dim7コードの使い方6選:基本~応用まで
本ページでは、dim7の使い方を6通り解説していきます。
上から順に解説を読むことで、応用的な使い方まで理解できるようになっています。
最終的には、次のようなコード進行を作れるようになりますよ。
シリーズ紹介
本記事はシリーズ記事で、コード理論中級編の6記事目です。
この記事を読むためのおさらい
コードは、3音以上の違う高さの音の重なりのことで、ローマ字と数字で示されます。
コードの繋がりをコード進行と言い、コード進行を作るには、まずキーを決める必要があります。
キーに合うコードであるダイアトニックコードは、五度圏表で簡単に見つけられます。決めたキーを中心に扇形に囲うだけです。
ダイアトニックコードには、主役のトニック、主役に向かいたくなるドミナント、脇役のサブドミナントなど、コードの役割があります。
ディグリーネーム(度数表記)を覚えることで、移調した時にもコードを把握しやすくなります。
マイナーキーでは3つのスケールがあり、それぞれにダイアトニックコードが存在します。
dim7とは?
dim7の構成音
dim7は、「diminish=減る」という意味から来ているコード名です。
コードにdimが付いている時には、R(ルート)以外の音(M3・P5・m7)を半音ずつ下げます。例えば、Cdim7は、C7のR以外の音を半音ずつ下げる。と考えます。
コード表記上は7と書いているのに、dimにより半音下がって、M6(長六度)が含まれることに注意しましょう。(*注 楽典上では長六度ではなく、減七度と表現するのが正しいです。)
不安定なトライトーン(全音3つ分の音程)が「C・G♭」「E♭・A」と2組含まれているため、物凄く不安定な音が特徴です。
- dim(ディミニッシュ):M3、P5、m7の音を、半音ずつ下げる。
「構成音の間隔が一定」という特徴
dim7は構成音の間隔が一定です。半音2つ分ずつ離れています。
そのため、
- Cdim7 = E♭dim7 = G♭dim7 = Adim7
- D♭dim7 = Edim7 = Gdim7 = B♭dim7
- Ddim7 = Fdim7 = G#dim7 = Bdim7
と、構成音が同じ4つのdim7が、それぞれ3組あるのが大きな特徴です。
dim7の使い方を広げるために非常に大事な特徴なので、覚えてくださいね。
dim7のギターフォーム 5つの型
使い方① マイナーキーのドミナントとして
マイナーキーにおいて、Ⅶdim7→Ⅰm7として使います。
使用例
Key=Amのコード進行を見てみます。3・4小節目に注目。
3小節目から4小節へと向かう、ドミナントモーション(解決する感じ)が分かりますか?
解説
マイナーキーには3つのスケールがあり、その中のハーモニックマイナースケールのダイアトニックコードの中には、dim7コードがあります。
コードの機能は、ドミナントです。ドミナントは、主役であるⅠ(Ⅰm)へと進みたがる性質を持っています。
ここで、一つ疑問が生まれます。通常ドミナントと言えば「Ⅴ7→Ⅰ(Ⅰm)」の流れが主流ですよね。(Key=Amで言えば、「E7→Am7」)
どうして、Ⅶdim7がドミナントとして成り立つのでしょうか?
