ドミナントモーションの基本・応用・一覧まとめ
![ドミナントモーションの基本・応用・一覧まとめ:サムネイル画像](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/00_dominant_motion_thum.png)
ドミナントモーションは、ドミナント(不安定な)コードから、トニック(安定している)コードへの動きのことを言います。
ドミナントモーションを理解すると、コード進行を自由に操れる範囲が広がります。
- コード進行のバリエーションが増える!
- 自由にキーを転調できる!
- コード進行の読解力アップ!
記事の最後には、ドミナントモーション一覧表が見られます。
ドミナントモーションとは
ドミナントモーションの基本
Key=Cにおいてのドミナントコードは、G7です。そして、G7が向かいたくなる先は、コードCですよね。
セブンスコードは、五度圏表の左隣のコードに向かいたくなる特徴があるのです。
![五度圏表で、強進行・ドミナントモーションを表した図](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2020/08/02_01_7th.png)
この動きをドミナントモーションや強進行と言い、「G7からCに解決した」と表現します。
しかし、ドミナントモーションは五度圏表左回りの動きに留まらず、色々なパターンがあり、本記事ではそれらをまとめています。
秘密はトライトーンにあり
ところで、なぜ「G7→C」で解決したように感じるのでしょうか?
その秘密は、セブンスコードの中にあるトライトーンの音程にあります。
トライトーンは全音3つ分の音程(増四度・減五度)のことを言い、とても不安定な響きです。
コード表記で言うと、♭5・#11が、R(ルート)とトライトーンの関係になります。Bm7(♭5)・FM7(#11)を聴いてみましょう。
![Bm7(♭5)→FM7(#11):どちらもトライトーンを含んでいる。](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_01_FM7_11-3.png)
とても緊張感のある響きですよね。
セブンスコードの場合は、コードの構成音の中にトライトーンが含まれています。
![G7→C:シとファがトライトーン=とても不安定! ドとミは長三度の関係=安定した響きに解決!](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_02_G7_C-1.png)
セブンスコードの場合は、構成音R・M3・P5・m7の内、M3・m7がトライトーンの関係になります。
偽終止
ドミナントV7からⅠ以外のコードに向かうことを、偽終止と言います。特に、Ⅵmに向かうことを指す場合もあります。
Ⅴ7→Ⅵmの動きを、五度圏表で見てみましょう。
![G7→Am7:シとファがトライトーン=とても不安定! ドとミは長三度の関係=安定した響きに解決!](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_04_G7_Am.png)
トライトーンが安定した長三度へと変化しているため、解決感を感じます。
ですが、G7→Cほどの解決感はありませんね。これは、ルートの動きが解決感に大きく作用することを意味します。
やはり、五度圏表における左回りの動きは、解決感が大きく感じるのです。
裏コード:トライトーンの利用
トライトーンを利用して、ドミナントモーションを作る手法に裏コード(サブスティテュートドミナント)があります。
裏コードは、五度圏表において、中心を挟んで反対側のコードを探せば、すぐに見つかります。
![G→D♭7→C:GとD♭7のトライトーンが共通](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_06_Db7-1024x269.png)
解決感を感じますよね。
裏コードは「D♭7→C」のように、ルートが半音下がる動きになるのが大きな特徴です。
マイナーコードに対するドミナントモーション
マイナーコードに対するⅤ7も、単純に五度圏表の右隣にあるコードをセブンスコード化すればOKです。
![五度圏表:E7→Am7(Ⅴ7→Ⅰm7)Am7の右隣にあるEmをE7に変換!](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_09_E7.png)
![E7→Am:ソ#とレがトライトーン=とても不安定。](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_07_E7-1024x269.png)
しっかりドミナントモーションをかけて、解決している感じが出ていますよね。
この場合、E7は一時的にAハーモニックマイナースケール(A B C D E F G#)のコードとして使われていることになります。(詳しくは、マイナーキーの記事を参考。)
![Key=Amのダイアトニックセブンスコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2021/02/01_KeyAm_daia-1024x332.png)
また、ハーモニックマイナーには、コード機能がドミナントのdim7コードもあります。
Key=Amで言えば、G#dim7です。こちらもⅠmへのドミナントモーションをかけることができます。
![](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_08_dim7-3-1024x305.png)
「G#dim7→Am」のように、dim7コードはルートが半音上のコードにドミナントモーションをかけられます。
また、dim7は短三度を重ねているコードなので、構成音の重ね方を変えるだけで、ルートの違う別のdim7になるという特徴があります。(詳しくはdim7解説記事にて)
転回することで「Ⅱdim7→Ⅰm」というように、ルートが全音上のdim7からドミナントモーションが可能です。
![Bdim7→Am:シとファ、レとソ#がトライトーン](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_11_dim7-2-1024x232.png)
偽終止をマイナーキー目線から見ると
少し話が戻りますが、偽終止「G7→Am7」の動きを思い出しましょう。
Am7をⅠm7とした時、G7のディグリーネームはどうなるでしょうか?
