm7(♭5)(ドミ♭ソ♭シ♭)

ものすごく不安定な音に聞こえますね。

ダイアトニックセブンスコード

どのコードにどの7を付けられるのでしょうか。ダイアトニックコードに7度の音を付けたコードを、ダイアトニックセブンスコードと言います。

五度圏表の位置関係で覚えてしまいましょう。

ダイアトニックセブンスの位置は、五度圏表の位置で覚えてしまおう。

それでは応用編にまいります!

次のコードの構成音はどうなるでしょうか。

C7sus4の構成音は?

表:C7sus4は、Cの3度をP4に変更し、m7を加える。
楽譜:C(ドミソ)Csus4(ドファソ)C7sus4(ドファソシ♭)

オシャレながらも土臭い。絶妙な音です。

使い方としては、「susの使い方②ドミナントⅤの音を変化させる。」と同じです。聴き比べてみましょう。

コード進行:FM7→Gsus4→G→C
コード進行:FM7→G7sus4→G7→C

やはり7が付いている方が、Cに向かうパワーが高まっていますね。

CmM7の構成音は?

CmM7といきなり表記されると、ギョッとなりますよね。

でも、実は単純! CmにM7を加えるので、次のようになります。

表:CmM7は、CmにM7を加える。
楽譜:Cm(ドミ♭ソ)CmM7(ドミ♭ソシ)

音はかなり奇抜です。こちらもクリシェで使うことが多いです。

コード進行:Am→AmM7→Am7→Am7(13)→FM7→Bm7(♭5)→E7

また、サブドミナントマイナーというテクニックや、マイナーキーの曲の中で、mM7コードが使われることがあります。

6(シックス)の解説

6は、M6(長六度)の音を加えます。

表:C6は、CにM6を加える。
楽譜:C(ドミソ)CM6(ドミソラ)

少し気だるげな音ですよね。

ちなみに、C6を転回すると、Am7になります。

楽譜:C6(ドミソラ)Am7(ラドミソ)ラを転回したら、Am7に!

だから、少しマイナー感を感じるんですね。

  • 6(シックス):M6(長六度)の音を加える。

M6(メジャーシックス)の使い方

ダイアトニックコードのメジャーコード、Ⅰ・Ⅳ・Ⅴに加えて、少しアンニュイな雰囲気を醸し出すことができます。

コード進行:Cadd9→F6→G6→Am7→C6
曲の最後のコードで、6を加えて終わるのも味があります。

m6(マイナーシックス)の使い方

m7(♭5)を転回させ、m6に変化させられます。

コード進行:Bm7(♭5)→E7→Am7をDm6→E7→Am7に変化!

Bm7(♭5)とDm6は、構成音がまるっきり同じなんですね。

楽譜:Bm7(♭5)(シレファラ)のシを転回したら、Dm6(レファラシ)に!

変化させられるコードは、五度圏表の位置関係で覚えましょう。

五度圏:m7(♭5)とm6の位置関係

テンションの解説

テンションコードは、基本の四和音コードに、さらに音を重ねたコードです。特殊な例外を除くと、テンションは七種類あります。

  1. ♭9 (フラットナインス)   :短9度
  2. 9  (ナインス)       :長9度
  3. #9 (シャープナインス)   :増9度
  4. 11 (イレブンス)      :完全11度
  5. #11 (シャープイレブンス)  :増11度
  6. ♭13(フラットサーティーンス):短13度
  7. 13 (サーティーンス)    :長13度
表:テンションは、オクターブ上に7種類ある。
記号の下段に、7種類ありますね。

CM7(13)であれば、CM7に長十三度A(ラ)の音を付け加えます。

楽譜:CM7(ドミソシ)CM7(13)(ドミソシラ)

テンションを足すと、オシャレ・寂しい・無機質な感じなど、様々なイメージを込められます。

  • テンション:括弧内の度数の音を加える。

テンションコードを短縮して書くこともできます。例えば、CM7(9)=CM9CM7(13)=CM13G9=G7(9)とも表せます。この記事では、CM7(9)の記載方法でいきます。

テンションの重ね方は、自由!

「コードは構成音だけを示し、重ね方は問わない」という原則があるので、テンションを使う時にも、構成音は自由に並び替えできます!

