音楽理論

ドミナント徹底攻略! バリエーション強化で、コード進行を彩る!

rainysongame
サムネイル画像:コード理論中級編 ドミナント徹底攻略!

コード進行の中で、トニックに進む役割を持つドミナント

Key=CでドミナントはコードGですが、次のような変化ができます。

  • テンション:G6(9)
  • sus4:G7sus4
  • サブドミナントを使ったオンコード:FM7/G

詳しく解説していきますよ!

シリーズ紹介

本記事はシリーズ記事で、コード理論中級編の二記事目です。

内容が難しいと思われた方は、前の記事をご覧ください。

この記事を読むためのおさらい

コードは、3音以上の違う高さの音の重なりのことで、ローマ字と数字で示されます。コードが表しているのは構成音だけで、音の重ね方は自由です。

コードの繋がりをコード進行と言い、コード進行を作るには、まずキーを決める必要があります。

キーに合うコードであるダイアトニックコードは、五度圏表で簡単に見つけられます。決めたキーを中心に扇形に囲うだけです。

五度圏表
五度圏表(タップで大きく)
五度圏表の使い方 Key=Cとした場合 Key=C#mとした場合
選んだキーを中心に扇形に囲もう。

【印刷用】2021/1/28 五度圏表(資料付き)ダウンロード

ディグリーネーム(度数表記)を覚えることで、移調した時にもコードを把握しやすくなります。

ディグリーネーム対応表

本記事内には、sus4、aug、テンションなどのコードが出てきます。分からない方は、コードの応用の記事も参照下さい。

ドミナントの基本

そもそもドミナントって?

今回のテーマであるドミナントとは、そもそも何でしょうか?

ダイアトニックコードには、主役のトニック、脇役のサブドミナント、主役を好きなドミナント、というコードの役割があります。

五度圏表の配置に則った、コードの役割は次のようになります。

コードの役割:Key=Cの場合は…… サブドミナントF・Dm、トニックC・Am・Em、ドミナントG・G7

ドミナントの後にはトニックであるCに向かいたくなる性質があります。

コード譜:FM7 → G7 → CM7

なぜ、ドミナントがトニックに向かいたいのかというと、ドミナントの構成音の中に、減五度の不安定な音程が含まれているためです。

解説の楽譜:G7の構成音シとファは減五度の関係でとても不安定。Cに進み、ドとミの長三度関係で、安定した響きに解決!

減五度は、全音3つ分(半音6つ分)の音の関係のため、トライトーンとも呼ばれます。

ドミナントの代理コードって?

コードの役割が同じコード同士は差し替え可能です。例えば、

  • トニック:C ↔ Am ↔ Em
  • サブドミナント:F ↔ Dm

です。こうして差し替えられるコードを代理コードと呼びます。

一方、今回のテーマであるドミナントVは、ダイアトニックコードの中に明確な代理コードがありません。 Ⅶm(♭5)にも、トライトーンは含まれていますが、トニックに向かう力が強いとは言えないためです。

コード譜:FM7 → Bm7(♭5) → CM7
間違っているわけではありませんが、少し肩透かし感があります。

ドミナントは、バリエーション豊か!

代理コードの選択肢のないドミナントVに対して、不便・不満を感じることもあるかもしれません。

しかし、実はドミナントVはバリエーション豊かに変化可能で、作曲者の腕が試される部分でもあります。

この記事では、下記バリエーションを紹介します。

  1. 6・9系
  2. sus4系
  3. サブドミナントを使ったオンコード
  4. テンション
  5. 裏コード

なお、本記事では理解のしやすさのため、ドミナントVを、Key=C:コードGとして解説していきます。

6・9系でオシャレに

手軽にオシャレにできるのが、6への変化です。

コード譜:FM7 → G6 → CM7
G6にしたことで、トップノートをすべてE(ミ)にできた。

9(ナインス)を加えるのもいいですね。

コード譜:FM7 → G6(9) → CM7
若干、けだるげさが増した。

ただのadd9にしてもいいです。

コード譜:FM7 → Gadd9 → CM7
FM7のボイシングを変えたことで、トップノートが下降している。

歌のメロディーや前後のコードによって、6・6(9)・add9を試してみて下さい。

sus4系の変化

sus4(サスフォー)に変化させるのも定番です。明暗を左右する3度の音がなくなるため、少し無機質・無感情な印象になります。

コード譜:F → Gsus4→ G → C
コード譜:FM7 → G7sus4 → G7 → CM7

sus4のまま、トニックに向かってもOKです。

コード譜:FM7 → G7sus4 → CM7

サブドミナントを使ったオンコード

サブドミナントの最低音をVにすると、ドミナントの機能を持つコードとして使うことができます。

コード譜:FM7 → F/G → CM7

FM7/Gにしてもおしゃれです。

コード譜:FM7 → FM7/G → CM7

Fの代理コード、Dm7の最低音をGにしてもOK。

コード譜:FM7 → Dm7/G → CM7

前のコードをDm7にしておいて、最低音だけを変化させる使い方も効果的。

コード譜:Dm7 → Dm7/G → CM7

なだらかな変化になりますよね。トゥーファイブ(Ⅱm→V7→ⅠM7)の流れを使っているため、使用頻度の高い変化です。

Gをルートにして表記すると……

表:F/G → G7sus4(9,omi5):FM7/G → G7sus4(9,13,omit5):Dm7/G → G7sus4(9):Dm/G → G7sus2

F/G、FM7/G、Dm7/Gは、G7sus4にテンションのついた形となります。sus4と同じ感覚で使うことができます。

一番下のDm/Gは、G7sus2の形となります。

コード譜:FM7 → Dm/G → CM7

印象がそれぞれ異なるので、表現したい音を選択できるようになると良いですね!