![偽終止をマイナーキー目線で見ると……:G7→Am7(♭Ⅶ7→Ⅰm7)](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_10_G7-1024x335.png)
「♭Ⅶ7→Ⅰm7」という流れになっていますね。
実はこの♭Ⅶ7からⅠの流れは、メジャーキーでも解決感を感じる流れとなります。
今度は、ⅠM7:CM7に対して、♭Ⅶ7:B♭7からドミナントモーションをかけてみます。
![B♭7→CM7:レとラ♭がトライトーン](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_12_Bb7-1024x232.png)
かなり薄まってはいるものの、わずかながら解決した感じがしますよね。これも、五度圏表で見ると分かりやすいです。
B♭7が本来偽終止するのはCm7ですが、Cm7の代わりに同じルートのCM7に、ドミナントモーションをかけているというわけです。
Key=Cの時に、同主調であるKey=Cmのサブドミナントマイナー・ドミナントマイナーを借用するのはよくあることで、こちらの記事で詳しく解説しています。
ドミナントモーションのまとめ
今まで解説してきたように、ドミナントモーションはルートの流れが強く作用します。
そして、解決するのがメジャーコードかマイナーコードかは、あまり関係がありません。
- Ⅴ7→Ⅰ(Ⅰm)
- ♭Ⅱ7→Ⅰ(Ⅰm)
- ♭Ⅶ7→Ⅰm(Ⅰ)
- Ⅶdim7→Ⅰm(Ⅰ)
- Ⅱdim7→Ⅰm(Ⅰ)
これらの動きを鍵盤・ギターの指板に図にすると、下記のようになります。
![ドミナントモーションまとめ:鍵盤・ギター指板図 *ルートがCのコードに解決するコード](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_14_dominant_matome-648x1024.png)
トゥーファイブと関連コード
トゥーファイブとは
ドミナントモーションと切っても切れないのが、トゥーファイブという手法です。
Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰという流れで使われ、トゥーファイブワンとも言われます。
![Dm7→G7→CM7(Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠM7)](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/02_01_twofive.png)
この流れを五度圏表で見ると次のようになります。
トゥーファイブは、Ⅱm7→V7→ⅠM7(Ⅱm→V→Ⅰ)というコードの動きのことです。
Key=Cにおいては、Dm7→G7→CM7です。これを五度圏表で確認するとこのような動きになります。
![五度圏表でトゥーファイブを解説した図:Dm7→G7→CM7](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2020/08/04_01_IIm_V_I-1.png)
次のように考えても構いません。
![五度圏表でトゥーファイブを解説した図:Dm7→G7→CM7:分かりやすく並び替え。](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2020/08/04_02_IIm_V_I-1.png)
五度圏表において、左回りの動きをしているため、強い流れとなるわけですね。
マイナートゥーファイブ
マイナーキーのトゥーファイブをマイナートゥーファイブと言います。
![五度圏表でマイナーコードへのトゥーファイブを解説した図:Bm7(♭5)→E7→Am7](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2020/08/04_07_Am7_2nd_domi-1.png)
こうしたⅡm7(♭5)→V7→Ⅰm7の動きを、マイナートゥーファイブ(マイナートゥーファイブワン)と言います。
とはいえ、解決するのがメジャーコードかマイナーコードかは、あまり関係がないので、
- Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠM7(Ⅰm7)
- Ⅱm7(♭5)→V7→Ⅰm7(ⅠM7)
と、解決先がメジャー・マイナー、どちらでもうまくはまる可能性があります。
セカンダリードミナントとリレイテッドⅡm7
セカンダリードミナントは、ドミナントモーションを利用することで、ノンダイアトニックコードを進行に組み込むテクニックです。(こちらの記事で詳しく解説中。)
Key=Cの時、仮に目的のコードをFとすれば、Fを一時的にⅠとみなして考えます。
![五度圏表でFM7に対するトゥーファイブを解説した図:Gm7→C7→FM7](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2020/08/04_03_F_IIm_V_I.png)
Gm7→C7→FM7というトゥーファイブ進行が作れました。この進行をKey=C上で差し込めばOK。
この時、Gm7のことを、ただのⅡm7(Dm7)と区別し、リレイテッドⅡm7と呼びます。
Gm7(♭5)とした時は、リレイテッドⅡm7(♭5)と言います。
リレイテッドⅡm7の裏コード化
リレイテッドⅡm7も裏コード化することができます。
![D♭m7→G♭7→FM7](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/02_03_ura_twofive.png)
裏コード・リレイテッドⅡm7ともに裏コード化する場合もあれば、どちらか片方を裏コード化することもあります。
そして、解決するのがメジャーコードかマイナーコードかは、あまり関係がないため、
- ♭Ⅵm7→♭Ⅱ7→ⅠM7(Ⅰm7)
- ♭Ⅵm7→Ⅴ7→ⅠM7(Ⅰm7)
- Ⅱm7→♭Ⅱ7→ⅠM7(Ⅰm7)
が、導き出せました。
ⅣM7→Ⅴ7→ⅠM7
ポップスを作る上では、トゥーファイブと同じくらい頻度が高い進行が、「ⅣM7→Ⅴ7→ⅠM7」です。
![五度圏表:FM7→G7→CM7(ⅣM7→Ⅴ7→ⅠM7)](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/02_04_FGC-2.png)
マイナーキーにおいても、トゥーファイブ以外によく使われる動きがあります。