CM7(13)の構成音を並び替えてみます。

楽譜:CM7(13)(ドソラシミ)CM7(13)(ドソシミラ)ボイシングの工夫
右は、13のA(ラ)の位置をトップノートに持ってきた。

印象がガラリと変わりますよね。ボイシング(コードの重ね方)は、ミュージシャンのセンスと言える部分です。

【大事!】テンションの選び方

7種類もテンションがあると、どのコードにどのテンションを付けられるのか困ります。そんな時に便利なのが、アヴェイラブルテンションです。

アヴェイラブルテンションは、コードの機能(役割)を変えることなく追加できるテンションのことです。次の表でCM7に追加できるテンションを見てみましょう。

CM7には、9度D(レ)・13度A(ラ)が付けられます。どちらも付けると、CM7(9,13)というコードになりますね。

楽譜:CM7(ドミソシ)CM7(9,13)(ドミソシレラ)

メインメロディーとぶつかったりしない限りは、この表にのっているテンションを自由につけることが出来ます。

次のコード進行を、アヴェイラブルテンションで味付けしてみます。

コード進行:Am7→FM7→G7→CM7にテンションをつけてみると、Am7(9)→FM7(#11)→G7(9,13)→CM7(9)

他のキーのアヴェイラブルテンション表を参考にする場合は、下記のページをご覧ください。

あわせて読みたい
アヴェイラブルテンション表:コードに自由にテンションを付ける!
アヴェイラブルテンション表:コードに自由にテンションを付ける!

ドミナントVに付けられるテンション

ドミナントのV7(Key=Cでは、G7)には、たくさんのテンションを付けられます。G7の行を見てみましょう。

G7の列には、スケール以外の音も載っていますが、全部加えることができます。

ドミナントの役割は、不安定から安定へ向かう原動力。ですから、どんなにテンションを付けて不安定な音になっても、トニックに向かう限りは問題ありません。

コード進行:F6→G7(♭9,♭13)→CM7(9,13)

ただし、注意点も。

G7(9,#9)やG7(♭13,13)のように、半音違いの同音程テンションは原則禁止です。不協和音過ぎて、成り立たなくなってしまうためです。(半音違いではないG7(♭9,#9)はOK。)

テンションを入れる時に、7度の音は必須なの?

7度の音(M7・m7)が付いた上で、テンションを加える場合は多いです。

しかし、7度の音なしにテンションを加えることも可能です。そういう時には、次に説明するaddという表記を使います。

add(アド)の解説

addは、add9・add11・add13など、数字(度数)と組み合わせて使われます。

例えば、Cadd9は、次のようになります。

表:Cadd9は、Cに9を加える。
Cに9(長九度)を加えている。
楽譜:C(ドミソ)CM7(9)(ドミソシレ)Cadd9(ドミソレ)
  • add(アド):数字(度数)の音を加える。

例えば、CM7(9)だとオシャレすぎる時、Cadd9にすれば、オシャレ感はそこそこに、かっこよくなります。

コード進行:CM7(9)→FM7→G→Am7 Cm7(9)だけオシャレすぎるので、Cadd9に変更。CM7(9)→FM7→G→Am7 Cm7(9)
*Gが特に浮いて聞こえるので、Gにテンションを付けるのもありです。

テンションを付けすぎたコードがポツンと紛れ込むと、違和感を生みます。add9はそういった時の味方です。

また、マイナーコードにadd9を使うと、とても怪しげでかっこよくなるので、ぜひ活用しましょう。

コード進行:Amadd9→Amadd9/C→FM7(#11)→Esus4→E

add13は、6と構成音が同じ

表:C6とCadd13は、表記が違っても、構成音は同じ。

コードは「構成音だけを示し、重ね方は問わない」という原則があるので、違いはありません。使われることが多いのは、断然6の表記でしょう。短いですからね。

dim7(ディミニッシュセブンス)の解説

dim7は、「diminish=減る」という意味から来ているコード名です。

dimがあるときには、R以外の音(M3・P5・m7)を半音ずつ下げます。例えば、Cdim7は、C7のR以外の音を半音ずつ下げる。と考えます。

表:Cdim7はC7のルート以外の音を半音ずつ下げる。

コード表記上は7と書いているのに、dimにより半音下がって、M6が含まれることに注意しましょう。(*注 楽典上では長六度ではなく、減七度と表現するのが正しいです。)

楽譜:C7(ドミソシ♭)Cdim7(ドミ♭ソ♭ラ)

不安定な減五度音程「C・G♭」「E♭・A」と2組含まれているため、物凄く不安定な音が特徴です。

  • dim(ディミニッシュ):M3、P5、m7の音を、半音ずつ下げる。
参考

dim7もaugと同じく、構成音の間隔が一定です。

dim7の構成音は、半音2つ分ずつ離れている。

そのため、

  • Cdim7 = E♭dim7 = G♭dim7 = Adim7
  • D♭dim7 = Edim7 = Gdim7 = B♭dim7
  • Ddim7 = Fdim7 = A♭dim7 = Bdim7

と、構成音が同じ4つのdim7が、それぞれ3組あります。

dim7の詳しい解説は、中級編6記事目で行います。ここでは基本的な使い方を先にご紹介!