ドミナントにテンションを付けよう!

テンションは、♭9・9・#9・11・#11・♭13・13の7種類があり、2グループに分けられます。

  • ナチュラルテンション:9、11、13
  • オルタードテンション:♭9、#9、#11、♭13

その内、ドミナントのGに付けられるテンションは以下の表の通りです。

*ナチュラルテンションは水色で表示

ナチュラルテンション

G7のナチュラルテンションは、9(A)、13(E)の2つです。

どちらも、Cメジャースケール(C・D・E・F・G・A・B)に含まれています。そのため、コード進行中に自然に組み込むことができます。

組み合わせとしては3つですね。

  • G7(9)
  • G7(13)
  • G7(9,13)

響きとしては、かなりオシャレな印象になります。

コード譜:FM7 → G7(9,13) → CM7 → Cadd9(13)
他のコードにもテンションを使って響きを揃えました。

オルタードテンション

オルタードテンションは、Cメジャースケール以外の音を使います。

G7のオルタードテンションは、A♭・A#・C#・E♭

そのため、コード進行中に急に影がかかったような不安定感が生まれ、トニックでの解決がより強調される印象となります。

コード譜:FM7(13) → G7(♭13) → CM7

オルタードテンションも複数組み合わせてもOKです。

コード譜:FM7(13) → G7(♭9,♭13) → CM7 → CM7(9,13)

ナチュラル・オルタード混合

ナチュラルテンションとオルタードテンションを、どちらも合わせて使っても大丈夫です。

コード譜:FM7 → G7(#11,13) → CM7(13)

ナチュラルテンションにより、オルタードテンションの不安定感が少し紛れたような印象でしょうか。

テンションを加える際には、半音違いのテンションを同時に使用することは原則できません。例えば、G7(♭9,9)やG7(♭13,13)は音がぶつかりすぎて、進行を妨げるとされています。

コード譜:FM7 → G7(♭13,13) → CM7(13)
禁止事項を試してみると……。

この例のボイシングでは、トップノートが13、半音違いで♭13が入っています。「気持ち悪い!」「そうでもない。」いう方、それぞれいるでしょう。

理論はあくまで理論。自分が良いと思う音を追求していきましょう。

また、他のキーについては、下記の記事をご覧下さい。

あわせて読みたい
アヴェイラブルテンション表:コードに自由にテンションを付ける!
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augへの変化

aug(オーギュメント)の構成音は「R・M3・#5」です。

#5♭13と同じ音なので、G7(♭13)とGaugは、似たコードと言えます。

解説の楽譜:G7(♭13)の5度、7度を省略するとGaugになる。

というわけで、GaugやGaug7をドミナントとして使うことができます。

コード譜:F → Gaug → C

ⅣmやⅡm7(♭5)のオンコード

先程、F/GやDm7/Gを紹介しましたが、Fm7/G・Dm7(b5)/Gなども、良い響きになります。

コード譜:FM7 → Fm7/G → Cadd9
コード譜:Dm7 → Dm7(♭5)/G → CM7

なぜ変換できるのかというと、G7sus4にテンションを付加した形となっているためです。

表:Fm/G → G7sus4(♭9,omi5):Fm7/G → G7sus4(♭9,13,omit5):Fm7(♭5)/G → G7sus4(♭9,♭13,omit5):F7/G → G7sus4(9,♭13,omit5):Dm7(♭5)/G → G7sus4(♭9)
色々変化可能!

G7sus4に付けられるテンションは次の通りです。

色々と組み合わせて、試してみましょう。

【上級編】裏コード

最後に紹介するのが裏コード(サブスティチュートドミナント)です。

裏コードは、五度圏表の反対側に位置するコードのことを言います。

G7の裏コードを五度圏表で解説:G7 → D♭7

G7の裏コードはD♭7です。裏コード同士は、減五度音程(トライトーン)が共通しているのが特徴です。

解説の楽譜:G7とD♭7は、減五度音程(トライトーン)のシとファが共通している。Cで解決!

実際に裏コードに変換してみます。

コード譜:Dm7 → G7 → CM7:裏コードに変換してDm7 → D♭7 → CM7
D→D♭→Cという半音下降の流れ。

このように、トゥーファイブ進行中に裏コードを使用すると、ルートが半音下降する進行を作ることができます。

また、Ⅱm7も裏コード変換できます。(五度圏表で確認すると、Dm7の裏コードはG#m7です。♭表記に直したらA♭m7に。)

コード譜:A♭m7 → D♭7 → CM7
コード譜:A♭m7 → G7 → CM7
Ⅱm7だけ変換してみると……。

裏コードに使えるテンションは次のとおりです。

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まとめ

ドミナント徹底攻略はここまでです。おつかれさまでした!

記事の上部から下部に進むにつれて、活用が難しいと感じるバリエーションもあったのではないでしょうか?

最初は、6・9系、サブドミナントのオンコード、ナチュラルテンションの活用が手軽で効果的です。ぜひお試し下さい。

実は、この記事で紹介していない、ドミナントとしてのdim7などもあります。シリーズを順番に読んでいけば、確実に身についていきますので、次の記事へ進んでいきましょう!

次の記事では、ドミナントの応用であるセカンダリードミナントを解説します。

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