G#dim7(Ⅶdm7)とE7(Ⅴ7)は似ている
構成音を見てみましょう。
E7(♭9)は、♭9(短九度)のF(ファ)の音が付いています。
この♭9は、アヴェイラブルテンション(コード機能が変わらずに付けられるテンション)ですから、E7(♭9)は変わらずドミナントとしての機能を持っています。
このE7(♭9)のルート音を省略したものが、G#dim7です。主役のAm(Ⅰm)に進みたがるドミナントとしての機能を持つのは納得ですよね。
使い方② ルートが半音上のコードに解決
dim7はⅠmだけでなく、ルートが半音上のコードに解決させることができます。
使用例
解決したいコードの前に、ルートが半音下のdim7を置けばOKです。
解説
dim7は、なぜルートが半音上のコードに解決させられるのでしょうか? その鍵となるのがセカンダリードミナントです。
こちらのコード進行を題材に話を進めましょう。
3小節目のDm7に対するセカンダリードミナントは何でしょうか? 五度圏表を見ると、A7なのが分かります。
それでは、C#dim7とA7の構成音を比べてみましょう。
つまり、セカンダリードミナントに♭9を付け、R(ルート)を省略したコードは、解決先のコードに対してルートが半音下のdim7になる。ということです。
これを言い換えると、
- dim7は、セカンダリードミナントの代理コードとして使える。
- dim7コードは、ルートが半音上のコードに解決することができる。
ということになります。
#や♭の表記の仕方
異名同音という言葉があります。
- C#=D♭
- D#=E♭
などのような、ピアノの黒鍵部分のことです。
dim7を使っていると、#・♭のどちらを付ければ良いのか迷うことがあります。通常、上行進行のときは#を付け、下行進行のときは♭を付けます。
ですから、次のような進行は♭表記になります。
- 上記の進行の解説です。気になる方だけお読み下さい。
-
「dim7で半音下のコードに下行できるの!?」と驚いた方もいるでしょう。この例のA♭dim7(G#dim7)はG7に解決するためのdim7ではありません。
マイナーキーフローチャートを見ると分かりやすいです。
つまり、ここでのA♭dim7(G#dim7)は、ドミナント→トニックマイナーという定番の動きではなく、ドミナントからドミナントマイナーという脇役に移動した、ということです。
理解にはマイナーキーの知識も必要なので、マイナーキーの解説もお読み下さい。
使い方③ パッシングディミニッシュ
パッシングディミニッシュは、全音離れているダイアトニックコードの間を、dim7で繋ぐ手法です。
使用例
1~3小節目まで、ルートが半音ずつ上行しているのを確認しましょう。
解説
dim7の使い方として、一番有名なのがパッシングディミニッシュではないでしょうか。
内容としては、②セカンダリードミナントの代理コードとして使用と、ほぼ変わりません。
2小節目のセカンダリードミナントの代理コードとして、dim7を使うと……
このように、dim7コードと、前後を含めた3コードのルートが半音上行していればパッシングディミニッシュと呼ぶということですね。
使い方④ dim7を平行移動させる
dim7コードの構成音が、全音ずつ離れているという特徴を利用した平行移動です。
使用例
2小節目の動きを確認してみましょう。
解説
dim7の、構成音の間隔が半音2つ分ずつという特徴を思い出しましょう。
そのため、
- Cdim7 = E♭dim7 = G♭dim7 = Adim7
- D♭dim7 = Edim7 = Gdim7 = B♭dim7
- Ddim7 = Fdim7 = G#dim7 = Bdim7
という、構成音が同じ3組のdim7が存在します。
ルートを3半音ずらしたdim7は、構成音は変わりません。
この進行については、本来3小節目のDm7に解決するのはC#dim7です。そこから、「C#→E→G」と、3半音ずつ上行させてから、Dm7(9)に解決させている、というわけですね。
ちなみに、ギターであれば文字通り、3半音平行移動するだけです。
この時、平行移動は上行でも下行でも構いません。
使い方⑤ ルートが全音下のコードに解決
②「ルートが半音上のコードに解決させる」と④「dim7の平行移動」を組み合わせることで、導き出せる法則です。
dim7は、ルートが全音下のコードに解決させることが出来ます。
使用例と解説
本来、3小節目のAm7に解決できるdim7は、ルートが半音下のG#dim7です。
そのG#dim7の、ルートが3半音上のdim7コードは、Bdim7です。
- Ddim7 = Fdim7 = G#dim7 = Bdim7
そのため、解決するコード(今回であればAm7)に対して、ルートが全音上のdim7コード(Bdim7)を使うことで、ドミナントモーションをかけることが出来たというわけです。
構成音は同じでも、聴覚上強い影響力のある最低音が変わっているため、響きは変わってきます。その時々で、適切なdim7を選択しましょう。
使い方⑥ オグジュアリーアプローチ
dim7コードから、同じルートのコードに進行する手法です。
使用例と解説
- Ⅰdim7 → Ⅰ
- Ⅴdim7 → Ⅴ7
という流れで多く使われます。コミカルな印象のある進行ですね。
dim7のテンション
dim7コードにもテンションを付けることができます。
物凄く艶を感じる、オススメのテクニックです。
使用例
解説
dim7コードにもテンションが付けられます。
そして、一般的なコードとの違いは、M7(長七度)というテンションも付けられること。
付けられるかどうかの条件は2つ。
- テンションの音が、dim7コードの構成音と、M2(長二度)関係にある
- テンションの音が、解決先のコードのスケールに含まれている
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まとめ
以上で、dim7の解説は終わりです。dim7はかなり応用が効きますよね。
正体不明だったdim7が、いつの間にか身近な存在に変わっていたなら幸いです。dim7を使って、たくさん曲を書いてくださいね。
次の記事では、いよいよコード上級編へと突入します!