dim7の使い方① 経過コードとして使う。

dim7は、ルートが全音離れているコードの橋渡しをすることができます。

これをパッシングディミニッシュと言います。

dim7の使い方② ルートを移動させないコード変化

次に紹介するのは、dim7のオグジュアリーアプローチという手法です。すぐにCM7に行くかと思いきや、一旦Cdim7に寄り道するパターンです。

コード進行:Dm7(9)→G7(♭13)→Cdim7→CM7
  • Ⅰdim7→Ⅰ6(Cdim7→C6)
  • Ⅴdim7→Ⅴ7(Gdim7→G7)

などのバリエーションも試してみましょう。

dim7の使い方③(①の応用)経過先を転回コードに。

①の応用で、経過先のコードを転回コードにするパターンです。(転回コードは次の項で説明します。)

コード進行:CM7→C#dim7→G7/D→G7(♭13)

on・/ (オンコード)の解説

オンコードは、次のように表記されます。

楽譜:C/G・ConG(ソドミ)
どちらも「シーオンジー」と呼ぶ。「ジーぶんのシー」と呼ぶ人も。

C/Gは、最低音がGのCコード、という意味です。

  • on ・ /(オンコード):一番低い音を指定する。

オンコードは、スラッシュコードや分数コードとも呼ばれますが、全て同じものです。

オンコードの使い方① 転回コードを作る。

コード進行:D/F#→GM7→A→Bm7 ベースがなだらかに上行する進行に。

コードD/F#の構成音は、D・F#・Aです。構成音のF#を一番低い音に持ってくることで、ベースがなだらかに上行するスムーズな進行を作ることができます。

オンコードの使い方② ドミナントに活用する。

Ⅰのコードへ進む力を持つドミナントVを、他のコードに差し替える時にもオンコードが使えます。

Key=CのドミナントであるGを差し替えてみましょう。

コード進行:FM7→G7→CM7、FM7→F/G→CM7、FM7→Dm7/G→CM7

オシャレ感を感じるのに、きちんとCM7に向かう力も感じます。F/G・Dm7/Gを、Gをルートに表記することもできます。

楽譜:G7(ソシレファ)、F/G・G7sus4(9,omit5)(ソファラド)、Dm7/G・G7sus4(9)(ソレファラド)

G7sus4(9)より、Dm7/Gの方が直感的ですよね。特に鍵盤だと左手でGを、右手でDm7を弾くことになり、演奏しやすい表記と言えます。

ドミナントとして使うオンコードは、五度圏表の位置で覚えましょう。

五度圏表:ドミナントと差し替えられるオンコードの解説。サブドミナントの最低音をVにすると、ドミナントとして使える!

オンコードの使い方③ ペダルポイントとして使う。

ペダルポイントは、コードが変わっても、同じ音を使い続けるテクニックです。

コード進行:C→CM7→F/C→G/C

この進行のように、低音部で同じ音を使い続けることを、ベースペダルポイントと言います。

参考

バンド・編曲での話をします。

オンコード標記の際、最低音はベースに任せて、ギターやピアノなどの上モノはベース音を弾かないこともよくあります。(例えば、G/Cの場合、ベースがCを弾き、ギターやピアノはただのGを弾きます。)

弾き語りでは、ギターもピアノもきちんとG/Cを弾きましょう。

omit(オミット)の解説

omit(オミット)は、「省略する」という意味です。CM7(9,omit5)のように、数字と組み合わせて使い、度数の音を省略することを表します。

楽譜:CM7(9)(ドミソシレ)CM7(9,omit5)(ドミシレ)
表:CM7(9,omit5)は、CM7(9)からP5を省略する。

少しスッキリとした音になりましたね。

  • omit(オミット):度数の音を省略する。

omitに続く数字は、1・3・5のどれかです。

omit1R(ルート)を省略。表記上の出番は少ない。
「ルートをベースに任せ、ギターはomit1で弾く」などで使う。
omit3M3・m3を問わず、3度を省略。使う頻度は多い。
音の明暗がなくなり、スタイリッシュな印象になる。
omit5P5を省略。重厚感を減らしてスッキリ!
音を削りたい時の第一候補。使う頻度はかなり多い。

Cadd9(omit3)とCsus2の構成音は同じ。

表:Cadd9(omit3)とCsus2の構成音は同じ。

2度を足すのか、9度を足すのか、という違いがあるように思えますが、「コードは構成音だけを示し、重ね方は問わない」という原則がありますから、コードとしては全く同じものです。

コード表記のまとめ

本記事に出てきたコード表記をまとめました。

困ったことがあったら、この表をご活用下さい。

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まとめ

コードの応用の記事は以上です。

大変長い記事だったと思います。おつかれさまでした!

一度に覚えなくても大丈夫です。

新しい曲に新しいコードを一つ使うだけでも、少しずつ上達できます! 何度もこの記事をご覧になり、少しずつ日々の活動に活かして頂ければと思います。

次の記事は、ドミナント徹底攻略です! ドミナントといえば、Key=CにおけるコードG。Gを色々と変化させますよ~!

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