解決するのがメジャーコードかマイナーコードかは、あまり関係がないため、
- ⅣM7→Ⅴ7→ⅠM7(Ⅰm7)
- ♭ⅥM7→♭Ⅶ7→Ⅰm7(ⅠM7)
- Ⅳm7→♭Ⅶ→Ⅰm7(ⅠM7)
という流れを導き出せます。
トゥーファイブ・ドミナントモーションのまとめ
話が少し複雑になってきましたね。
これらをまとめたのが次の表となります。
![ルートがC(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_To_C_dominant_motion-1024x763.png)
これらの表に書いてある流れで、ルートがCのコードへのドミナントモーションを自由に作ることが出来ます。
例えば、
- Dm7→D♭7→CM7
- Fm7→G7→Cm7
- A♭M7→D♭7→CM7
- Dm7→Ddim7→CM7
などなど、左から順に使っていけば、Cがルートのコードに解決できます。
また、ドミナントモーションを使って転調する場合も、この表を使うことで色々なパターンを考えることができます。(転調についてはこちらの記事を参考。)
○m7(♭5)・セブンスコードは、Blackadder Chordに変換も可能なので、かなりのパターンが生まれます。(Blackadder Chordの解説記事)
下記、ルートごとのドミナントモーションをまとめています。ご活用下さい。
各ルートに対してのドミナントモーション一覧
C
![ルートがC(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/01_To_C_dominant_motion-1024x763.png)
C#・D♭
![ルートがC#(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/02_To_C_dominant_motion-1024x763.png)
![ルートがD♭(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/03_To_Db_dominant_motion-1024x763.png)
D
![ルートがD(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/04_To_D_dominant_motion-1024x763.png)
D#・E♭
![ルートがD#(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/05_To_D_dominant_motion-1024x763.png)
![ルートがE♭(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/06_To_Eb_dominant_motion-1024x763.png)
E
![ルートがE(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/07_To_E_dominant_motion-1024x763.png)
F
![ルートがF(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/08_To_F_dominant_motion-1024x763.png)
F#・G♭
![ルートがF#(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/09_To_F_dominant_motion-1024x763.png)
![ルートがG♭(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/10_To_Gb_dominant_motion-1024x763.png)
G
![ルートがG(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/11_To_G_dominant_motion-1024x763.png)
G#・A♭
![ルートがG#(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/12_To_G_dominant_motion-1024x763.png)
![ルートがA♭(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/13_To_Ab_dominant_motion-1024x763.png)
A
![ルートがA(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/14_To_A_dominant_motion-1024x763.png)
B♭
![ルートがB♭(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/15_To_Bb_dominant_motion-1024x763.png)
B
![ルートがB(Ⅰ)のコードに解決するコード一覧](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2022/02/16_To_B_dominant_motion-1024x763.png)
オシャレなコード進行の作り方|無料PDFで学ぼう!
![オシャレなコード進行の作り方サムネイル](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2021/06/osha_LP-3.png)
あなた自身で、格好良くオシャレなコード進行が作りたいなら、無料PDF「オシャレなコード進行の作り方」をご覧ください。
・コード進行の基礎から応用まで解説!
・ギターを使った作編曲能力がメキメキ向上!
・スマホ&PC、どちらでも快適に閲覧!
![わたなべ](https://watanabejunya.com/sw/wp-content/uploads/2024/03/Junya_Kao-1.png)
全55ページの超充実の内容をご用意しました。
ギターならではの、目からウロコのテクニック。
あなたのギター作曲・アレンジ能力は、格段にアップします!
まとめ
以上が、ドミナントモーションの基本・応用・一覧表です。
ドミナントモーションを制するものが、コード進行を制する!……とまでは流石に言いませんが、かなり便利に使える考え方です。
あなたの音楽活動がより楽しいものとなりますように!